デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

コネタ


コネタ984
 
雪中モアイ

イースター島みやげ。
モアイ酒にモアイ像。

友人からイースター島みやげをもらいました。

イースター島はチリに属する太平洋に浮かぶ島で、皆さんご存知モアイで有名なところです。

友人は、日本からタヒチへ飛行機で24時間、さらにタヒチからイースター島まで5時間の行程だったとか。

「なんていうか感動したよ。
モアイの神秘に……」

そう遠い目をして語る友人が非常にうらやましかったので、その友人を連れて、近くのモアイを見に行くことにしました。

(text by 加藤 和美

自宅から、札幌市内を車で走ること約30分。
真駒内の山中にある「真駒内滝野霊園」が目的の場所だ。


「真駒内滝野霊園」の入り口。
立派な仁王像が立っている…というか背後にもう何かが見えてしまっているが

気温は0度、抜けるような晴天。
先日の大雪で周囲は白銀。
そんなところにあらわれたのが、


はい、ずらり並んだモアイ像。この先にもまだまだ続いている。

反対側から見たところ。向こうにかすんで見えるのもモアイ像。
手前のシカは銅像。本物ではない。

「三十三モアイ地蔵 完成記念碑 2003年3月3日」と書いてある。モアイ……地蔵?
しかしこうずらりと並ぶと、イースター島の本家モアイとは別の意味で神々しさを感じる。

風格ただようモアイ像。
頭と鼻に雪がのってるけど。
モアイ像に近づこうと雪をかきわけて進むが、深い雪にはばまれて転ぶ。今見ると、クックロビン音頭のポーズで転んでいる。

とりあえず数えたら、確かに33体あった…。
あれ?
門の外に、小さな(といっても2メートル超の)モアイがさらに11体ほどあった。こちらは帽子をかぶっているバージョンもある。

このようにみごとなまでにモアイづくし。
同行の友人に感想を尋ねると、

「こんなに一列に並んでると、一番端っこからドミノみたいに倒れるんじゃないかと思う」

いや、そんなことは聞いていない。

まあいい。ここにはまだすごいものがあるのだ。


ストーンヘンジもございます。ほら、この通り雪に埋もれて。

ストーンヘンジというのは英国南部、ソールズベリーにある環状の巨石群のこと。
あちらのストーンヘンジは柵が設置してあって近づけないそうだが、こちらのストーンヘンジは触れる。

ただし、冬以外の季節なら。
今は道が雪に覆われていて、物理的に近づけない。

なぜモアイとストーンヘンジなのか、真駒内滝野霊園のホームページによると、


■モアイ
「『モアイ』の『モ』には未来、『アイ』には生きるという意味があり
『モアイ』とは未来に生きるという意味が込められています。
33基のモアイ像が並び墓参の皆様を迎えます。

■ストーンヘンジ
永久のシンボルとも言えるストーンヘンジが
真駒内滝野霊園でお守りしているすべての
御霊の記念碑となるようにとの思いが込められております。

と、いうことだそうだ。
わかったようなわからないような説明で、ますます悩ましい。
ともかく、モアイとストーンヘンジの他にも、他にもチラホラと変わったものがあった。


ちびっこいモアイが支えている、大変かわいらしいベンチとか(矢印部分がモアイになっている)。
「人頭有翼の獅子像」とか。
…って、これ古代エジプトでは。

いきなり石碑とか。「信ずればその夢かなう 均衡とって、保って 掴めビジネスチャンス」…と、書いてある。DF−POP体で。

はるか遠くには古代ギリシャを思わせる巨大な像もあったり、仏像が売るほど並んでいたりと、結局は石像・石造文化ならオールOKという基準でいろいろ作っているのではなかろうか。

実は去年の5月にもここへ来ているのだが、そのときにはなかった何かが、ストーンヘンジの横で、青いビニールシートに包まれていた。
ここに、また新たな石造物が誕生するのではないかと推測される。春になって雪が溶けたらまた来よう。


冬の札幌は日が傾くのが早い。
3時をまわったあたりから、冷たい風が吹き付けてきて、いてもたってもいられない。気温は一気にマイナスに。
というわけで退散。

■本当はいやしの場です

もったいぶって紹介したものの、札幌市民にはおなじみ(?)の場所、「真駒内滝野霊園」。春から夏にかけては青々とした芝生が広がり、墓参客もけっこういる。

ただ、オンシーズンには、モアイの横に設置されたスピーカーから
「トランス涅槃ソング(抑揚のないサンスクリット語のような歌)」
がエンドレスで流れてくるので、心やすまるかどうかは人しだい、といったところだろう。

もはやモアイは身近な存在。

 

▲トップに戻る コネタバックナンバーへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.