特集 2011年9月25日

日本橋の缶詰セレクトショップ

日本橋1丁目1番地1号。日本橋の直ぐ近くで缶詰が買えます。
日本橋1丁目1番地1号。日本橋の直ぐ近くで缶詰が買えます。
「缶詰を買いに行く」と言ったら何処に行きますか?大体は近所のスーパーやコンビニですよね。たまには日本橋まで買いに行ってはどうでしょうか?

江戸五街道の起点。日本橋のすぐ近くにいい缶詰屋がありました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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国分株式会社のセレクトショップ

目的のお店の住所は東京都中央区日本橋1-1-1。日本橋横のビルの1階にあります。
缶詰を売っている店とは思えない佇まい。
缶詰を売っている店とは思えない佇まい。
ここは「K&K」のマークが入った缶詰でおなじみの、国分株式会社の本社ビル。このお店は、来年創業300年を向かえる国分が作った、国分ブランドのセレクトショップです。
その名も「ROJI 日本橋」。確かに、車通りの多い通りからほんの少し路地に入る。
その名も「ROJI 日本橋」。確かに、車通りの多い通りからほんの少し路地に入る。
スタッフ手書きのポップな看板も有る。
スタッフ手書きのポップな看板も有る。
お店は7坪程度の大きさ。外からパッと見た感じでは缶詰を売っているようには見せません。和菓子屋とか、食器類を扱っているような店に見えます。

しかし、小さいながらもかなりの数の商品が揃っています。こんな感じ。
缶つまプレミアムシリーズなどほぼコンプリートだ!
缶つまプレミアムシリーズなどほぼコンプリートだ!
コンビーフ、ウインナー、乾パン。K&Kの定番はしっかりキープ!
コンビーフ、ウインナー、乾パン。K&Kの定番はしっかりキープ!
福神漬けの缶詰(日本橋漬け)。初めて見た!
福神漬けの缶詰(日本橋漬け)。初めて見た!
果物缶も大体揃っている。ブルーベリーなんてのもあったのか!
果物缶も大体揃っている。ブルーベリーなんてのもあったのか!
ギフトセットでしか買えないフルーツコンポートもバラで購入可能だぜ!
ギフトセットでしか買えないフルーツコンポートもバラで購入可能だぜ!
非常食セットも有り!
非常食セットも有り!
普段あまり見かけない商品も置いてあり、思わず興奮してしまいました。コンビーフに、乾パン、焼き鳥、大和煮ぐらいしかスーパーなどでは見かけないので、こんなに色々揃っているとなんだか嬉しい。

新商品は当然揃っている

そして、缶詰会社のやっているセレクトショップなので、新商品もいち早く置かれています。
「ムール貝の白ワイン蒸し風」。オッサン度の高い立ち飲み屋には似合わぬ商品か。
「ムール貝の白ワイン蒸し風」。オッサン度の高い立ち飲み屋には似合わぬ商品か。
赤貝のどて煮風。君は下町の裏道にある立ち飲み屋でもOKだな。
赤貝のどて煮風。君は下町の裏道にある立ち飲み屋でもOKだな。
紀州沖どりさば油漬け。脂の乗ったさばを更に油につけるとは。人間はなんて油の好きな生き物なのだろう。
紀州沖どりさば油漬け。脂の乗ったさばを更に油につけるとは。人間はなんて油の好きな生き物なのだろう。
紀州沖どりさばラー油漬け。ただの油に飽き足らずラー油とは!うまそうじゃないか。
紀州沖どりさばラー油漬け。ただの油に飽き足らずラー油とは!うまそうじゃないか。
どの新商品もうまそうです。実は少し前まで缶詰つまみは変に甘いとか、硬くてバサバサ。そんなイメージがありました。最近こういった缶詰つまみを色々食べる機会がありまして、その考えが変わった。

