特集 2014年7月17日

天気予報の気温よりも野良気温はずっと高い! ~夏だから、「気温」インタビュー!

台風一過の7/11午後。北新宿は…え、38℃ ???
台風一過の7/11午後。北新宿は…え、38℃ ???
先日7/11。台風一過の快晴の勢いにのって暑さで有名な館林で最高気温38.0℃を記録した。暑い夏がきたぞと、早くも世を震え上がらせた。

さてこの日、私も気温を測っていた。記録は38℃。しかし場所は館林ではなく東京の新宿である。同時刻の気象庁発表の東京の気温は33.2℃。

……あれ? 東京なのにあの館林と同じ気温?

どういうことなんだろう。その他の気になる気温豆知識含め、当サイトでは「あと出し天気予報」コーナーで人気の気象予報士の増田雅昭さんへ気温インタビューを慣行した。

気温のことを少し知って、夏がかわりそうな気がしております。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:箸と茶碗持ったまま車に乗った ~みんなのせっかちエピソード大爆発!

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

「℃-1グランプリ」というのをはじめるんですわ

というのも、この夏、みんなで「気温」を測って投稿しようという企画、その名も「℃-1グランプリ」というものを開催するのだ。マガジンハウスのウェブマガジン「コロカル」さんとの連携企画である。
このように投稿気温がどんどん地図にマッピングされていく! 一番低い気温と高い気温も表示されますど
このように投稿気温がどんどん地図にマッピングされていく! 一番低い気温と高い気温も表示されますど
日ごろ気温といってもテレビで天気予報を見て「ほほう…」と思うにとどまっていた私が新宿で気温を測ったというのも、開催にあたってアタイも一つ…と思ってのことだったのだ。

気象庁データは「涼しげな」ところで計測していた

前傾姿勢で増田さんのもとへ伺ったのはコロカル編集部から滝戸ドリタさんと、デイリーポータルZ編集部からわたくし古賀。

気温を投稿してもらう企画を立案してはみたものの、「気温」には全くの素人のわれわれ。素人だからこそ常識的なことも臆せず聞く、そんなインタビューとなった。
気象予報士の増田雅昭さん(左)、連携を通じて仲良しになりすぎて服が色違いのお揃いっぽくなってるドリタさん(中央)、古賀(右)
気象予報士の増田雅昭さん(左)、連携を通じて仲良しになりすぎて服が色違いのお揃いっぽくなってるドリタさん(中央)、古賀(右)
--というわけで、なぜか私が新宿で測った気温が東京の最高気温を軽く4℃近く超えちゃったんです。こういうことってありえるんですか。

(以下、増田さんの回答部分は青字)はい、ありえます。気象庁のデータを取る気象台、東京なら大手町の気象庁本庁にありますが、ここの観測は、

1)地上1.5m
2)日かげ
3)風通しが良い
4)地面が芝生


という条件で行われています。新宿で計測された38℃というのは、このいずれかの条件が当てはまってなかったのではないでしょうか?
私が計測したのは、炎天下のアスファルトの上!ぜんぜんあてはまってない!
私が計測したのは、炎天下のアスファルトの上!ぜんぜんあてはまってない!
--わっ、地上1.5mというのはなんとなく知っていて意識したのですが、それ以外はむしろ逆、炎天下の風が通らないアスファルトの上で測ってました……!

となると、4℃くらいでしたら高くなる可能性はあります。新宿は大手町より内陸にあって、より人も多いですよね。気温がいわゆる気象庁のデータとしての「東京の気温」よりも上がりやすいことは考えられます。

--むしろ東京の都心だと条件に合わない、より暑い場所のほうが多そうですね。条件に合わない場所の気温、「野良気温」って実はすごく高いんですね!

そういえば…ラジオで「天気予報の気温はまちの気温よりも低いので熱中症にお気をつけください」なんていっていたのを思い出しました…お恥ずかしい…。

投稿は炎天下の気温でも室内でもOK!

