特集 2011年7月1日

三脚にカメラ以外も付けられるとしたら、あなたはどうしますか

僕は立ち食いをやりました
僕は立ち食いをやりました
カメラの三脚についているネジは1/4ネジというそうだ。当サイトの松本さんの記事で知った(「ネジをつければなんでも三脚になる」)。

このネジはホームセンターでふつうに市販されている。松本さんはネジを使って色々な物を三脚にしていた。

しかし、ネジが販売されているということは、ナットもふつうに買えるはず。お、逆転の発想だ。この大きさのナットを付ければなんでも三脚に立てられるんじゃないのか。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)



> 個人サイト ふしぎ指圧

ナットもふつうに買えた

ネジが売っているなら、絶対にナットも売っている…そう思っての出発だったが、僕は工作の知識が全然ないので、そういう前提が合っているかどうかも不安だ。

念のために最寄りではなくて、2駅先にある少し大きなホームセンターに向かった。
一袋100円
一袋100円
簡単に買えた。しかし…だ。

これが本当に三脚のネジに付くのだろうか。松本さんの記事によると三脚に使われているのは1/4ネジ。このナットにも1/4と書いてあるので付くと思うのだが、何か僕の想像もしていない、とてつもない大きな前提があってこのネジがつかないということも考えられる。

以前、工作記事がうまくいかなかった経験があり、こういう材料選別には全く自信がない。
付いた…!
付いた…!
なんと、正解だった。

僕はそんなにカメラやその周辺機器のことは知らないが、三脚にいろんなものが付いたら結構すごい発明だと思う。

それがこんなに簡単にいってしまうなんて…まるで夢の中みたい。気持ちがフワフワしてきた。
「夢の中みたい」を図解してみるとけっこうややこしいですね
「夢の中みたい」を図解してみるとけっこうややこしいですね
盛り上がってきた。今回の工作は瞬間接着剤でナットを付けてしまえば良いので簡単だ。

編集部の工藤さんに写真撮影をお願いしよう。その場でいろいろなものにナットを付けて三脚に立てて使ってみるのだ。

この時は、まだ失敗はないと思っていました。
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まずはメモ帳から

外でちょうど良い高さに固定して便利なのはメモ帳だろう。
スマートなビジネスツールに見えませんか
スマートなビジネスツールに見えませんか
ナットをメモ帳に付けて固定しています
ナットをメモ帳に付けて固定しています
一応書ける、が…(左腕に力が入ってしまう)
一応書ける、が…(左腕に力が入ってしまう)
思ったよりもメモ帳がグラつく。ササッと反射的に左手がメモ帳を固定しようとするが、必死で動かないように押さえた。

それをやると三脚に固定する意味がないからだ。
グラついたところでとったんだろうな、というメモができあがった(そして押さえきれない左手)
グラついたところでとったんだろうな、というメモができあがった(そして押さえきれない左手)

左腕がムズムズ

次にiphoneカバーにナットを付けてみる。これもなかなか良いと思うのだ。電気屋さんに行くといろんなiphone固定グッズが売っている。
そんなグッズを買わなくても、ちょっとした工夫でiphoneが固定できます
そんなグッズを買わなくても、ちょっとした工夫でiphoneが固定できます
左腕が変な位置で固定された
左腕が変な位置で固定された
このiphoneも安定しない。そもそも、いつも三脚に載せたカメラはなんで安定してるんだっけ、と思う。

(→それはナットが本体に埋め込まれているから。ここで気づいた)

そして不安定さをかばおうとして反射的に動き出す左手。それを食い止めようとして意識していたら上半身全体にガッチリ力が入ってしまった。
これは間違いなく肩が凝るパターンですね
これは間違いなく肩が凝るパターンですね
なんじゃこの体勢
なんじゃこの体勢
細かいところであんまりうまくいっていない感じが目立つ。

しかし、ひるがえると、それは大局的にはうまくいっていることの証拠なんじゃないか、という気がしないこともない。なにしろ、ナットを介してちゃんと三脚に物がくっついているのは間違いないことなのだ。

まだこのアイディアが成功なのか失敗なのか確信が持てない。
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左腕がすっかり疲れてしまった

なるべく左腕が関係ないようなことをやりたい。


歯ブラシを固定しておくのはどうだろう。野外でその辺に歯ブラシを置いておけない時、三脚があればでっかい歯ブラシ立てになるのだ。
三脚の周りを人間がぐるぐる回りながらつける
三脚の周りを人間がぐるぐる回りながらつける
立てたら歯ブラシが凛とした
立てたら歯ブラシが凛とした
野外で三脚に立っている歯ブラシを見て「かっこいい」と思ってしまった。いつも洗面所の隅でちょこんとしている様子から考えると段違い。なかなか良い曲線をしておる。