最近の缶詰は昔と違って、肉が硬くてバサバサとか、変に缶詰臭いということがありません。かなり進化しています。このあたりの新商品も是非試してみたい。
「にんべん」とのコラボ商品「にんべんつゆの素 ぬれおかき」。他各種コラボ商品。
「にんべん」とのコラボ商品「にんべんつゆの素 ぬれおかき」。他各種コラボ商品。
国分の甘酒や缶詰つまみレシピ本。酒やレシピで後方支援もバッチリ。
国分の甘酒や缶詰つまみレシピ本。酒やレシピで後方支援もバッチリ。
そして、こちらのお店では缶詰以外のこんな商品もあります。鰹節の「にんべん」のツユの素を使ったぬれおかき。一番の売れ筋商品だそうです。他にもいくつか日本橋界隈の老舗のお店とのコラボ商品がありました。

缶詰レシピ本や、それを抜粋した無料の小冊子なども置いてあります。
売れ筋商品も試食できる!
売れ筋商品も試食できる!
更に、更に。こちらのお店。日替わりの試食も用意されているのです!

早速頂いてみましょう。
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休憩スペースもある

小さなベンチが1つだけの休憩所。更に奥には川沿いのテラス席があり日本橋が望めるが、そこは隣のレストランの物なので使用はできない。
小さなベンチが1つだけの休憩所。更に奥には川沿いのテラス席があり日本橋が望めるが、そこは隣のレストランの物なので使用はできない。
試食の品を貰って店の奥の休憩所にやってきました。小さいながらも、ここで外を眺めながらお茶を飲んだりできます。
にんべんのぬれおかき。フルーツコンポートのあかつき。国分ラベルの烏龍茶はサービス。ちなみにこの場所からの景色は、ほとんどが首都高とその橋脚です。
にんべんのぬれおかき。フルーツコンポートのあかつき。国分ラベルの烏龍茶はサービス。ちなみにこの場所からの景色は、ほとんどが首都高とその橋脚です。
試食ということで、沢山入った容器の中から爪楊枝で突いて食べる程度と思っていましたが、随分としっかりとした物で出てきました。嬉しいやら申し訳ないやら。先にフルーツコンポートの方を食べてみました。柔らかい果肉と爽やかな香りが実にうまいです。

そして、ぬれおかきを食べる際にはこんな物を用意してみました。
この日は暑かったから、お茶じゃない缶入りの冷たいなにかが欲しかったんだ・・・
この日は暑かったから、お茶じゃない缶入りの冷たいなにかが欲しかったんだ・・・
こちらのお店では、商品として甘酒は置いてあるものの、特に酒類の販売などはしていません。ただ、休憩所で飲む分には構わないという話だったので、近所のコンビニで調達してきました。

缶詰の店なので缶ビール。なにが、「なので」なんだ。まあ、いいか。
ぬれおかきに合うねー。暑い日には川沿いでビールだねー。ここからは見えないけど。
ぬれおかきに合うねー。暑い日には川沿いでビールだねー。ここからは見えないけど。
ぬれおかきはモッチリとしていて、おかきというよりも餅でしょうか。少し歯応えのある磯辺餅?みたらし団子?めんつゆを使っているので、醤油よりもサッパリとした風味です。これはうまい。ナイスコラボ。
ちなみに、休憩所の横に貼ってあった国分株式会社の歴史年表によると、創業は1712年。醤油醸造所として始まったそうです。
ちなみに、休憩所の横に貼ってあった国分株式会社の歴史年表によると、創業は1712年。醤油醸造所として始まったそうです。
創業の10年前にに起きた事件が赤穂浪士の討ち入り。流石、創業300年の歴史。
創業の10年前にに起きた事件が赤穂浪士の討ち入り。流石、創業300年の歴史。
そして、こちらの休憩所。もちろん店で買った商品を開けて食べることも出来ます。ただし、箸などは用意されていないので、缶詰を食べる際にはマイ箸持参となります。ゴミも持ち帰り。
色々見ていたらその場で食べたくなったので開けてしまいます。缶詰と一緒に缶入りの日本酒も。だんだんダメな大人になっていくような・・・
色々見ていたらその場で食べたくなったので開けてしまいます。缶詰と一緒に缶入りの日本酒も。だんだんダメな大人になっていくような・・・
ということで、缶つまプレミアムシリーズの「あなご蒲焼」を開けてみました。
あなご蒲焼は美味しいのだが、後ろめたい気持ちになるのは隣のレストランから丸見えの位置だからか。
あなご蒲焼は美味しいのだが、後ろめたい気持ちになるのは隣のレストランから丸見えの位置だからか。
あなごの蒲焼は甘辛く味付けされ、缶詰の割にはふっくらとしていて美味しいです。日本酒にもよく合います。

