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ココストア唐揚マヨ

ココストア唐揚マヨ
唐揚マヨ ココストア 115円(今日、渋谷でばったりライター藤原さんに会って照れました)

寝すぎると頭が痛くなる。
と聞いたことがある。実際にそうだという人の話も直接聞いた。寝すぎて頭が痛くてさ、などと当たり前のように彼ら彼女らは言うのだ。どれくらい寝ると痛くなるかと聞くと、10時間も寝れば確実と言う人もいた。たった10時間で、と僕は思う。

僕は一度も寝すぎて頭が痛くなったことがない。
いくら寝てもただの一度も痛くなったことが無いのだ。休みの日など僕は最低16、7時間は寝ている。しかし頭は微塵も痛まない。むしろまだ眠たいと思いさらに寝ようか悩むくらいだ。だいたい、それからさらに寝るのだけれど、起きたとき頭はやっぱり痛くない。むしろ冴え渡っている気すらする。

そんな話をすると知人が言った。
「時間の無駄じゃない?」と。確かにそうだと思い、急にドキドキした。僕はいくら寝ても頭が痛くならないことをいいことに、ただただ寝ていた。多くの人々が街に繰り出し遊び、笑い、戯れる時間を僕は一人寝ていたのだ。夜寝て起きたら夜なのだ。そこには遊びも笑いも戯れもない。孤独に天使のような寝顔で一人寝ているだけなのだ。

それに気がつき失われた時間の長さを知った。
僕は睡眠時間確保するため学生時代から部活などには一切入らなかった。少しでも早く帰り昼寝がしたいと思っていた。休みの日も学校に行って部活をするなど考えられなかった。昼過ぎまで寝たかったのだ。その結果、僕が寝ている時間クラスメイトは青春の汗を流し、僕は寝汗を流した。青春の汗とは正反対に位置する寝汗。同じ汗というカテゴリーにあるのに全く別物な気がする。寝汗は工業地帯の海を思い起こさせた。

働いている時も睡眠を優先した。
家に帰ってくるとすぐに眠り、休日はずっと寝ていた。たまに遊びに誘われても睡眠のために断った。「仕事」「恋愛」「遊び」という3つのカテゴリーで同僚たちは汗を流し、僕はそのカテゴリーにない「睡眠」でやっぱり寝汗を流した。あぁ、なんて無駄な汗を流していたのだろうと思う。

違う知人にもそんな話をした。
寝すぎる人は頭が悪いらしいよ、と当たり前のように言った。外国でそういう実験があり、8時間寝た時より、10時間寝た時の方が頭が悪いらしいのだ。それが本当だとすると僕はそうとう頭が悪い。そもそも睡眠時間を最優先している時点でそうとう頭が悪い。友情や恋愛より睡眠を優先してきたのだ。賢いとは言いにくい。

睡眠で手に入れたものは何だろうと考える。
……ない。何も浮かばない。全然何も浮かばないのだ。せっかく見た夢も起きるとすぐに忘れてしまう。しかし、無駄な汗を流さないように薄着で寝るようにした。少し賢くなってきている。先の外国での実験は嘘に違いない。そう思っている。

そして、「唐揚マヨ」は眠気が飛ぶ程に美味しかった。
袋を開けたとたんに唐揚の匂いがして食欲がそそられる。一口齧るとその唐揚の大きさに驚く。素晴らしいボリュームだ。高校時代の部活帰りに食べたいと思うそのボリュームと美味しさに、失った大事な高校時代が戻ってきた気がした。いつまでも変わらぬ味でいて欲しいと願ってやまない、おにぎりだった。 ( 2011/02/06 21:00:00 )




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