デイリーポータルZ新人賞 結果発表!
ご応募ありがとうございました。
授業中にくだらないことを書いてメモを回す気分で応募してねと書いたところ、ほんと全国の心の友から面白いメモが回ってきました。社交辞令ではなく本当に多かったです。締め切り直前の応募ラッシュはさながらデイリーのレギュラーライターの締めきり直前の入稿ラッシュを見ているようでした。
審査するにあたって、自分の身体を動かしていることと、その過程での些細な発見や喜びを描いているかどうかを重視しました。チャレンジが成功したかどうかは重視してません。
改めて応募してくれたみなさん!ありがとうございました。街であったらビール1杯おごりたいぐらい感謝しております。
記事部門には全部で103本の記事がエントリーされました。精鋭揃いの中から選ばれたのはこの5本!最優秀賞には金メダルを進呈、そして最優秀賞と優秀賞の記事は、8/25〜29にかけて、1本ずつデイリーポータルZのトップページでご紹介します。
【編集部コメント】
- 題材はもちろんおもしろいのですが、うんこ踏んだりクマにすれ違ったりと余談の入れ方がうまい。登場人物が堂々と顔出ししてその表情で伝わるのもいいですね。この感じならなにを書いてもきっと面白くできる人だと思います。効果線は使い過ぎかな。(林)
- いきなりうんこ踏んだ話から始まるんですが、それを見つめるタクシーの運転手さんの写真まで押さえていて、記事にしたときの面白さをちゃんと予想しながら生きているな、と思いました。泥だらけになってもなぜか楽しそうなのもいいですね。落ち込まないから先を読みたくなります。(安藤)
- ダチョウに乗れるスポット、そして地面が泥。「面白い記事書けるよー」といわんばかりのシチュエーションですね。思わず「ずるい!」と思ってしまいました。それでいて、落馬の瞬間がバッチリ撮ってあったり、泥まみれの写真を全方位から載せていたり、手慣れてるなーと感じます。(石川)
- ベトナムという地の利が強いといえば強いのですが、ナチュラルボーンのネタ量を適度に采配しつつ負けずに自分たちも積極的におもしろを取っていく姿勢に感動しました。あと、運ばれるクマとか邪鬼眼のおにいさんとかの伏線が中途半端に回収されてるのもかっこよかったです。(古賀)
- ベトナム、ダチョウ、泥まみれなど強いネタがありすぎるんですけど、いろいろ取り入れつつ全部テンション高め楽しむことでまとめていて、リアリティ・ショーという感じで楽しめました。邪気眼の家族やダチョウの腹立つ感じなど、少しの描写で強いキャラクターを与えられていてすごいです。(藤原)
【編集部コメント】
- これも地図ネタとして雑学的に書くことだってできるんですよね。でも現地に行く、しかもスーツを着ることで地図に興味がない人にもわかるエンターテイメントになっていると思いました。全体にギャグマンガ的なポップな構成だったんですが、現地での愚痴とか感情をもうちょっと読みたかった気がします。(林)
- ふざけているように見えてじつはたいへんな取材をちゃんとこなしているんですよね。スーツもしっかり面白に深みを与えていました。少々キャラが立ちすぎているんですが、憎めない人の良さみたいなものがにじみ出ています。(安藤)
- たくさん写真があるんですが、全部いいシーンなんですよ。捨て写真ナシ。一枚一枚でしっかり顔芸してるのもすごい。作り込んだ写真ってライブ感なくなって悪く出る時もあるんですが、この記事ではいい方向に効いてるなーと思いました。(石川)
- どうしても笑っちゃいますよね。ばかをやり慣れているというか、完全に自分のものにしている感じがありました。撮影の大変さを感じさせないので読んでいてまったく疲れないのがすごいです。(古賀)
- 勢いがあってどんどん読み進みたくなりました。キャラがすごい立っているのもいいですが、スーツを着ていることへの触れ具合といい、お笑いと山の険しさの表現のバランスがよくとれてるなーと思いました。(藤原)
【編集部コメント】