オフィスでは今ひとつさえない同僚と、偶然野外フェスで会ったら、意外とかっこ良かった…みたいな感じだろうか。

最近はやった『モテキ』というマンガが、たしかそんな話だった。歯ブラシはモテキだったのだ。
僕からモテているだけだけどな
僕からモテているだけだけどな
実際使うときはこのように外すのですが(よく考えたら三脚の周りをぐるぐるしなくても良い)
実際使うときはこのように外すのですが(よく考えたら三脚の周りをぐるぐるしなくても良い)
公園で歯みがきしているのってかなりダメな感じがしますね。実家の両親が泣く
公園で歯みがきしているのってかなりダメな感じがしますね。実家の両親が泣く
歯ブラシが野外に立ったときはかっこいいと思ったのだが、「公園で歯みがき」のインパクトが強すぎて、三脚が本当に歯ブラシ立てに適しているのかがちょっと評価できない。

歯みがきはしないで鑑賞だけしておくというのはどうだろう…いや、そういう意味不明さを狙った記事のつもりじゃなかった。
エンピツも立てた
エンピツも立てた
勢い余ってエンピツも立てたが、全然意味がない。

これでも、企画を立てた瞬間はビジネスライフハック記事のつもりだったのだ。次が最終ページなのでもうちょっとリカバリを計りたい。
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立ち食いそばをやりたい

もう少し三脚で立てることの必然性というものを考えるべきだったのだと思う。

そこを反省して、次に立てるのは「丼」。これにそばを入れたらいつでもどこでも「立ち食いそば」ができる、というわけである。
ところが、丼の底にナットがつかない
ところが、丼の底にナットがつかない
今度は三脚に立てる以前のところでつまづいた。瞬間接着剤では、丼とナットがなかなかつかないのだ。

今回撮影係をしてくれている編集部の工藤さんから「あー そりゃそうですよね」というような感じのコメントを貰った。

どうやら常識らしい。ショックだ。
この時ふとこんなことを思った
この時ふとこんなことを思った

さらに強力な接着剤を

ここで工藤さんが「ものすごく強力でこれが効かなかったら諦めた方が良い」という超強力接着剤を貸してくれた。

工藤さん、接着剤の使い方に詳しいだけでなく、実際に良い接着剤を持っている。すごい。

僕も接着剤のことで困っている後輩に、スッとすごい接着剤を差し出したりしてみたいものだ。
なんとかついたように見えたが
なんとかついたように見えたが
「バキッ」という音がしてナットが外れた
「バキッ」という音がしてナットが外れた
ナットについた半乾きの超強力接着剤が、三脚のネジの上で固まって行く!(大急ぎでニッパーで外した)
ナットについた半乾きの超強力接着剤が、三脚のネジの上で固まって行く!(大急ぎでニッパーで外した)

板が一番便利

丼はつかなかったが、立ち食いは諦めきれないので、最後の手段を使う。

それは、板だ。
板にナットは簡単についた
板にナットは簡単についた
安定のために三脚を2台使う
安定のために三脚を2台使う
板は全ての三脚の上につける物の中で、一番だと思う。なんでもかんでもこの上に乗っけてしまえばいいのだ。

こうしてやっと「立ち食いそば」ができた。
しかし今原稿を書いていて気づいたんだが、うどんだ
しかし今原稿を書いていて気づいたんだが、うどんだ
それにしても、カップを持ち上げて食べると、三脚と板で作った台が不要な気がして、焦る。
ビールを買ってくれば立ち飲みにもなる
ビールを買ってくれば立ち飲みにもなる
これも缶を持ち上げた瞬間、板と三脚も不要な気がしてきてしまう
これも缶を持ち上げた瞬間、板と三脚も不要な気がしてきてしまう
いや、立ち飲みにしても立ち食いにしても、ずっと持ち上げ続けているわけじゃない。ときどき物を置いて休むわけだから、やっぱり三脚と板は絶対に必要なのだ。

この大きい板、せっかく持ってきたのだからあんまり不要とか考えたくない。
でもこうして引いて見ると、やっぱり要らないのかもしれないなとも思う
でもこうして引いて見ると、やっぱり要らないのかもしれないなとも思う

ダメじゃないはず

今回の結果は、一見ダメっぽく思えてしまうが、決してそんなことはないと思う。そもそも三脚はカメラ用に作られた物だ。僕たちはその完璧に完成された連携を、日頃から余りに見慣れ過ぎた。

そう考えれば、今回の僕は、わりと三脚の可能性を良いところまで追求できたんじゃないか。
丼を公園の水道で洗ってるのはどう見てもダメっぽかったけど
丼を公園の水道で洗ってるのはどう見てもダメっぽかったけど
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