秋のぶどうが採れる頃に、おいしいワインができますように、という願いをこめて行われるという伝統的なイベント「ぶどう踏み」というものがあるのをテレビやインターネットで見たことがある。大きな桶に入ったぶどうを素足で踏むのだ。その参加資格は「乙女であること」。
よくよく思い出しても、確かに、華やかな民族衣装を着た女性がスカートをたくし上げ、ぶどうを踏み踏みしている記憶しかない。だがそこで、天啓がひらめき、思った。
「あれは本当に乙女なのか?」
だいたい乙女かどうかなんて確認しようがないではないか。「あなたは乙女ですか?」なんて質問しようがない。もの凄い勢いでセクハラだ。他の確認の方法なんて想像も……つ、つかない。
そこで唯一絶対、乙女に最も近い実存である自分が挑戦してみることにした。強いて難点を挙げれば、性別が違うところであろうか。男女平等とか言われている世の中なので、男が乙女だっていいですよね。
(text by 藤原 浩一) |