消えた「男のサラサラヘア」を探して
吉田栄作の写真を探したのだが見つからないところへ、コネタ提携先<a href=http://portal.nifty.com/>DPZ</a>のウェブマスター林さんが「最近サラサラヘアにしました」というのでご登場いただきました。
「昔、『前髪、命』みたいな女、いたよなぁ」と、よく男は笑う。でも、一応、女の立場から言わせてもらえば、「昔、『天使の輪』がある、サラサラヘアの男、いたよなぁ」だ。
前髪をセンターで分けた、昔の吉田栄作みたいなの。昔のドラマを見ると、ほとんどの男がこんな髪型だったりするのに、今はどこに行ったのか?

美容師さん(男)にあの髪型を何と注文すれば再現できるのか聞いたところ、「ツーブロック」もしくは「グラデーション」と言われた。いまどきの髪型は、襟足が長めで横やトップが短かったりするそうだが、当時は下を短くし、上を伸ばしてかぶせるスタイルだったという。ところで、ツーブロックのいちばん極端な例は「モヒカン」だそうだ。イメージ違うじゃん!
「サラサラヘアがいなくなったのは、無造作ヘアが流行りだから。昔みたいに、ブロウしなくなったからだと思いますよ」
ちなみに、サラサラヘア族はかなり減っているが、「絶滅ではない」とも言う。
30代後半から40代くらいにはまだ存在しており、その理由は「昔から髪型を変えていない」ことだとか。
「髪形をどうすればいいかわからないとか、女性は言いやすいでしょうけど、男性は恥ずかしいんですよね。だから、『揃えて下さい』って言って、ずっと同じ髪型になっちゃうんです」

なるほど。ところで、昔、同級生はみんなムースを使っていたが、今、店頭で見かけるのはワックスばかりだ。整髪料の流行にも関係があるのではないか。「マンダム」に聞いてみた。


「その通り、今はほとんどがワックスですね。その前は、ムースタイプが全盛。昔は、ワックスは輸入品やプロ用に若干あったものの、アブラっぽくべたついて、最初はごく一部の人に需要があっただけなんです」(広報・酢谷さん)と言う。そんな整髪料の世界に変化が訪れたのは、90年中ごろ。
「『まとまり』から『無造作』というキーワードが、ファッションで新しい要素となったんですね。古着ブームもその頃から。
『清潔・素朴』だったスポーツ界も、Jリーグ選手が髪を染め、自由に、ワイルドに、おしゃれを楽しむようになりました。それからはワックスです」
つまり、ファッションの流行「無造作」にハマッたのが、ワックスだったのだ。でも、それは機能面だけではないと言う。
「ワックスは、スタイリング時の行動が魅力的なんですよね。ワックスを手にとり、手でざっくりと。また毛先をつまんだりねじったり、ディテールの決めが、なんともかっこいいでしょ? ムースをブラシにとり髪につけ、ドライヤーでセットするより、うんとかっこいい」
ちなみに、ワックス主流はしばらく続くだろうというのが、マンダムの予想とか。

「ますますハード系へ行く方向と、つやを出す方向と、ぱさつき防止などのケア効果を訴える方向が大きなトレンドでしょう」
 
制服のようだった男のサラサラヘアは、時代とともにあまりに大きく変わっている。(田幸和歌子)