特集 2015年3月28日

ドラマ「あぶない刑事」のロケ地を再現イラストと共に横浜で探す

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「ドラマ『あぶない刑事』の面影が残っている場所ってどれくらいありますか?'86年の放送当時の面影があるところが知りたいです」こんな投稿がはまれぽ.com読者のmockeyさん、youki4663さん、yoshihiroさんから届いた。


調べてみたところ、舞台の中心となったロケ地は大規模な開発により変化したものの、観光地からやや離れた場所に少なからず当時の面影を見つけることができるということがわかった。

はまれぽ.com ナリタノゾミ
はまれぽ.comは横浜のキニナル情報が見つかるwebマガジンです。毎日更新の新着記事ではユーザーさんから投稿されたキニナル疑問を解決。はまれぽが体を張って徹底調査します。

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1986(昭和61)年放送、舘ひろし、柴田恭兵主演のテレビドラマ、「あぶない刑事」。

神奈川県警「港署」に勤務する、クールで紳士的な鷹山敏樹(舘ひろし)と、情熱的で行動派の大下勇次(柴田恭兵)の名コンビ刑事が、コミカルかつ鮮やかに事件を解決していく。
鷹山敏樹刑事(右)と大下勇次刑事(左)
鷹山敏樹刑事(右)と大下勇次刑事(左)
舞台となった横浜は、潮風と錆びた鉄の香りが漂う港町として描かれている印象だ。

もっとも、舞台の中心となっている横浜市中区の横浜港周辺は、第1回の放送から現在までの26年間に大規模な開発を経ているため、当時の面影を残すロケーションは多くが失われている。
中区の横浜港に沿ってロケ地が密集している
中区の横浜港に沿ってロケ地が密集している
今回、インターネットや、あぶない刑事ファンの意見を参考に、1986(昭和61)年に放送された第1話から第13話のうち、当時の面影を残すロケ地を調査した。

事件発生! 2人の刑事が出動(中区・本牧ふ頭)

本牧ふ頭の界わいは、コンテナが山積みにされた敷地や、枯れ草の茂った空き地が多い。存在する施設は、多くが港湾関係者のためのものだ。
近隣の方の話によると、「このあたりは今でもよく深夜にロケが行われている」とのこと
近隣の方の話によると、「このあたりは今でもよく深夜にロケが行われている」とのこと
このやや殺風景なエリアに、テレビドラマの第一作目で2人の刑事が勤務していた神奈川県警「港署」があるという。
2人の勤務する神奈川県警「港署」(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
2人の勤務する神奈川県警「港署」(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
当建物は、JEIS(一般財団法人日本船舶職員養成協会)の船舶職員養成施設、「横浜海技専門学院」のものだ。1986(昭和61)年の放送当時とほぼ変わらない外観を保っている。
作中では入口付近にうっそうと木が生い茂っていた。JEIS横浜海技専門学院
作中では入口付近にうっそうと木が生い茂っていた。JEIS横浜海技専門学院
なお、シリーズの中で「港署」のロケ地は数回変わっており、当建造物は、初代の「港署」にあたる。
JEISの建物の目の前の公園には、漁場が埋め立てられたことを記す碑が建つ
JEISの建物の目の前の公園には、漁場が埋め立てられたことを記す碑が建つ
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犯人追跡

事件発生の一報を受け、「港署」を飛び出して、現場に向かう鷹山刑事と大下刑事。

第2話「救出」では、赤レンガ倉庫(中区・新港)前で、鷹山刑事が逃亡しようとする犯人の車のボンネットに乗り、必死に追跡する。

また、エンディング映像では赤レンガ倉庫前を走り抜ける2人の姿が印象的だ。
舘ひろしが歌う「冷たい太陽」が流れる中、赤レンガ倉庫前を走る2人 (エンディング再現イラスト:ナリタノゾミ)
舘ひろしが歌う「冷たい太陽」が流れる中、赤レンガ倉庫前を走る2人 (エンディング再現イラスト:ナリタノゾミ)
2002(平成14)年のリニューアル以来、商業施設として親しまれている赤レンガ倉庫は、1986(昭和61)年のドラマ放送当時は保税倉庫としての役割を担っていた。
倉庫建設からリニューアルまでの歴史については、過去の記事を参照してほしい。

