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三国志という業界(いきなり中級者向け)

小説や漫画を読んでない人なら、とりあえず鎧とかローブみたいなのを着たヒゲの中国人がワンサカ、て感じだろうか。微妙に聞きかじってると
「なんか、頭のいい爺さんが魔法で風起こして敵がビックリ、みたいな」
なんかロード・オブ・ザ・リングっぽい。また、さらにかじってると
「あのー、矢がささった目を自分で食ったりするヤツだろ?」
なんかスプラッター映画ぽくなってしまう。人肉饅頭とか。

そんな武将の名前を一人も知らない人でも、最新モードを知ったかぶれる三国志知識いきなり中級編。「三国志で最後に残るのは呉」というのを昨年まで知らなかった筆者がお送りします。(いや、結構知らないよね?)

(text by 大坪 ケムタ

三国志のストーリー説明はさておいて(おくんです)。三国志とは正しくは中国史の一時期を指すのだろうけど、現実には小説や漫画・ゲームと人により印象が変わる。もはやメディアに固定されないひとつの「業界」といえるだろう。

今回その業界話をうかがったのは、三国志Tシャツブランド『赤兎馬』を経営している柄沢さんと坪松さん。一見して三国志ネタとは分からないようなオシャレデザインもあるけれど、胸元に著名武将の名前が入った「武将Tシャツ」だけでも80種(つまり80名分)近くリリースしてる所がホンモノです。


赤兎馬代表の柄沢さん(左)と坪松さん。

まずは基本となる最近の三国志業界事情から。
「昔はもちろん吉川英治先生の小説、あと横山光輝先生の漫画が中心だったんですけど、最近はもっぱら『三国無双』とかのゲームと、最近完結した漫画『蒼天航路』(作・李学仁/王欣太)が中心ですね。ただウチもブランド始めて5年になるんですけど、ここ1,2年は女性のファンが増えてるんですよ。実際お客さんの40%くらいは女性なんですよね」


アパレル以外にもこうしたフィギュアなども取扱中。

もともと江戸時代の頃から三国志は日本で人気があり、歌舞伎の演目になったり浮世絵の題材になったりしたのだとか。しかも意外なことに、
「逆に中国じゃ全然人気ないんですよ。京劇とかでも題材として人気があるのは項羽と劉邦(覇王別姫)とか、西遊記とかですね。キャラクターが多くて、誰かに感情移入できるってのが日本向けだったんじゃないですかね?」
たしかに、主に男気系とはいえ「キャラ萌え」的な要素が強いのかもしれない。

赤兎馬さん所蔵の三国志の浮世絵。

 

闘う三国志もあれば、歌う三国志もある

では、ここからが三国志ギョーカイ通になるための質問。三国志業界の最近のトピックとしては?
「最近はプロレスラーで『マスク・ド・三国』って選手がいるんですよ!中国出身で昨年9月にデビューして、それから試合ないんですけどね‥今参戦先を募集中らしいんですけど」

残念ながら試合写真は手に入らなかったが、中国に里帰り中のプライベート写真を柄沢氏から提供していただいた。では紹介しましょう、これがマスク・ド・三国選手!


地元の商店街でにっこり。

正直とけ込めてるのか、とけ込めてないのかわからない。地元なのに。
「あと『マッスル』って団体では『趙雲子龍』『ジャイアント馬謖』って選手がデビューしたみたいですね。必殺技は『泣いて馬謖を斬る』という、自ら味方に斬られて、その死体の重みで相手をプレスする‥」
まぁ、プロレスも三国志もいろいろファンタジーなようです。

それ以外に最近ならではの話題というと?
「テクノアーティストに『おもしろ三国志』って人がいるんですよ」


ライブハウスという名の中原の覇者。

これは自分も見たことがある。ステージ上で打ち込みをバックに「董卓討つべし!」「奥方様!」と叫ぶ、マシンビーツ&スクリーミングなスタイル。
「彼を見ると励まされますね!ハァハァ言いながら『俺の言うことは正しい!』って曹操のセリフ言ってるのを見るたびに『バカだなー、でもカッコイイ!』って。一時期マンネリ化しつつあった三国志魂が彼に火つけられましたから」

プロレスにテクノ、広がり過ぎるくらい広がりつつある三国志の世界。いち三国志ファンから見て、今の状況はどう思えるのだろう。
「もともと三国志って『正史』と『三国志演義』という2冊の本が元になってるんですけど、どっちも怪しいところがあるんですよね。『演義』は実際の時代の数百年後に書かれた小説で、歴史上にいなかった人物とかも出てくるんです。歴史書として認められてる『正史』ですら、作者の父親が疎まれたという理由で諸葛亮を低く扱ってたりするんです。だから正史通り、って固いとらえ方も出来るし、広いとらえ方も出来る幅の広さがずっと人気を保ってる理由だと思うんですよ。だから今のゲームや萌え漫画の三国志だってアリだと思うんです」

 

マスクド三国と共にリングに上がる赤兎ちゃん、の魂

「本命呂蒙、押さえで凌統」そんな答えを言ってみたい

また、三国志とは過去の話であるのはいまさらの事。もちろん「新キャラ」なんて存在しない。しかしシーズンにより「今、この武将がキテる!」というのがあるらしい。では、さらに知ったかぶるために2006年のクる武将とは誰か?最後に2人に予想をお願いした。

「最近陳宮問い合わせ多いよね」「そろそろ呉がちょっと怪しい」「周瑜はもう来てるかな?」「凌統とか?」「黄蓋は来ないかな‥」「程遠志ないですか?ってこの前聞かれたよ」「映画もあるし赤壁クるんじゃないかなぁ」「じゃあ呂蒙が本命、でももうキてるといわれるのも悔しいので押さえで凌統

わ、流石プロだけに2人で超本気予想。正直、誰が誰だか半分もわからん。しかし超楽しそうなのは分かる、いいなぁ。本気で入門しようかいな、三国志業界。


 

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