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ちしきの金曜日
 
歯医者でくつろぐ
キュイーーーン


みなさんは、歯医者にどんなイメージを持っているだろうか。
きっと行くのが好きという人は少数派だと思う。

痛い、疲れる、怖い。そんな歯医者のイメージを払拭するため、ここはひとつ大々的にくつろいでみた。

(text by ほそいあや



歯医者を貸し切れることに

ことのいきさつはこうだ。高校時代からの友人Yは、今まで夫婦で勤務歯科医だったのだが、ついに開業するはこびとなった。

そして「遊びに来てよ」という連絡を受け頭に浮かんだのは、「歯医者貸し切り」という単語だった。

 

ここが俺の城。

歯医者へGO

「歯医者を自由に使えるとしたら何をしたいか」という事を編集会議で訊いてみたところ、「あの水が出るところからビールを出すのは」という意見があった。

院長先生に「ここからビール出せないかな?」と訊いてみたが、「ビールはちょっと…」との事だった。あたりまえである。

結局、飲食はOKとの事だったので素直に好きなことをし、くつろがせてもらう事にした。

テーマは「歯医者なんてこわくない」だ。

 

千葉中央歯科

くつろぎに来たのは千葉市にある「千葉中央歯科」。
先月オープンしたばかりのピカピカの歯医者だ。
内装もお洒落で、清潔感があり、先生はもちろん衛生士さんもとても優しく安心感がある。

すでにくつろげる要素が立ちこめている。子供の頃におびえていた歯医者のイメージとは一線を画す雰囲気だ。


かっこいい最新式の診療台。でもやっぱり苦手。

診察ブースに一歩踏み入れると、さまざまな治療器具が目に入る。
目から入ってくる情報はトラウマ化されているものばかりだ。キュイーンという耳鳴りと、口の中にすっぱい唾液が溜まっていくような感覚におそわれる。

このライトに照らされるのと、取り調べを受けるときのライトではどっちが恐怖だろうか。
こわいよう。

今日は治療も兼ねて来院したのだ。もう大人なので、だだをこねることなく診療台に座る。友人のY先生がやってきて、口の中をのぞく。

ひえええー。

 

歯医者の思い出

自分が子供の頃は、深いところを削るときにも麻酔はしてくれなかった。先生は決まって「痛かったら手を挙げて下さい」と言うのだが、手を挙げても「はいガマンしてね〜」と返されるのだ。

しかし、最近では麻酔をしてくれる所が多くなった。私は初めて麻酔を受ける時、もう削っても痛くないんだと安心して治療を受けた。しかし麻酔の注射のほうが数倍痛かったので、しばらく歯医者というものが信じられなくなった体験がある。トラウマから解放されるはずが、さらなるトラウマをナイスキャッチである。


型を取られています。

歯科医が友人だと、痛いときは遠慮なく痛いと言えるし、結構いいかも。と思った。といっても痛い治療はなかったが。
15分ほどで治療は終了。うがいをしてほっとしていると、何やら奥からいい匂いがしてきた。

ちなみにYは、親知らずがあるというとしきりに抜きたがる。歯を抜くのがすきらしい。

 

ここからくつろぎタイム

治療をがんばったご褒美といわんばかりに、Y先生がワゴンでごちそうを運んで来た。 くだらない事頼んでごめん。持つべきものは友だ。

この瞬間から、この治療ブースはファーストクラス並のくつろぎ空間になるのであった。


ガラガラガラ。お待たせしました。

メニューはハンバーグだ。グッドバーグ!
気分はすっかり空の旅となった。
そして、空の旅といえば映画である。何の映画をみようか。

念のためいっておくが、ここは歯医者だ。

 

 
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