- 圧倒的に文章がおもしろい。できごととしては自転車に乗ってるだけなんですが、そのあいだの景色と心理描写で笑わせているのだからすごいと思います。なにをやってもこれぐらいのクオリティが出せちゃうんじゃないでしょうか。途中で挫折していることも最高です。 (林)
- 文章のテンポがすごくいいですね、ぐいぐい引っ張り込まれます。お母さんに撮ってもらった写真が連写になっているのもリアルだし、途中で「自転車のことを嫌いになりたくないから」っていう理由つけてたたんで配送しちゃうのも笑いました。何を対象にしても面白くしてしまう力があるんじゃないでしょうか。(安藤)
- 他の人のコメントを見てもわかるのですが、この記事、編集部みんな「自分の好きなシーン」を持ってるんですよ。それだけ印象に残るところの多い、魅力的な記事だったと思います。ちなみに僕は自転車のたたみ方がわからなくて自転車屋で畳んでもらうシーンが大好きです。(石川)
- 「だまされたと思って」という言葉はこの記事のためにあるんじゃないかと思います。どうかだまされたと思ってしっかり最初から最後までみんな読んでみてほしい。江ノ島さんのことが大好きになるはずです。 私は大好きになりすぎて「カーディガン1枚じゃ寒いとか、OLみたいなこと言ってんじゃないわよ! とかツッコミながら読んでました。(古賀)
- やろうとしていることはシンプルなんですが、文章の力ですべてが魅力的になっています。風とか坂とかおしりの痛みとか、そりゃ自転車に乗ってればあるだろと思うところが、意味ありげな描写で特別な出来事になっています。 あと僕は土手で頭を浮かせて寝そべっている写真が好きです。(藤原)
【編集部コメント】
- 題材的にウェットに書くといやらしくなるんですが、写真の明るさ・表情の真剣さでひっくり返していると思います。女性役が髭を剃らなかったのが功を奏したんじゃないでしょうか。(林)
- パンチラ見てる人を階段の上から撮ってる写真がありますが、この写真がすごいなと思って。なんていうか、姿勢低くして、腰が入ってるんですよ。パンチラ見るのに!あとスカートの種類が多くて地味に時間かかってそうなのが偉いなと思いました。一分でも早く帰りたくなる格好なのに。(石川)
- やってることがやってることなので(検証時は無風でした。)とか、まじめな部分でイラッとさせる力がすごい。 歩道橋の下で検証する様子の写真がどうしてドヤ顔なのかなど、つっこませます。2人で今度はなんかもっとこう別のネタを書いてほしい!(古賀)
- 写真の力がすごいです。階段の写真の覗きこむポージングとか、笑ってしまいました。 一方、検証は検証でまじめに表にまとめていたりして「おもしろい写真を撮りたいだけじゃないんだぞ」というプライドも感じました。(藤原)
【編集部コメント】
- コンピュータ制御の切削機まで登場して技術力の高さを感じます。でも、それだけにとどまらず、作った作品を外に持ち出して使っているところを見せているのがいいですよね。ここで書いた人と作品が合体したと思います。(林)
- くだらない(いい意味で)目的のために注ぎ込んだ努力と高い技術力が無駄なく面白さに変換されていました。こうなったらなんでもアルミで作るといいんじゃないでしょうか。靴下とか作って欲しいです。(安藤)
- 厚みを測るところまでは普通の工作記事かと思って読み進めていたのですが、いきなりCADとCNCフライス版が出てきたところで度肝を抜かれました。最終的に目的は全然果たせてないんですが、「うまく行きませんでした」で終わらせずに、無理矢理オチをつけた執念も買いたい。(石川)
- コンプレックスから入る記事は明るくないと読んでいて疲れてしまうのですが、この記事は後半で町に出て知らない人と交流したり全体通してちゃんと明るいのがよかったです。もちろん技術力もすごい。あと倉敷はやっぱりすてきですね。(古賀)
- CNCフライス盤、酸性の液体…。技術力が高すぎます。計算通りにできてるのがすごいです。 それだけだとはるか高みにいて寄せ付けない印象で終わってしまいそうなのですが、外に出て人と交流しているのでオープンで明るい記事になっていていいですね。(藤原)