今回の「℃-1グランプリ」は折り目正しい気象庁的なの計測気温ではない、その辺の気温でももちろんOK、むしろ大歓迎(モノの温度は対象外)。ぜひみんなで野良気温を集めようじゃないですか。

野外の温度だけではなく乗り物の中や建物の中(ほら、すごい寒いスーパーとか!)の温度も測って投稿してもらいたいともくろんでおりますぞ。

さて、増田さんへのインタビューはいったん「計測」から離れてぐいぐいと気温の話を聞く流れへ。続いてどうぞ。
我が家のベランダも同時刻の「東京(大手町)の気温」より2.5℃高かった。たのしいぞ、野良気温
我が家のベランダも同時刻の「東京(大手町)の気温」より2.5℃高かった。たのしいぞ、野良気温

ちょっとした坂の下が、寒い

--そもそも今回の企画は、以前増田さんとの雑談で「半径100mくらいの限定された狭い範囲でも、小高い場所は気温が高くなって、坂の下は冷たい空気がたまるということが場合によってもある」っていうのをうかがって、それが面白くてはじめたというところがあるんです。

そうなんですか(笑)。基本的に、高い山の上にいくと寒いですけれども、冷房の空気が足元を冷やすように、冷たい空気というのは重いですよね。 そうやって、冷たい空気はやはり低いところにどんどん流れ込んでいくわけです。

だから冬場は盆地は寒くなりやすい。「冷気湖」なんていうんですけれども。

盆地っていう大きな範囲でなくてちょっとした町中でくぼんだところとか、そういうところは冷えやすくなったりしていて…たとえば…駅がちょっと谷底にあるような場所ですとか。坂の下とか。
冷気が滑り落ちていく感じ、想像できる
冷気が滑り落ちていく感じ、想像できる
--でも高い山の上は寒いわけですよね。

基本は「上に行くほど寒い」んです。でも、冷気は下にたまる。不思議ですよね。上と下が寒いっていうとわかり易いかな。

例えば、筑波山は上と下が寒い。真ん中のちょっと上がったところ、標高200mくらいのところが結構暖かいんですよ。斜面温暖帯なんていって、そこでミカンが作られたりもしています。ミカンって愛媛とか静岡とか暖かい場所で作られる果物ですよね。それが標高200mまで上がると筑波で作れるんです。
こちら、真冬の筑波山</a>。なお筑波山で採れるみかんの旬は10月下旬から12月までだそうですよ
こちら、真冬の筑波山。なお筑波山で採れるみかんの旬は10月下旬から12月までだそうですよ
--中腹に暖かい空気がたまっている?

というよりは、冷気がどんどん下に逃げているというイメージですね。

--空気って動いているんですねえ。増田さんの話を伺っているとすごく大気の流れを感じるんですよね。

温度の差がうまれるからこそ風がうまれて、風がうまれるからこそ雲がうまれて、雲がうまれるからこそ天気がうまれると。
普通のことなんですが、格言ぽくいってみました(笑)。
普通のこともそれっぽくいう。気象予報士スキルである
普通のこともそれっぽくいう。気象予報士スキルである

やっぱり練馬は暑かった

--夏も涼しい空気が坂の下にたまる、ってことはあるんでしょうか。涼みたいなら坂の下に行くといい、というような。

うーん、夏に気温が低くなる条件というのは冬とちょっと違うんですよね。夏に空気が冷えるのは、まずは海の近く。海風っていうのはやっぱり涼しいわけです。

いま葛西臨海公園あたりにアメダスが一つあるんですが、そこの気温は低い。「東京の温度」として計測されている大手町の気象庁の温度計や練馬のアメダスとは違いますね。いまいった3ヶ所だとやっぱり海から一番遠い練馬が暑いです。
練馬は暑い!
練馬は暑い!
練馬は2012年の年末にアメダスの場所を動かしたんですよ。まわりが住宅地に囲まれたところで、それで風通しが悪いので練馬の温度が高く計測されているんじゃないかという疑惑がありまして。

