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ロマンの木曜日
 
ダチョウに求愛する

動物は求愛活動を行う。多くはオスがメスに対して、自分の方が他のオスよりも優れている事を主張する為の行動をとる。オスのクジャクが翼を広げて派手な柄をアピールして求愛するのは有名だが、その他にもエサを貢ぐもの、大声で鳴いてみせるものなど、その方法は様々らしい。そんな中、今回僕が注目したのは求愛ダンスである。メスの気持ちを引きつける為にオスが踊る。そんな求愛ダンスを人間が真似てみたらどうだろうか? 間違って求愛に答えようとするかもしれない。

ダチョウで試してみた。

(text by 住 正徳



まずは相手を知る事から

まずはダチョウについて知る事からはじめよう。
情報収集こそが恋愛成就のショートカットである。と、適当な事を言ってしまったが、実際、ダチョウについて知ってる事といえば「足が速い」「卵がでかい」くらいである。そもそもダチョウは鳥類なのか?

本屋で「動物誌 第4巻」というオリヴァー・ゴールドスミス先生の本を買った。この本の中に「駝鳥」に関する詳しい説明を見つける事ができる。


「動物誌 第4巻」オリヴァー・ゴールドスミス著、玉井東助編訳(原書房)

「それは全体として鳥の外形と道具だてをそなえているのに、なお四足獣の多くの特長を残している。 〜中略〜 この鳥は、自然界において動物の一つの網と、もう一つの網を分けているあの狭間を埋めるべく創られた動物である。(本文より引用)」

鳥類とほ乳類の狭間だけど一応鳥類。という事らしい。
更にダチョウの特長について、特筆すべき点を箇条書きでお伝えする。

・鳥の中で一番大きい。
・胃が二つある。
・水を全く飲まない(とアラビア人は主張する)。
・すべての動物の中で最も大食。ほとんど何でも食べる。
・脚を使って走る動物の中で群をぬいて速い。
・いつの日かダチョウに乗る事が移動手段として人気になることがあるかもしれない。

今の所、ダチョウに乗って街中を移動している人を見かける事はないが、バイク便や自転車便に代わって「ダチョウ便」、という事だってあり得るのだ。そんな時代が来る前に、ダチョウの求愛ダンスを学ぶ事は無駄ではない。


The Ostrich


ダチョウの求愛ダンスについて

ダチョウの求愛ダンスについてであるが、「動物誌」には詳しい記述がなく、ネットで検索してみた。いくつかダチョウの求愛ダンスを解説するページを見つけたが、どのページもほぼ同じ内容で、

「羽を広げてゆっくりと交互に動かしつつ、首を8の字に回す」

という動きがダチョウの求愛ダンスの特長らしい。

今回は、そのダンスをダチョウの前でやってみる訳だが、ここで再び「動物誌」の内容に戻る。ダチョウを食べる習慣のある人たちがどうやってダチョウを捕まえているか、という内容の記述である。

「頭からすっぽりとダチョウの皮をかぶり、一方の腕を首に通し、この鳥のあらゆる動作をまねてみせる。この策略によって彼らはダチョウに近づき、やすやすと捕まえてしまう(本文より引用)」

皮をかぶってダチョウのマネをしてる人間を「あっ、仲間」と思ってしまうというのだ。ダチョウ、油断し過ぎである。しかし、そのおっとりとした性格が今回の実験の成功を予感させてくれる。マネて見せればその気になってくれるかもしれない。

ダチョウの皮は用意出来なかったので、代わりに白い布と黒い布を用意した。


ダチョウを模倣するための布

この布の真ん中に腕が通るくらいの穴を開けて頭から被る。穴から片腕を出してダチョウの首に見立て、前述の求愛ダンスを真似る訳だ。

2枚の布を持って、求愛ダンスの舞台である上野動物園に向かった。


舞台は上野動物園

事前に電話で確認したところ、上野動物園には一匹だけダチョウがいるという。15時から16時半までの間、一般公開されるらしい。



 

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