特集 2015年5月13日

マスクを被ってメキシカンフェスに行くとなにかもらえるのか

「メキシコ=プロレス=覆面」 愚直な発想だが、覆面仲間もいた。
「メキシコ=プロレス=覆面」 愚直な発想だが、覆面仲間もいた。
「メキシカンフェスティバルに行こう」と友人から誘いがあった。フェスか……。んー。祭りは好きだけど、フェスはイマイチなー。(訳せば同じなのに!)

ただ、取材になるかもしれないと思い、被らないためにもデイリーポータル過去記事を検索してみたら、なんと、ほそいあやさんがアオザイを着てベトナムフェスに行き、過剰な特典やオマケをもらっているではないか! ずるい! 闘志がわいてきた。

ようし、メキシコといえばプロレス、覆面レスラーだ! と、短絡的に通販でタイガーマスクをポチッた。

今回「マスク特典」なんてものはないのだけれど、はたしてタイガーマスクは、過剰な、ただならぬサービスを受けられるのであろうか。いや、受けられるであろう。そう信じよう。

「行け! 行け! タイガー!」
頭の中ではタイガーマスクのOPがリフレインしていた。
イカとタコが大好きで、食べたり被ったり本まで出版しました。
でもサイコーに好きなのはアワビだったりします。世間に対する謙虚です。

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アレ? メキシカンフェスではないではないか!
アレ? メキシカンフェスではないではないか!

アメリカ大陸の各国が一同に集結!

シンコ・デ・マヨ・フェスティバル! アメリカ大陸の国々など(メキシコ、ペルー、ブラジル、キューバ、チリ、アメリカ合衆国)が一同に揃うという歴史あるイベントなのだ。

しかし、そもそもはメキシコで始まったというから、もうこれはメキシカンフェスでいいじゃないか。マスクでいいじゃないか、と開きなおった。
マスク装着。後ろのヒモで調節できる。
マスク装着。後ろのヒモで調節できる。
友人がこんなにうれしそうに後ろのヒモを結んでいるとは知らなかった。いい思いをしてるのはわたしではなく友人ではないのか。

いきなりルチャ(プロレス)マスク屋さんがあった。スポンジ2,500円。セミプロ3,500円。なんだセミプロって。わたしは通販で2,000円以下で購入した。スポンジ以下か。
マスクのままマスクを真顔で物色する。今見返すとプロっぽいではないか。
マスクのままマスクを真顔で物色する。今見返すとプロっぽいではないか。
キターーー! さあて、サービスしてくれる店はあるのか……。
キターーー! さあて、サービスしてくれる店はあるのか……。
別に悪いことしてないのに、悪巧みの顔で並ぶ……。
別に悪いことしてないのに、悪巧みの顔で並ぶ……。
それでは実際にオマケしてくれるのか、買物スタート!
アレ……。冷静だ。 アレ……。冷静だ。
1本オマケとかは……。 1本オマケとかは……。
なにかくれませんか。 なにかくれませんか。
そういうの、やってないんです。 そういうの、やってないんです。
ミント多めにしてください。 ミント多めにしてください。
キンキンに冷えたやつください。 キンキンに冷えたやつください。
なんかください。え。 なんかください。え。
ソース多めで。んーーーー。 ソース多めで。んーーーー。
……。我ながらおそろしい顔面。 ……。我ながらおそろしい顔面。
オマケどころか、反応さえ示してくれない寂しさよ……。

「マスクしてるのでオマケしてくれませんか?」と言ってみたが、「アハハハハハ!」と完全にスルーされる。あとは、そう、ヤケ喰いである。
口元が開いているので、食べるのにはさほど困らない。
口元が開いているので、食べるのにはさほど困らない。
だが、このマスクのおかげで思いがけない収穫もあったのだ。
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芸能人気分を味わえるマスク行動

オマケゲットは失敗したけれど、わたしにとっての収穫、それは、人々の反応であった。人々から声をかけられる、アチコチから写真を撮られる。手を振って応えたり、撮影に応じたりしていっぱしの芸能人きどりだ。

自分じゃ顔は見えないので、気恥ずかしさのカケラもない。
ですのでトイレにもちゃんと並びます。
ですのでトイレにもちゃんと並びます。
基本的に、女性は通り過ぎたあとで、「マスクだー」という確率が高く、男性はその場で「おおっ! タイガーマスク!」という人が多かった。

声をかけてくれたり、わたしを撮影している人を見つけては、いっしょに写真を撮らせてもらった。

ちなみに1番うれしかったのは「仮面女子だー」と言った女の子たちである。初老のわたしに向かって女子っ!

女子! 女子! 女子ーーーーーっ!

それだけでも胸が躍った。今考えるとばかばかしい限りだが。
手のひらタッチ!
手のひらタッチ!
国際交流
国際交流
売り子のかわいいお姉ちゃんと。
売り子のかわいいお姉ちゃんと。
クールにキメました。
クールにキメました。
そして……
わたしことタイガーマスクに白目で対抗するミーアキャット。
わたしことタイガーマスクに白目で対抗するミーアキャット。
なにしろ動物園以外で、ミーアキャットを見たことがない。しかもよく人になついていて、首筋をさわっても知らん顔をしている。本日の収穫、本当の1番はこの遭遇だったかもしれない。しかも白目だし。

そろそろ日没だというのに盛況だ

日没も近づいているのに、まだまだ盛況だった。野外ステージでは分刻みに催し物が行われ、20時までイベントは続く。
!
そしてわたしたちは、次へのステージ(カラオケ)に向かうため、タクシーを拾った。
お家に帰るまでがタイガーマスクです。
「女性だったから乗せたけど、男性だったら、乗せませんねえ……」とタクシーの運転手さんは言っていた。
そんなこともあろうかと、スカートを履いてきてよかった……。

オマケや特典をもらったのではなく、バラまいたのでは

原稿を書いていて思ったことがある。

マスクを被ったのはオマケや特典をもらうためだ。たしかにそれには失敗した。認めざるを得ないだろう。

だが、じつは友人らや来場者のみなさんにオマケをバラまいて楽しませ、自分も多いに楽しんだ。厚かましいのは百も承知だが、これって成功と言えるのではないか?

いまはそんな心境なのである。

新鮮なフェス。みんなも被ろう!

プロレスイベントがなくて乱入できなかったのが残念だったが、料理もみなおいしく、メイン会場以外にもあちこちでイベントが催されていて、マスクをしていなくても楽しいフェスだったのではないかと思う。

だが、やはりみなさん、フェスに行くときはなにかしらの被り物をわたしは強く推奨します。

何倍も楽しくなるよ。
迷子になってもすぐ見つけてくれるし。
カラオケにて。 やっぱり、お家に帰るまでがタイガーマスクです。
カラオケにて。 やっぱり、お家に帰るまでがタイガーマスクです。
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