それですごく風通しのいい公園に移動したんです。それで練馬の気温が見直されるかなという見方もあったんですが…変わらなかったですね。やっぱり練馬は暑かった。


--日中人の多そうな大手町よりも練馬が暑いんですね。

人が多いところはもちろん暑くなりやすいんですけれども(ヒートアイランド現象の話は後程また詳しく)、基本夏場の気温は海風が左右することが多いんです。

都内だと海風が届くのがだいたい10km~20km。だから届く日は練馬まで届くんですが、あまりいかないですね。
話に感銘をうけたドリタさんが画像を作ってくれた
話に感銘をうけたドリタさんが画像を作ってくれた
それに風自体が吹いても都心を通ってきた風なので涼しいどころか都心からの熱風になっちゃって余計暑くなっちゃうってこともあるんですよね。

熊谷とか館林とか、暑さで話題になるような場所は海から遠いですよね。海風が全然通らない場所です。


--寒いし暑いって土地は実は多いですよね。

水(海)から遠いところほどその傾向にありますね。


しかし、そういった海風の影響を受けず独自にやたら涼しい場所、というのもあるらしい。「クールアイランド」とは?! 続いてうかがっていきましょう!
いったん広告です

クールアイランドから冷たい空気がもれだすぞ

--単純に緑があって涼しいなって場所って都心にもありますよね。新宿でいうと、駅の周辺とかすごく暑いですが、ちょっと新宿御苑の方へ行くと涼しく感じます。

そうなんですよ。「ヒートアイランド」という言葉がありますよね。東京のような都市がヒートマップですごく熱くなっていて見えて熱の島のようだと言われる現象です。

その逆で「クールアイランド」っていう言葉がありまして。熱いなかでポツンと冷えている場所があるんです。それがまさに新宿御苑、あとは皇居ですとか。

そういう場所は周辺にも冷たい空気がにじみ出してくるんです。まわりよりも冷たい空気の方が重いので、じわーっと横にへばりつくように広がっていくんです。流れ出すというか。研究では2℃~3℃は低いそうです。
ドリタさんがクールアイランドといわれる日比谷公園と銀座の繁華街を測り比べてきてくれた。こちら銀座四丁目交差点は36.5℃
ドリタさんがクールアイランドといわれる日比谷公園と銀座の繁華街を測り比べてきてくれた。こちら銀座四丁目交差点は36.5℃
対してこちら日比谷公園35.8度℃。微妙に低い!
対してこちら日比谷公園35.8度℃。微妙に低い!

湿度は「空気の出身地」で決まる

--日本はあとはとにかく湿気ですよね。暑さ自体よりも、蒸す不快さが高いです。結局あれが一番つらい! 秋になって空気が乾いてくるのはなぜなんですか。ものすごくざっくりした質問ですが。

空気の出身地ですね。どこで空気が生まれてどこを通ってくるか。出身と経路で空気の質というのが決まってくるんです。単純にいうと夏は南の海から太平洋を通って空気がやってくる。だからむわっと暑くて湿っているんですね。

秋から冬にかけて大陸から空気が来るようになると乾いてきます。
空気がどこからやってくるかが湿度の分かれ道
空気がどこからやってくるかが湿度の分かれ道

「温暖化」と「地球温暖化」はちょっと違う

--ちょっと話がかわってしまうのですが、むかしと今ってやっぱり今の方が暑いんですか? 温暖化してるんでしょうか。

確かに暑くなっています。100年以上観測している各地の気象台のデータを見ていくと、やっぱり右肩上がりということには間違いないです。現象として言葉通り「温暖化」しているということは言えます。

東京(大手町)でいうと1970年代の10年で35℃以上の日があったのが平均1年に1日。1980年代も1日。1990年代に入って4日。2000年代で5日。2010年~2013年で平均7日。