よく合うのですが、ここまでくるとなんとなく寂しさを感じる。なぜ・・・

そうか、そういうことか

その答えはお店の中にある小冊子にありました。
缶詰めを使ったつまみのレシピ本から抜粋した幾つかのレシピが載っています。無料で貰えた。
缶詰めを使ったつまみのレシピ本から抜粋した幾つかのレシピが載っています。無料で貰えた。
この本には缶詰のつまみを作る際の心得が記載されていました。
盛りつけか!
盛りつけか!
お店で売られていた缶詰は、そのままでも十分美味しい缶詰でした。しかし、その場で開けて色々食べているとなんだか寂しい。

缶から直接食べていると、実に華が無いのです。見た目も味の内といいます。
国分の缶つまシリーズを色々購入してきた。
国分の缶つまシリーズを色々購入してきた。
ここはひとつ、本の教えに従い缶詰レシピを色々試してみたいと思います。
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まずは盛りつけてみよう

では、まずこの缶詰を盛りつけて食べてみます。
肉の缶詰と言ったら焼き鳥かコンビーフぐらいしか昔は知らなかったなー
肉の缶詰と言ったら焼き鳥かコンビーフぐらいしか昔は知らなかったなー
牛肉のバルサミコソース。まろやかな酸味のあるバルサミコソースのかかった柔らかい牛肉の煮込みです。特に手を加えることなく、美味しく食べられます。
まあ、美味しそうに見えると言えば見えますが・・・
まあ、美味しそうに見えると言えば見えますが・・・
缶を開けるとゴロッとした牛肉が調味液に漬け込まれています。肉だけに視線を集中させれば美味しそうに思える。しかし、全体で見るとやはり味気なさがあります。では、盛りつけてみましょう。
これが盛りつけ効果か!
これが盛りつけ効果か!
盛り付けてみると、ただ容器に入った食べ物が一気に料理となりました。箸で持って皿の上に置いただけなのに。
気分が上がる!日本酒も進む!
気分が上がる!日本酒も進む!
切った水菜とプチトマトを添えて、そこに缶詰を開けるだけ。5分とかからない手間をかけただけで格段に違うものに見えます。

続いてこちらも盛り付けてみましょう。
さばラー油漬け。新製品。
さばラー油漬け。新製品。
紀州沖どりさばラー油漬け。脂の乗ったサバを更にラー油に漬けた優れもの。
このままでも十分美味しいと思う。だが、しかし。
このままでも十分美味しいと思う。だが、しかし。
ラー油の鈍く光る赤が、脂でテラッたサバの切り身をよりうまそうに演出しています。ではこれを盛りつけてみましょう。
お店で出てくる気の利いた1品のようだ。
お店で出てくる気の利いた1品のようだ。
シソの上において小ネギを散らしてみました。1分程度の作業。それだけで缶詰の中のサバが脂以外でも光って見えるようです。
サバの旨味とラー油の辛さが酒を進めるね。缶詰、侮れない。
サバの旨味とラー油の辛さが酒を進めるね。缶詰、侮れない。
並べて目をつぶって食べたら、缶のままでも盛り付けても、当然全く同じ味です。しかし、視覚というのは味覚を左右する大きな要因の1つ。盛りつけは大事。

アレンジしてみよう

続いては、本に出ていた缶詰レシピを試してみたいと思います。まずは結構意外な組合せだったこちら。
さんまれんこん缶とミントとマヨネーズ。ミントなんてお茶やアイスに入れるぐらいしか使ったことがない。
さんまれんこん缶とミントとマヨネーズ。ミントなんてお茶やアイスに入れるぐらいしか使ったことがない。
本によると、魚の缶詰とミントは好相性だそうです。しかもそこへマヨネーズを加えるという意外性。
さんまれんこん缶にマヨネーズを15g.。ミントを5g加えて合えるだけ。凄い缶単。いや、簡単。
さんまれんこん缶にマヨネーズを15g.。ミントを5g加えて合えるだけ。凄い缶単。いや、簡単。
出来た物がこちら。
これにはビールだね。
これにはビールだね。
これは意外な美味しさでした。魚の缶詰の甘さがマヨネーズで穏やかになって、ミントの香りでサッパリと爽やかに感じます。実にうまい。ビールなどによく合います。

