特集 2014年8月29日

焼きトウモロコシでハーモニカ

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急に夏が終わりかけている。先週までの暑さが嘘のように、ちょっと肌寒くてなんだか寂しい。そうだ、夏の終わりはいつも寂しいものだ。

ストップ・ザ・シーズン・イン・ザ・サン!

夏と言えば焼きトウモロコシ。子どもの頃は焼きトウモロコシをわしゃわしゃ食べながら、「ハーモニカ!」などとはしゃいでいたものだ。あれをやろう。焼きトウモロコシを食べているように見せかけて、実はハーモニカを吹いている。

焼きハーモロコシを作ってみた。
1970年神奈川県生まれ。デザイン、執筆、映像制作など各種コンテンツ制作に携わる。「どうしたら毎日をご機嫌に過ごせるか」を日々検討中。


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食品サンプルにハーモニカを埋め込む作戦

焼きトウモロコシでハーモニカを実現させるため、まずは焼きトウモロコシの食品サンプルを探してみた。焼いていないトウモロコシのサンプルは200円くらいで売っているが、焼きトウモロコシになると一気に5千円を越える。

焼いた料理は高くなる。そんな慣例が食品サンプル業界にあるのだろうか。
焼きトウモロコシのサンプル
焼きトウモロコシのサンプル
高いだけあって、実によく出来ている。食卓に置いておいたら家族の誰かが食べてしまうだろう。

この中にハーモニカを埋め込めば、焼きハーモロコシの完成である。


楽器屋さんでハーモニカを調達した。
小学生用のハーモニカをゲット
小学生用のハーモニカをゲット
初心者でも吹けるハーモニカをお願いします、と楽器屋のお姉さんに相談したら小学生用のハーモニカを選んでくれた。

「バンドで吹くようでしたら、ブルースハープがいいと思いますが」

と言われたが、今のところバンドを組む予定はない。

薦められた小学生用のハーモニカのいいところは、吹き口に「どれみふぁそらしど」と音の配列を刻印しくれているところだ。また、注意事項も全てひらがなである。
音の配列が刻印されている
音の配列が刻印されている
ひらがなによる注意事項
ひらがなによる注意事項
このハーモニカを埋め込むため、食品サンプルの裏側をカッターで切る。
裏側は粒の密度が低い
裏側は粒の密度が低い
裏側からカッターを入れて、中に入っていた中綿のようなものを取り出す。
中に入っていたもの
中に入っていたもの
焼きトウモロコシのサンプルの中には、おこわのような美味しそうなものが入っていた。美味しそうだけど、これもサンプルなので口の中に入れてはいけない。

おこわっぽい中綿の代わりにハーモニカを入れてみた。
焼きハーモロコシの完成
焼きハーモロコシの完成
横から
横から
これで、焼きトウモロコシを食べてように見せかけて、実はハーモニカを吹いている、という僕の描いた絵を実現出来る。


が、問題が1つだけある。

僕はハーモニカが吹けない。

ハーモニカの練習

小学生の頃から音楽の授業が苦手で、どんな楽器もまともに出来た覚えがない。

中3の時、リコーダーが全く吹けず、加納さんという高校2年生のお姉さんから個人レッスンを受けたことがある。加納さんは同じ団地の2階上に住んでいて、夕方になると僕の家に降りてきて僕にリコーダーを教えてくれた。今考えると艶っぽいシチュエーションであるが、当時の僕はリコーダーのテストに向けて必死だったので、そういう思考にはいたらなかった。

加納さんは今でもリコーダーを吹いているのだろうか。


いや、リコーダーの思い出はいい。今はハーモニカを練習しなければ。
ハーモニカの練習
ハーモニカの練習
ドレミファソラシド、と順番に並んでいるから簡単だと思っていたが、実際にやってみると結構難しい。ドは吹いてレは吸って、と交互に吹いたり吸ったりを繰り返さないといけない。

さらに、ラとシは連続で吸わないといけないというトラップもある。

ドレミファソラシドが吹けるようになっても、それだけではダメだ。夏らしい音楽を焼きハーモロコシで奏でたい。

吉田拓郎の麦わら帽子がどうしたこうした、という歌とか、ゆずの歌などもいい。

しかし、僕はドレミファソラシドすらままならない男である。吉田拓郎とかゆずはハードルが高そうだ。

簡単そうで、夏らしい曲の音符をネットで探した。
音符
音符
最初、どうも音が合わないと思って良く調べたら、それはウクレレ用の音符だった。

というトラブルもありながら、なんとか曲に聞こえるくらいまでは吹けるようになった。

よし、外に出よう。

外に出て焼きハーモロコシを演奏する

日差しが少し緩くなった中で、去り行く夏を惜しみながら焼きハーモロコシを吹く。

立案当初はそんな風に考えていたが、ここのところの急な温度差は何だ? 外は小雨が降っていて肌寒い。
夏っぽい格好で
夏っぽい格好で
麦わら帽子を被ってランニングに半ズボン、肩から虫かごをたすき掛け。

これが僕の考える夏っぽい格好である。少年と山下清がごちゃまぜになっているような雰囲気はあるが、これが僕の考える夏なのだから仕方ない。

夏の格好になったところで、一点だけ、あらかじめ断っておきたいことがある。

僕は、出来ればランニングは着たくないのだ。なで肩だから似合わないとか、お腹が出てきたから格好悪いとか、そういう理由もあるのだが、一番の理由は肩から二の腕にかけてのシミだ。
僕の肩から二の腕にはシミがある
僕の肩から二の腕にはシミがある
大学の頃、僕は水上スキー部に所属していて、4年間ずっと真っ黒に日焼けしていたのだ。

その後遺症なのか、30才を過ぎた頃からシミがひどくなってしまった。
大学の頃
大学の頃
このシミが汚くて嫌だから、本当はランニング姿にはなりたくなかった。でも、夏の終わりのハーモニーを奏でるためである。思いきってランニング姿になってみた。

以降、肩のシミがお見苦しいとは思いますが、ご了承ください。
吸ってます
吸ってます
吹いてます
吹いてます
焼きハーモロコシの練習をしながら歩く。すれ違う人たちは、「あれ? あの人トウモロコシを食べてるんじゃなくて?」というような顔をしている。
お、おにぎりなんだな
お、おにぎりなんだな
た、たべるんだな
た、たべるんだな
おにぎりを食べて腹ごしらえが済んだところで、いよいよ皆さんに練習の成果をお見せする時がやって来た。

焼きハーモロコシでの演奏を映像におさめたので、是非、ご覧ください。
雨が本降りになってしまい、かわいそうな雰囲気が出てしまっているが、僕なりの「ふるさと」を焼きハーモロコシで表現してみたつもりである。

みなさんは、今年の夏、ふるさとに帰りましたか?

ハーモニカが楽しくなってしまった。今のところ「ふるさと」一曲しか吹けないが、徐々にレパートリーを増やして最終的にはブルースハープにも手を出したいと思っている。

来年の夏、進化した焼きハーモロコシを披露出来ればと思っています。
楽器屋さんのポイントカードも持っている。
楽器屋さんのポイントカードも持っている。
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