ちょっとずつちょっとずつですが上がっているのが分かりますよね。
年代別、東京(大手町)で35℃以上と計測された日の平均日数(2010年代は2010年~2013年)
年代別、東京(大手町)で35℃以上と計測された日の平均日数(2010年代は2010年~2013年)
で、その要因はなに? と言われたときに地球全体が温かくなっているからそれで気温が高くなっている、いわゆる「地球温暖化」してるんじゃないかというのと、もう一つは「都市化」。

熱を蓄えやすいコンクリート敷きの面積が広くなって行っていて、緑が少なくなって、エアコンなどの排熱量も多くなってそれで年々熱くなっている。

要因としてはこの「地球温暖化」と「都市化」の両方あると思うんです。その比率がどれくらいかというと、「都市化」のほうが大きくウェイトを占めているんじゃないかと最近はいわれていますよね。

都市部とは比べ物になりませんが、都市じゃない場所も若干づつ気温は上がっていっていますので、やっぱり要因としては両方。

「地球温暖化」や「都市化」については意見をたたかわせている方々がたくさんいらっしゃるわけですけどデータだけ見て客観的に気温の高い日が増えているというのは間違いないです。
古賀「こどものころ30℃を超えたら一大事というのはありましたよね」、ドリタ「これはもうそうめんしかないな、という日ですよね」
古賀「こどものころ30℃を超えたら一大事というのはありましたよね」、ドリタ「これはもうそうめんしかないな、という日ですよね」

秋が短くなっているのも感覚ではなく事実

--暑い日が増えている、その増え方なんですが、残暑の厳しさが増していませんか。

増してます! 去年は10月12日に東京が30℃を超えたんですよね。30℃超えの一番遅い記録を更新しました。秋なのに暑かった。暑い日が後ろに伸びていますね。 逆に前に倒れてるというのもあるはあるんですが、どちらかというと秋の方へ伸びているかな。

「暑さ寒さも彼岸まで」とは昔からよく言われていますが、昔は「お彼岸くらいまでは暑くなる日がありますよ」くらいの意味だったと思うんです。今は「お彼岸まではずっと暑い、お彼岸を過ぎると少し涼しくなってくる」という意味に変わってきていますよね。
秋が貴重になっている
秋が貴重になっている
秋が押してるから冬もスタートを遅らせてるということはあまりなく、冬は冬で以前とそれほどかわらず来ているので、単純に秋が短くなっているんですよね。

そういえば「暖冬」ってどこいった

--冬といえば、最近冬がしっかり寒いですね。

90年代から2000年代なかばまでは「暖冬だ、暖冬だ」ってよく騒がれていました。スキー場に雪がない! なんてことになったり。それがここ5年くらいは、今年の東京のどか雪みたいな日があったり、雪が降らなくても真冬の寒さの日が延々続いたり、暖冬どこいった、と言う感じですよね。

以前の感覚で「真冬終了宣言!」なんて言っちゃったりするとまだ寒かったりして、「そうだ、時代かわってたんだ」ってハッとすることがあったり。ここ5年、明らかに変わっています
寝ていた寒波が再び起き出したりする(2014年2月3日の「あと出し天気予報</a>」より)
寝ていた寒波が再び起き出したりする(2014年2月3日の「あと出し天気予報」より)

ゲリラ豪雨の前後の気温差が夏の醍醐味

--最近もよく降りますが、いわゆるゲリラ豪雨の直前にすごく空気が冷えるのを感じるのですが、あれって何なんでしょうか。

そうなんです! 積乱雲ってあの入道雲の大きいやつですね。その雲の中には氷の粒などあってすごく冷えているんです。それが雨と一緒にドーンっと落ちてくると突発的な豪雨になります。

普通の雨は大気で温まりながら落ちてくるのですが、勢いよく叩きつけるように落ちてくるから冷えたままなんです。

で、その冷えたままの雨粒が地面にぶつかって拡散する。その拡散した冷たい空気が風にのって周りに広がるんです。それで積乱雲がある場所の近くは冷えるんです。
豪雨近辺から冷たい空気がもれ出る(ドリタさんイラスト)
豪雨近辺から冷たい空気がもれ出る(またまたドリタさんイラスト)

10分で10℃気温が下がる!

