お酒のアテとして、瓶に入った珍味をよく買う。
この瓶詰め珍味、一度にたくさん食べるものではない。ちびちびと舐めるように少しずつ食べ、ぐびぐびと酒を飲む。嗚呼、至福の時。
だが塩辛くて腐りにくいこともあって、つい食べかけの瓶を冷蔵庫に入れっぱなしにしてしまうことが多い。いつのまにか奥へ奥へと押しやられ、最終的にその存在を忘れ去られる珍味たち。嗚呼、不憫。
そんなわけで全く自慢にならないが、瓶詰めのツマミを食べきったことがあまりない。なんとかして、食べ切る方法はないものだろうか。
(高瀬 克子)
瓶詰めの運命
買った当初は嬉しくて、ワクワクした気分で食べる。 わりと値段が高価なこともあり「ようこそウチへいらっしゃいました」と、崇め奉って食べる。
それが、半月もするとどうだろう。
なんだ、この汚らしさは。あんなに私を喜ばせてくれた瓶詰めなのに、魅力がグンと失われている。「食べかけの瓶詰めほど食欲の湧かない物もない」と思うほどだ。
そもそも、珍味ってのは少しでいいんだ。大きな瓶など必要ないだろう。まったく、同じ量を売るのなら小分けにしてくれればいいものを。
…と言いたいところだが、プラスチックの容器は環境に優しくない。やはりガラスの瓶が最適なのか。仕方のないことなのか。
ならば、消費者である私たちが工夫するしかない。
お猪口に、少量ずつ盛りつけてみた。
…うん。これなら箸を付ける気になる。気分は「あら、高級珍味さん、まだいらしたんですか。どうぞどうぞ、私の腹の中へ」だ。
そこへ、誕生日に貰った高級チョコレートの空き箱が視界に入ったので、お猪口を並べてみることに。
うーむ。これは正直、どうでもよかったな。
しかし、これでハッとひらめいた。一見ミスマッチのように思えるチョコレートと珍味だが、盛りつけ方次第で、もっとステキなものに変身するのではないか?
ってなわけで、台所から取り出してきたのがコチラ。
「いつか役に立つ日が来るに違いない」と、安さに釣られて買った紙の容器である。確かに役には立ったが、まさかこういう使い道になろうとは。しかしこれに珍味を入れて並べたら、そりゃもうグッと来るハズだ。
説明書きを読んでみると、なんと80枚も入っているらしい。80枚と聞いて闘志が湧いた。さあ、ちまちま珍味を盛りつけまくるぞ。