レポートマンガ部門には全部で16本の記事がエントリーされました。しかし協議の結果、残念ながら今回は最優秀賞該当作品なし!秀作2本、佳作1本を最優秀賞に選ばせていただきました。こちらも優秀賞の記事は、8/25〜29にかけてトップページでご紹介します。(一部、記事部門にご応募いただいたものもこちらで入賞しています)
【編集部コメント】
- 変わった人たちのレポートですが、決していじったり突っ込んだりするのではなく、同じところに立っている者からの視点だと思いました。陳腐な言い方ですが対象に対して愛がありますよね。サイト全部読みました。(林)
- 画のタッチとエピソードとがものすごくマッチしていると思います。日常のささいな出来事をうまく拾って、それをコンテンツにしてしまう手腕というか力技に感服しました。(安藤)
- この作品が、というよりサイト全体での授賞です。わりと淡々と、解釈を入れずに見たままを描いているのですが、それでも面白いのは浅草の土地の力と、観察眼の鋭さなのだと思います。(石川)
- なんてことないからこそ描き方が難しいと思うのですが、うまくて慣れていて、きれいにオチない気持ちよさがありました。投稿作以外も読まずにはいられませんでした!(古賀)
- 特別感情を込めずに直視してるだけなんですけど、それがかえって出来事のおかしさを際立たせています。 時間が書いてないですよね。細かい背景をうまく省く技があってこそ、この世界観があるんでしょう。(藤原)
【編集部コメント】
- 読むたびに笑いますね。スペースキーでスクロールして読むのにこの間がちょうどいいんですよね。スペースキーマンガという新しいジャンルかも。一生分くらい「ちょちょちょちょちょちょ!」とかうまいですよ。(林)
- 全裸で不審者と格闘、っていう神がかったイベントを素朴な絵だけで記事にする力には恐れ入ります。同じカットなのにキャプションが違うと話がちゃんと展開するんですよね。この手法でもっと地味なイベントのレポートも書いてもらいたいものです。(安藤)
- これは個人的に激オシさせていただきました。同じ絵の繰り返しなのに出てくるたびにどんどん面白くなる。間の力ですよね。4枚目でまた同じかな、と思ったらファイティングポーズ撮ってたところで爆笑しました。味のある絵の力もすごい。他のエントリも面白かった。(石川)
- ふわっとした書きくちなのに絵にも文章にもキレがあるのがずるい。1ブロックごとに笑わせる文章が入っていてずっと笑っていました。ケンカのときのポカポカポカ表現も久しぶりに見られて大満足です。(古賀)
- 同じ絵を繰り返すと瞬間の出来事が拡張されてるみたいな効果がありますね、驚きました。この絵に対する文章には無駄がなくピッとしていて、その組み合わせが素晴らしいです。笑いました。(藤原)
【編集部コメント】
- 時間経過をあらわすマンガのテンポが印象に残りました。題材はややネットにありがちなテーマではあったんですが、そういうネガティブさを忘れる内容ではありました。(林)
- 扱いにくいテーマのはずなんですが、ここまでポップに調理してしまうのはすごい。ダメ出しする青ペンも酷すぎて気持ちがいいし、うまい漫才を見ているようなテンポのよさがありました。絶対続きが読みたくなる作品です。(安藤)
- ネタがネタだけにもっと自虐っぽい感じかなーと思って最初敬遠したんですが、思いのほかポップ。メッセージ待ってる間のイラストとか、細かいところにちゃんとおもしろさを入れてくるこだわりが効いていました。続きを早く読みたい。(石川)
- 青ペン先生が体突き抜けてスカッとしました。ノンフィクションっぽい題材を(フィクションと冒頭で説明していますが)、フィクションに寄せ寄せに寄せて描いているので笑えるんですよね。(古賀)
- メッセージを待つ間のコマの、待ってんだか待ってないんだかな感じとかすごく好きです。これまだプロフィール載せただけなんですよね。なのに満足感があるのは描写が豊かなせいだと思います。(藤原)
残念ながら入賞は逃したものの、キラリと光るもののあったエントリー作品をこちらでご紹介します。惜しかった、とはいってもどれも本当にクオリティの高い秀作ばかり。次回作にも期待しております!
