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特集


ひらめきの月曜日
 
雨のスワンボートめぐり

スワンボートって、どうですか。

や、唐突に聞かれても困るとは思うのだが、最近乗りましたか? もしくは子供の頃、乗ったことありますか? 私はそれほど思い入れもなく、子供の頃にしても乗った記憶があまりない。

乗ったことあるような、ないような、でもどっちみちどこか懐かしい乗り物、スワンボート。なぜだかいきなり乗りたくなって、探してみると今でも割といろんなところで乗れる。へえ。

乗ってきました。雨、降ってたけど。そしたらそれが思ったよりも、ぐっと大人の心をゆさぶる乗り物だったんです。

(text by 古賀 及子

アルバムからひっぱりだしてきた湖の写真
右端にスワンらしき物体が

これ。(あれ? でも屋根がない?)
こちらの池はみっちりの蓮でボートの漕ぎようなし

こんなに頑張って漕がなくちゃだめですか

スワンボート、意外に健在

スワンボートってどこかノスタルジックだ。子供の頃のアルバムの最初の方、黄ばんだページに写ってるイメージ。

そんな歌詞みたいに言い表せるスワンボートだ。今も普通にどこかで乗れるんだろうか。そもそもそれが心配だった。

調べてみると、現在私の住む東京でスワンボートに乗れるのは上野公園、井の頭公園、洗足池公園、総合レクリエーション公園(葛西)など。

思ったよりもスワン健在である。

雨でも船は出るのか

乗れると分かったら思い立ったが吉日だ。早速乗りに行こうと思ったが、天気予報は雨。そういや今は梅雨真っ盛りである。ボートって雨でもやってるんだろうか。

「やってますよー。ただ、ぬれます。スワンボートは屋根がついてますが、前からも横からも、雨、入ってきますから」

雨天の営業を上野公園に電話で聞いたところ頼もしいようなそうでもないような返事が返ってきた。何しろ営業はしているらしい。

私はゴリゴリの雨女である。天気予報が晴れになるのを待ったとしても、私がボートをこぎ出せば、どっちみち雨は降るんだろう。観念して雨だが行ってみることに。

上野公園へ

ボート乗り場は、蓮がみちみち生えた蓮池を超え弁天堂の裏にあった。かなり奥まったところで人けなし。雨も強くなってきてるし、本当にやってるのか。

もしやってたとしても、考えてみればスワンボートって普通二人で乗る物だ。一人だとバランス崩して転覆したりやしないか。足場が雨でぬるぬるして滑って落っこちたらどうすんだ。

物事を目の前にして不安が増幅。好きで乗りにきてるのにもかかわらず、雨のせいかややナーバスに。

? 誰もいない……?

とりあえずチケット購入
猫が見守る中出航準備が始まる

帆を下ろせー!

港の男たち、働く

乗り場にやってくると、誰もいないがチケットは発券中だった。スワンボートは30分700円。ごくり。思ったよりも高いぞ。

スワン型でないタイプの足漕ぎボート(サイクルボートとあった)は600円とスワンより100円安い。白鳥の首の値段が30分あたり100円らしいことが分かった。

「すみませーん、ボート出してもらいたいんですがー」

事務所らしき部屋に人影があったので小さく声をかけてみると、二人の係員の方すぐに出てきてくれた。テキパキ雨でぬれたボートの中をふく。雨にも関わらず、手慣れた動作だ。池とはいえ港の男たちの働きは頼もしい。

その手際の早さに、ややテンションを下げていた私もちょっとの躊躇の暇もなく、ボートに乗り込むことになってしまった。

こうなったら行くしかない。帆を下ろせー! 出航だー! ぶおー! ぶおー!(汽笛) 



 

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