「隕石落ちないかな〜」と思っていた。
それは働いていた頃の話で、その会社のことが嫌いで、嫌いで毎晩お布団の中で「会社に隕石落ちろ！」と願っていたのだ。「お布団」と少し可愛さをアピールしながら、その後に続く言葉が「隕石落ちろ」だ。一番危ないタイプな気がする。

もし会社に隕石が落ちたら出社しなくてよくなる。
当時はそんなことを考えながら朝を迎えていた。するとあるとき隕石は会社全体には落ちず、僕のいた部署にだけ落ちた。もちろん隕石と言っても本物ではない。「不況」という名の隕石だ。その隕石のおかげで僕のいた部署だけ綺麗に消滅してしまった。ピンポイントに落ちたもんだ〜と思ったことを覚えている。

最近はそんなことは考えない。
毎日楽しいし、充実しているからだ。といっても、たまに小さなことは考える。たとえば付き合っている女性と喧嘩した時などだ。「Suica」が上手く改札で反応してくれず、通過するのにすごい時間を要せばいいのに、などと考えるのだ。あるいは、テレビのリモコンがいっつもどこにあるか分からずチャンネルを変えるのにすっごく時間を要せばいいのに、などの小さなことを考えるのだ。

しかし、そういうことを考えているとそれらは自分に起きる。
隕石も自分に落ちたけれど、「Suica」も全然一発で通過できない。テレビのリモコンに至っては、そもそもテレビが家にない残念な状況だ。そういうことを考えていると、全部自分に帰ってくるのだ。そういうことは考えてはいけないのだと身を持って学習した。

そのため、今の僕は世界平和を願っている。
みんな「Suica」を一発で通過できればと思っている。リモコンを失くさないようにテレビの横にボンドで接着してあげようかと考えている。そんな清らかな考えの持ち主なのだ、僕は。

そして、「かつおだし」のような美味しいものをみんなに食べて欲しいと願っている。
口に一口入れれば、かつおダシの味と匂いが心地よく、胃も心も満足の二文字で満たしてくれる。具は入っていないけれど、その味や匂いのおかげで、もう一口、また一口とすぐに食べ終わってしまった。クセになるシンプルな一品だ。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2011/02/02 21:00:00 )