有毒生物はたいがいが警戒色というやたら鮮やかな色彩をしており、「近づくとひどい目みっぞコラ」と世間に警鐘を発している。言ってみれば、毒は持って悪ぶっているものの、殺傷沙汰とかそんな前科が付くような大げさな事態は避けたいし、できればびびって引き下がってもらいたい、くらいの三下的なマインドである。
だが、このオニダルマオコゼは、背ビレや腹ビレに人を殺傷する程の毒トゲを持ちながら、珊瑚礁の岩礁とすっかり同化してしまう保護色をしており、気付かずに踏んだり触ったりして刺される事故が後を経たない。刺しにいっている。本職である。けれんみの無い殺意だ。
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