夏がやってきた。
ぼくの夏の記憶は倉庫と結びついている。暑い暑い夏の日、工業地帯の倉庫街、じりじりと照りつける太陽のもとでぼくは倉庫街を自転車で走っている。準工業地域で育ったぼくの遊び場はそういう場所だったのだ。だから、大きな倉庫群を見るとノスタルジーを感じる。
まあ、そういう環境で育つとこういう大人になってしまうわけですが。
今回はそんな個人的な思い入れもあって、工業地帯の倉庫を鑑賞してみました。
(text by 大山 顕)
こういう光景がぼくの原風景だ。100%サバービアの血がぼくには流れている。初めて恋をしたとき。理由なき苛立ちにさいなまれていたあの日。いつもそこには工業地域の光景があった。思い出すと思わず目頭が熱くなる。
うそ。言い過ぎた。特に目頭とか熱くなんないし、理由なき苛立ちとか無かった。
毎度のことながら賛同を得にくい鑑賞趣味なのでなんとかロマンチックな方向へ話を持って行こうと思ったのですが、はやくも限界です。
以前林さんと工場を見て歩いたこ とがある。あのとき鑑賞したのは化学プラントを中心とした分かりやすい魅力の構造物だった。それらデートにも活用できそうなとっつきやすいスペクタクル ビューと違い、おなじ工業地域でも倉庫街は、渋い。派手な要素はどこにもなく、そこにあるのはただストイックなたたずまいの構造物だ。
しかし、普通の市街地ではお目にかかれないそのスケール感やテクスチャは、じっくり見ていくとなかなか見応えのある構造物だ。ぼくなりに精一杯フォトジェニックに撮影してみたので見てみて欲しい。