特集 2015年5月26日

香具師風にサードウェーブ系男子をご説明いたしましょう

香具師の口上集という本を買ったら自分でもできた。話題の言葉をこれでやろう
香具師の口上集という本を買ったら自分でもできた。話題の言葉をこれでやろう
香具師口上集という本を買った。寅さんが「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」とか軽口言いながらもの売ってるやつだ。

読んでるうちに自分にもできる気がしてきた。これでいろいろなものを香具師の口上風に紹介してみよう。
動画を作ったり明日のアーというコントの舞台をしたりもします。プープーテレビにも登場。2006年より参加。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

香具師口上集【創拓社刊 (1982/11/30)現在は新版が出てる】。古本で買ったが今でも新版が売ってるみたいだ。
香具師口上集【創拓社刊 (1982/11/30)現在は新版が出てる】。古本で買ったが今でも新版が売ってるみたいだ。

香具師の口上が載った本を買った

古本屋で『香具師口上集』という本を買った。バナナのたたき売りからガマの油売りまでいろいろな香具師の口上が載ってある。

読んでるうちに自分でもできそうな気がしてきた。よし、マネしよう。過去に泣ける話を書けるようになったこと(※)もあるし大丈夫だろう。

※参考 『いい話を電光掲示板で流すとより泣けるのか』
香具師とは? 縁日・祭りなど人出の多い所で、見世物などを興行し、または品物を売ることを業とする人。てきや。
香具師とは? 縁日・祭りなど人出の多い所で、見世物などを興行し、または品物を売ることを業とする人。てきや。

これさえおさえれば香具師の口上だ

香具師の口上の特徴とはなんだろう。なんとなくつかんだことだが挙げていく。(テクニックの話なのでここは飛ばしてもらっていい)

◆七五調

すべてがというわけではないが、七五調が多い。アドリブではなく用意した決め台詞だろう

◆場所 ◆歴史 ◆有名人 ◆学者 ◆素材 が頻出する

素材はなんだ、どこで作られた、歴史のあるものだ…ととにかく箔をつけていく。メッキで城を建てる感じで盛りに盛っていく

◆順列

1本でもニンジン、2つでも~♪などの数え歌のように1,2,3やA、B、Cでもいいが順列の構造が出てくる。

◆羅列

とにかくたくさん言って一つの芸のようにする。山手線の駅を全部言うみたいなこと

◆共感

人生訓や夫婦のことなど、おっちゃんおばちゃんの共感を呼ぶようなことをいう。あるあるも多い

◆常套句の言葉遊び

接続詞から慣用句、人生訓や講談や落語の引用など印象的なことばを変化させて冗談にする。引用は知識がなくてほとんどわからなかった。

◆当たり前のことをいう

「バナナ一本食べたなら、それはもうバナナ一本分のカロリーを得たも同然ですよ」などの当たり前のことを回りくどくいう冗談が多い

ほかにもたくさんあるだろうが、ある程度特徴をつかめばそれらしく聞こえるものである。
寅さんっぽい襟のないシャツなんていうんだろう?と思ってワークウェアと祭り用品が並ぶ店にいったら売ってた。ダボシャツ。フォントがいい。腹巻きもローマ字がキュートだ
寅さんっぽい襟のないシャツなんていうんだろう?と思ってワークウェアと祭り用品が並ぶ店にいったら売ってた。ダボシャツ。フォントがいい。腹巻きもローマ字がキュートだ
おっ、ちょっと雰囲気出た。寅さんなんか首からぶらさげてるなと思ってUSBケーブルぶらさげといた
おっ、ちょっと雰囲気出た。寅さんなんか首からぶらさげてるなと思ってUSBケーブルぶらさげといた

香具師の口上風に紹介するニュートンの特集

さあなんでも香具師の口上風に読んでいこう。

たとえばここに雑誌がある。ニュートン2015年6月号の特集は『バクテリア 驚異の世界』だ。これをパラパラめくりながら香具師風に紹介できるのだろうか。
たとえばわが家にあったニュートンの特集も香具師の口上で紹介できるんじゃないだろうか
たとえばわが家にあったニュートンの特集も香具師の口上で紹介できるんじゃないだろうか
理解して要約して冗談を足す。ニュートンを前に悩む香具師
理解して要約して冗談を足す。ニュートンを前に悩む香具師

香具師の人も大変だ

気軽にはじめたものの、時間がものすごくかかる。

まずニュートンの特集を理解するところからはじめて要約し、冗談を足していく。むずい。特集が細菌特集なのだ。『二階から目薬を実際にやってみよう』特集とかならよかったのに…