そういう突発的な豪雨の前後では10分で10℃下がるようなこともあるくらいです。このダイナミックさ! 僕が好きなところです。ぜひ感じて欲しい! 気温を測るのにもおすすめです。

あ、でも雷が鳴っているときはくれぐれも屋内など安全な場所にいてくださいね
と、興奮する増田さんの写真を載せようと探したが、そのときの私のほうが余計にうれしそうに話を聞いていた
と、興奮する増田さんの写真を載せようと探したが、そのときの私のほうが余計にうれしそうに話を聞いていた
続いては、これは絶対聞きたかった、なぜ「猛暑日」が使われるようになって「酷暑日」はどっかいったんですか? をお届けします。涙なくては語れない裏話がありました。
いったん広告です

「酷暑日」の退場にはストーリーがあった

--徐々に暑くなってきている日本ですが、以前はよくテレビで「酷暑日」って表現を使っていませんでしたか? 最近めっきり「猛暑日」におされて聞かないなと思って気になっていたんです。

夏日(25℃以上)、真夏日(30℃以上)って言い方は昔から気象庁の定義としてあったんですね。で、昔は35℃以上なんて日はめったに出なかったのでとくに名前をつける必要がなかったんですけれども、徐々に増えてきたので「これは決めた方がいいんじゃないの」ということで、そういうのが好きな気象予報士やキャスターが気象庁が決めないんだったらって自ら言い始めたんです。

「灼熱日」とか、「地獄日」とか、「砂漠日」とか。いろいろあるなかで「猛暑日」もあって、でも「酷暑日」っていうのがよく使われていました。なのでこれはもう「酷暑日」だろうって空気になっていたんですね。
「砂漠日」なんて言い方もあったのか
「砂漠日」なんて言い方もあったのか
そこへ、みんながいろいろ言うものだからさすがに気象庁も決めなくちゃなということになったようで2007年の3月に「猛暑日」としましょうというお達しが出たんです。

酷暑日を押していたキャスター達は「ぜったい認めない!」「『酷暑日』を使い続けるなんて言ってたんですけれども、その2007年は熊谷、多治見で40.9℃の日本記録が出ちゃうくらい暑い年になっちゃって。

35℃超えも連発して、テレビじゃ早速「猛暑日」を連発するようなことになって。そしたらその年の流行語大賞で「猛暑日」がトップ10に入っちゃったんです。それで「猛暑日」が定着しちゃって。「酷暑日」派も全員白旗…っていう歴史があるんです。


--「酷暑日」よ…(笑)。気象庁からどうやってお達しがくるんですか。

報道発表資料として出しています。

2007年のリリースには「猛暑日」の他に「朝のうち(日の出から午前9時ごろ)」とか「宵のうち(日没から21時ごろ)」という言い方はもう使うのをやめましょうっていうのも含まれてました。「朝」、「夜のはじめごろ」にしましょう、と。
「朝のうち」は「朝」に
「朝のうち」は「朝」に
そろそろこんな時代が続くと40℃以上の言い方どうしようね、なんて話になりそうですよね。

--お! じゃあここで「酷暑日」復活ですかね! いや、でも「猛暑日」の上が「酷暑日」というのでは弱いか…??じゃ「灼熱日」?

「○月並みの気温」のもとは過去30年の平均気温

--「○月並みの気温」ってよく言いますが、どう決まっているんですか?