【編集部コメント】
- 先に調べている部分があるので小諸そばとゆで太郎がローソン挟んで立っているのを見ると「おお」と思っちゃいますね。うまいこと引きずり込まれました。これを読んだあとは人形町を見る目が変わりました。世界の見え方を変える記事と言ってもいいのでは(言いすぎかな)。 (林)
- ネットで調べたとはいえ、この件数。かなりの手間暇です。その上でネットで閉じずにちゃんと足を使っているのがよかったです。記事って大きく情報系とバカ系に分けられると思いますが、情報を突き詰めすぎてバカバカしくなっている、という希有な例では。(石川)
- まさにおとなの自由研究。戦況の分析はたまらなく興奮するものがありました。後半、足を使って楽しむという展開があるのがいいですよね。楽しみ方のテーマのひとつ「超隣接タイマンバトルをしている店を心配する」っていうのが好きでした。(古賀)
- すごい力作。陣地の分布など覚えておくと店の見え方も変わってきます。「3店から選べる人形町で働こう!!!!」という力強くも投げやりな提案で終わるのがよかったです。(藤原)
【編集部コメント】
- ピタゴラ装置がきちんと動いててすごい。工作だけじゃなくて、ユザワヤでの興奮とか過程のできごとがちょいちょい描かれていて、そっちを楽しく読んでました。自分の顔が貼ってあるペットボトルには狂気を感じますね。(林)
- やっていることは最初から最後までおかしいんですが、文章が整っているのでふざけている感じがしないんですよね。その流れで最後の動画ですよ。これはさすがに笑いました。やられた。(安藤)
- あー確かに余るわ、あれは余る、という共感から始まったのに、その後、文章は平熱のままなのにやってることが少しずつ狂っていきます。証明写真スイッチがもう、バカバカしすぎて情緒すら感じる出来。めちゃくちゃ長いの作ってほしい。(石川)
- 余った証明写真の使い道を探すために新しく証明写真を撮りに行ってるのが最高ですよね。1記事に1つこういうダメさは欲しいなと思っています。 最後の動画は動画だけでも面白いのですが、「盛り上がってきた!という感じがする」という感想もたまらなかったです。(古賀)
- きっと最初のペットボトルのやつをやってみたときに楽しかったんでしょうね。それからいろいろなパターンをやりだして、迷路に迷い込んでいく感じが好きです。 こういうのは自分が満足する以外に終着点はないと思うのですが、最後、装置を完成させたという一味違った満足とうまく混ぜて気持よくまとまっています。(藤原)
【編集部コメント】
- 電波時計・電波送信所という頭がよさそうなテーマなんですが、冗談をこまめに入れた文章で頭のいい人だけおもしろいレポートになってないところに感心しました。知識を知識のまま書くのではなくて、ちゃんと自分の話にしていますよね。企画はかくあるべしと思いました。(林)
- 電波とか時間とか温度とか、目に見えないものを見えているかのように追いかけ回すのは楽しいですよね。その楽しさをうまくテキストで出してきていると思います。読み応えありました。(安藤)
- こう、物に感情移入している記事に弱いんですよ。この記事も「電波時計も、気持ち嬉しそうに見える」とか書いてあっていいなーと思いました。古賀さんも書いてますが、頭良さそうなネタなのに情緒がありますよね。(石川)
- 電波が受信できない時計への申し訳なさからやる、という動機がすばらしいんですよね。やっていることは頭が良いのだけど、とっつきやすいし、共感しながら読めました。 最後に受信できた時計たちに「わーい」っていわせてるのも一環して愛があって読んでいてたのしかったです。(古賀)
- そうそう、電波時計って電波を取りに行ってるんだよなー、と思いながら読みました。電波時計とゆったり旅をしているような筆致で、情緒あふれています。 時刻が合う瞬間の動画でハチが飛んでるのが作品の雰囲気にピッタリです。天国かと思います。(藤原)
【編集部コメント】
- ここは気になりますよね。かなり突っ込みどころがある題材なので、オーバーな書き方をすると逆に書き手が意地悪に見えてしまうのですが、それを回避して寸止めのところで書いていると思いました。(林)
- これはずるい、こんなの面白いにきまってるじゃないですか。でもお店に入る勇気と面白さを見逃さない選球眼には確かなものを感じました。タイトルも秀逸です。(安藤)
- こういう変なスポット紹介って、面白くしようとして強く突っこんでばかりだと感じ悪くなっちゃうんですよね。そうなってないのがうまいなと思いました。あと地軸が図解してあるのがすごく好きです。(石川)
- 店のおかしさだけにまどわされずに店の人をよく観察していますよね(レコード買おうとして驚かれるあたりなどでしょうか)。だから揶揄している感じがなくて変さだけが際立って伝わりました。すごい。(古賀)
- ここまで対象が面白いのに、変!とかおかしい!とか一言も書いてないんですよね。平熱な感じで対話しながら、そのことをうまく表現していて上手だなと思いました。(藤原)