日曜だったが子守も免除してもらった。的屋のおっちゃんも家族ほったらかしてニュートン片手にうんうん唸ってるんだろうなあ。

半日くらいかかってようやく完成。し、しんどかった…
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動画派の方はこちら。読み上げてます
はい、バクテリアだよ、バクテリアだよ
はい、バクテリアだよ、バクテリアだよ

なんとかできた

とにかく箔をつけるために徳川家康を頻出させた。もちろんニュートンには出てこない。だが目の前のおっちゃんおばちゃんを満足させるためには科学的信用を失墜させても家康公の権威はほしいところだ。

客足をのばすためにエロチックな話も入れた。バクテリアは染色体が裸だというのだ。一見なんのエロスもないが色、体、裸、という文字がならぶと悪い気はしない。我々の脳のおろかさよ。

こうした努力の甲斐あって、バクテリアの口上ができた。体中の常在菌がよろこんでいると思う。
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今度はなんだ、掃除機の説明書でもいってみるか。ここの警告や注意書きを口上にしてみよう
今度はなんだ、掃除機の説明書でもいってみるか。ここの警告や注意書きを口上にしてみよう

家電説明書の注意書きも口上で

次はなんだ、家電の説明書でもいってみるか。説明書の注書き部分は読みにくいので口上にしてもっと注意力を強めたらどうだろう。

気軽にやってみたものの、ならねえ……説明書は口上にならねえ……と、うめきながらの半日仕事。しかしなんとかできた。日曜はなくなったが口上はできた。
!
掃除機の説明書のあれするなこれするなという部分を口上で。どういえばいいのか

弘法大師が掃除機つくってたことになった

とにかく言うことがない。ウソを盛るにも盛りようがないのでとりあえず掃除機のノズル部分は弘法大師が作ったことにした。

最終的には注意力が高まったかというと悩ましいところだ。道に落ちてたしめ鯖はたべちゃだめということはわかっただろう。
つづいてはサードウェーブ系男子だよ、コーヒーも豆からひくような丁寧な暮らしだよ(ぼくもひいてます!)
つづいてはサードウェーブ系男子だよ、コーヒーも豆からひくような丁寧な暮らしだよ(ぼくもひいてます!)

話題の「サードウェーブ系男子」を口上で

最後に今話題の言葉をなにかやろう。そう思って探したのだが、話題の言葉はネガティブなものが多くてなかなかいい題材がない。(ところで「壁ドン」にパロディがむらがったのはポジティブな話題だったからだと思う)

悩んだ末に、該当する人に悪いなあと思いつつもサードウェーブ系男子にした。

いやいや、悪くいうつもりは全くない。こっちはおしすすめるべくして口上にするのだから。
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サードウェーブ系男子がなにかはじめてわかった。少なくとも王、長嶋、郭泰源は関係ない

結局は第三の新人の話になってしまった

情報も少なかったので書くことがなく、しょうがないので第三の新人である遠藤周作の話になってしまった。(『海と毒薬』は捕虜に人体実験する話なので「まぜてみよう!」みたいな軽いノリではない。)

しかし調べるほどにサードウェーブ系男子がかわいそうになってきた。まじめに買い物してるだけなのに、ついにはこんなものまねの題材にまで……ご、ごめんなあ。おれも高い方のニューバランス買いに行くからそしたら一緒に二人乗り自転車で通勤しよう。
記事の前に動画コーナー・プープーテレビでもエビちゃんの経歴を香具師風に紹介していた。実験的な動画が毎日上がるコーナーです

これだけやって2分。プロはすごい

旅先でやったことのないカヌーなんか乗ってみたりして、ふだん動かさない筋肉がずっと痛いみたいなことがある。

香具師の口上を考えるのもそれだ。ふだんあまり考えない言葉遊びをずっと考えていた。半日やってようやく1つできるのだが、それでも2分程度のものである。ここからさらに増やして、さらにそれを覚えるのだ。香具師の人たちはたいへんだ。

名人ともなるとアドリブが炸裂するらしい。恐ろしい世界だ。寅さんは偉大だ。だって首からUSBケーブルぶら下げたりしてないもの。
「きだてさん明日の記事もう終わりました?」「さっき入れました……もしかしてこれも明日掲載ですか?」前日の夕方に撮影。今日のデイリーポータルZはできたてほやほやの記事が2つです
「きだてさん明日の記事もう終わりました?」「さっき入れました……もしかしてこれも明日掲載ですか?」前日の夕方に撮影。今日のデイリーポータルZはできたてほやほやの記事が2つです
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