平年の気温、というのがあるんです。日ごとに過去30年分の平均値が出ていて決まっています。

平年東京で1番最高気温が高くなるのが8/3~9、ここが1年で一番高くなって31.4℃です。7月中に同じような気温が予想されると「8月上旬並みの気温になりそうです」となるわけです。
さきほどの我が家のベランダ、7/14だったのですが、32℃を超えて立派に8月上旬並(というかそれ以上)の暑さ!
さきほどの我が家のベランダ、7/14だったのですが、32℃を超えて立派に8月上旬並(というかそれ以上)の暑さ!
--過去30年分の平均なんですね。ということは、平年の気温、というのは毎年更新されるということですか。

毎年でもいいんですけれども、更新は10年に一度ですね。

--じゃあ気温が高くなっていることを考えると次に決定される「平年の気温」っていうのは若干ですけれども高くなる可能性がありますよね。

そうですね。平年値というのは微妙に微妙に高くなっていっていますね。
さきほどの日比谷公園の35.8℃も涼しげな写真ながら館林の平年の8月上旬(33.0℃)を超える気温
さきほどの日比谷公園の35.8℃も涼しげな写真ながら館林の平年の8月上旬(33.0℃)を超える気温

2℃が予報のあたり、はずれの境目

--気温の予報にも「あたり」「はずれ」ってあるんですか

気温は2度がはずれたかどうかの境目といわれています。とはいえ、当たり外れって実際は温度差じゃなかったりしますね。

冬から春に移り変わるときに「さあ、明日からようやく暖かくなりますよ、冬から脱出しますよ」って言っちゃって全然暖かくならなかったり。逆に暑くて仕方がない残暑に「やっと明日から涼しくなりますよ」って言ったのに風向きがちょっと変わって予想していた北東からの風がこない! で、まだまだ暑かったりっていうときがやっぱり「はずれた」ってなります。

言い方なんですよね。期待ぶくみではずしてしまうとみなさんそりゃもちろん気づきますし、がっかりされて申し訳ないです。
ちなみに「あと出し天気予報」では、はずれたときと当たったときの画像が当たりの率によって数種類用意されております。これは大当たりの画像
ちなみに「あと出し天気予報」では、はずれたときと当たったときの画像が当たりの率によって数種類用意されております。これは大当たりの画像

「℃-1グランプリ」への投稿があなたの夏をかえる

--そもそも、気温の予報ってどうやってやってるんですか。

天気予報よりも単純なんですよ。天気っていうのは気温、風、湿度、気圧、すべてのミックスの答えが天気なんです。気温というのは天気を決める要素の一つですから。予想するのは天気に比べて楽なんです。

気温って全世界で観測されていますよね。今の気温というのがまず分かっている。で、その今の気温が今後どうなるかというのを計算するんです。計算するのはスパコンですが(笑)。

まず観測ありき。そこが間違っていればいくら緻密な計算をしても予報は間違うわけです。だから観測が大事。ということで! 今回の「℃-1グランプリ」はすごく意義があることだと思います!


--わああっ、すばらしい着地!

例えば東京都心に住んでいる方だったら家の温度を測って、「東京の気温」といわれているのは大手町の観測所の気温ですからそれと比べて、その差を知っておけば、これからの天気予報を見ながら、じゃあうちはプラスマイナス何度だなっていうのが分かりますよね。

--すごい。夏がかわりますね! 企画にうっかりちゃんとした意味がついた……。

増田さん、今日はありがとうございました!!
2人しての執拗な質問攻撃にお答えいただきました!
2人しての執拗な質問攻撃にお答えいただきました!

「℃-1グランプリ」をよろしくお願いいたします!

すっかり増田さんにPRまでしていただいてしまったが、そんなわけでみなさまから気温のご投稿を集める「℃ー1グランプリ」である。

投稿のなかから一番高い気温と低い気温が表示されるようになっているのでぜひ最高、最低を目指して測りまくっていただきつつ、なんてことない気温もぜひ投稿していただければと思います。

くわしい投稿方法は例によってコロカルさんの専用ページをどうぞ!
スマホのカメラで計測地の分かりやすい建物と温度計を撮ろうとして、どうにも逆光で温度計にピントが合わないなどありました。投稿は無理に温度計は写りこませなくてもOKですよ
スマホのカメラで計測地の分かりやすい建物と温度計を撮ろうとして、どうにも逆光で温度計にピントが合わないなどありました。投稿は無理に温度計は写りこませなくてもOKですよ
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←
ひと段落(広告)

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