富山県魚津の蔵元へ
そもそものきっかけは4ヶ月前の両国だった。
昨年の10月に開催された「日本酒天国」というイベントに参加した際、富山県本江酒造の宮内さんが声をかけてくれたのだ。
「いつもデイリーポータル見てますよ。今度、うちの蔵元も取材してください」
「ええ、是非行きたいです」
普通なら社交辞令で終わっていた会話かもしれない。しかし、イベント会場で飲ませていただいたお酒があまりにもおいしかったのだ。行かない訳にはいかない。
で、本当にお邪魔させていただく事に。
まさか本当に来るとは、と宮内さんは思っているだろうか? それでも、おいしいお酒が東京と富山の距離を縮めてしまったのだから仕方ない。飛行機とJRを乗り継いで約2時間、北陸本線の魚津駅に降り立った。
「駅のタクシーに本江酒造まで、と伝えてくれれば着きますから」
事前の連絡で宮内さんからそう言われていた。
会社の名前を言えば着くなんて、きっと地元の名士に違いない。駅から本江酒造さんに向かうまでの間、タクシーの中で姿勢を正す。女性の運転手がダッシュボードから暖かいおしぼりを出してくれて、こういうちょっとした気遣いが嬉しいですよね、なんて運転手さんと和んでいたらワンメーターで本江酒造に着いてしまった。
降りる時に領収書を要求すると面倒臭そうにされて少しがっかりする。
酒蔵を見学する前にお酒の基本を
蔵元までやって来ておきながらアレですが、実は僕、日本酒についてほとんど何も知らない。吟醸とか純米とか、その違いは何なのか? さっぱり分からない。
そんな僕のために、宮内さんは日本酒の仕組みを簡単に教えてくれた。
・精米の歩合によって、本醸造、吟醸、大吟醸と区別される。
・精米歩合70%以下(お米を30%以上削る)で本醸造、60%以下で吟醸、大吟醸は50%以下。
・仕込み後にアルコールを添加しないものが純米酒。
なるほど。
大体の仕組みが分かったところで、次は蔵の中へ移動します。
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