なお、赤レンガ倉庫2号館3階にある「Bar TUNE」には、鷹山刑事と大下刑事の手形のオブジェが展示されているとのこと(「Bar TUNE」による回答)。
ライトアップされた赤レンガ倉庫。放送当初、ベイブリッジはまだ存在しない
ライトアップされた赤レンガ倉庫。放送当初、ベイブリッジはまだ存在しない
第8話「偽装」、第12話「衝動」で登場する都橋マーケット(中区・都橋商店街)は、現在も1986(昭和61)年の放送当時と変わらないたたずまいを維持している。
都橋マーケットは、東京オリンピック開催に際し、周辺に乱立していた露店を収容するために、横浜市が設けた商業施設である。
なお、都橋マーケットについては、過去の記事を参照してほしい。

テナントの入れ替わりはあるものの、ほぼ当時のままの姿を残しており、その独特の雰囲気が絵になるためか、現在もさまざまなロケに使用されている。
夜の都橋マーケット。 同施設の中で最も古くから経営している店舗は「わだち」だそうだ。
夜の都橋マーケット。 同施設の中で最も古くから経営している店舗は「わだち」だそうだ。
第2話「救出」で町田刑事(仲村トオル)が拘束されていた現場や、第7話「標的」で犯人立てこもりの現場となったバーは、「PoleStar」および、「Star Dust」(神奈川区千若町)である。
作中の風景をよく見ると、当時、橋本町の高層ビルが建設途中であることがうかがえる。

ちなみに「Star Dust」は、近年、ヴィジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」のミュージックビデオのロケにも使われている。
第2話「救出」で拘束される町田刑事(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
第2話「救出」で拘束される町田刑事(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
なお、同店については、過去の記事を参照してほしい。

2人が愛したレストラン(中区・新山下)

給料日前は金欠の鷹山刑事と大下刑事だが、町田刑事や真山刑事(浅野温子)の懐を頼ってまで頻繁に訪れていたのは、新山下にある横浜港を望むレストラン。

1977(昭和52)年に発足したクルージングクラブ、「横浜クルージングクラブ(Y.C.C.)」の「ハーバービュー・レストラン」だ。
ヨットマンたちの青春が詰まったY.C.C.の建物
ヨットマンたちの青春が詰まったY.C.C.の建物
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2人が愛したレストラン(中区・新山下)(つづき)

「港署」から徒歩で約15分の場所にある同店は、鷹山刑事と大下刑事の行きつけのレストランである。

1986(昭和61)年の放送当初からほとんど内装を変えていないという店内には、2人が座った席も残っていた。
事件解決後、ひと息入れる大下刑事と鷹山刑事(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
事件解決後、ひと息入れる大下刑事と鷹山刑事(ドラマ再現イラスト:ナリタノゾミ)
2人が座ったテーブル席
2人が座ったテーブル席
今にも港署のメンバーが飛び込んできそう
今にも港署のメンバーが飛び込んできそう
ドラマを見る限りでは、2人が愛したメニューがどれだったのか、定かでないが、もしかしたらパスタランチを楽しむことがあったかもしれない。
たっぷりときのこの入ったパスタランチ(サラダ、スープ付1050円)。白ワインが欲しくなる
たっぷりときのこの入ったパスタランチ(サラダ、スープ付1050円)。白ワインが欲しくなる
作中では2人もサラダを食べている
作中では2人もサラダを食べている
レストランの窓から見えるヨットハーバー
レストランの窓から見えるヨットハーバー
店内からは、鷹山刑事と大下刑事が眺めた景色の中にはなかったであろうベイブリッジを望むことができる。
放送当時は存在しなかったベイブリッジを望む
放送当時は存在しなかったベイブリッジを望む
同店の近隣に建つ、「横浜市設貯木場発祥の地記念碑」
同店の近隣に建つ、「横浜市設貯木場発祥の地記念碑」

取材を終えて

第1話「暴走」で、鷹山刑事は取り調べ中の犯人に向かってクールに語る。
「食いもんは旨いし、女はきれいだし、ちょっとおしゃれだし・・・。だけど、どっか取り澄まして、乾いてるんだよな、この街」
この言葉に象徴される横浜の排他的で気取った港町としてのイメージは、26年の月日を経て、変わってしまったかもしれないが、2人の刑事が愛した風景は、少なからず残っている。


-終わり-

横浜赤レンガ倉庫
所在地/横浜市中区新港一丁目1番
公式サイト

ハーバービュー・レストラン
所在地/横浜市中区新山下3-6-19 YCC
営業時間/18:00~23:00(土曜日・・・11:30~14:00、17:00~23:00)(日・祭日・・・11:30~14:00、17:00~22:00)
定休日/月曜日(月曜日が祝日の場合、翌火曜日)
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