では、もう1品作ってみます。
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お次は牡蠣の缶詰で

続いて試してみる缶詰アレンジレシピはこちらを使います。
かきの燻製油漬け。ミョウガ、ナンプラー、ライムを使用。ライムが無かったのでレモン汁で代用。
かきの燻製油漬け。ミョウガ、ナンプラー、ライムを使用。ライムが無かったのでレモン汁で代用。
こちらの缶詰レシピも基本混ぜるだけです。
ナンプラーと絞ったライムを混ぜて、牡蠣と刻んだミョウガを入れて和えるだけ。
ナンプラーと絞ったライムを混ぜて、牡蠣と刻んだミョウガを入れて和えるだけ。
ミョウガを刻む以外はただボールに入れていくだけ。5分とかからず終わります。
燻製牡蠣とナンプラーなのでワインを出してみた。
燻製牡蠣とナンプラーなのでワインを出してみた。
燻製した牡蠣は缶から出したままを食べるとかなり濃厚です。こうすることで味が引き締まり、サッパリと爽やかな味わいになっていました。そのままもいいが、これもかなりうまい。

オリジナルでもやってみよう

ひと手間かけただけで缶詰は随分味が変わります。面白そうなので、続いては自分でもひと手間加えた缶詰レシピを考えてみました。
厚切りベーコンととろけるチーズを用意。ベーコンとチーズは鉄板の組合せですね。
厚切りベーコンととろけるチーズを用意。ベーコンとチーズは鉄板の組合せですね。
まずは、厚切りベーコン缶。ベーコンが少し甘めのタレに漬け込んであります。
乗せて焼くだけ。包丁すら使わない。
乗せて焼くだけ。包丁すら使わない。
これにとろけるチーズを乗せて缶ごと焼いてみました。ピザのような、ベーコンチーズバーガーのような。そんなイメージで。
これがビールによく合うのです。ドイツ人もビックリだ。
これがビールによく合うのです。ドイツ人もビックリだ。
ベーコンにチーズという無難な組合せを選んだだけあって、これはかなり成功でした。暖められたベーコンにチーズのコクが加わってなんとも言えぬうまさです。このまま食べてビールもいいですが、パンに乗せて食べても凄く美味しかった。我が家の定番決定です。

もう1品ぐら挑んでみましょう。
赤貝のどて煮風とネギを用意。甘い味噌味にはネギだろう。
赤貝のどて煮風とネギを用意。甘い味噌味にはネギだろう。
赤貝のどて煮風を使います。どて煮風ということで、甘い味噌味なのでしょう。ネギを沢山入れて辛味と香りを追加してみます。
これも大成功。これはもう日本酒しかないだろう。いや、焼酎でもいけるな。
これも大成功。これはもう日本酒しかないだろう。いや、焼酎でもいけるな。
甘い味噌味の貝に、ネギの辛味と香り。そのままで食べると甘さが引き立ち、後半で飽きてしまうところですが、ネギで引き締まりました。これも我が家の定番に入れよう。

缶詰おつまみ楽しいです!
缶詰料理うまいね。簡単だし!
缶詰料理うまいね。簡単だし!

簡単で美味しい

最初の方でも書きましたが、つい最近まで缶詰は肉なら硬くてバサバサ。魚なら妙に甘ったるくて缶くさいイメージがありました。最近の缶詰は本当に美味しくなっていました。しかもバリエーションも豊富。

また、完成された味付けと思われる缶詰おつまみも、ひと手間加えると実に大きな変化を見せてくれる。簡単な割りにその味の飛躍が大きく、なかなか楽しいです。

もちろん、そのまま食べても十分美味しいです。ただ、更なる美味しさを求め、面倒臭がらずにちょっとひと手間挑んでみてはどうでしょう。酒ライフがもう1つ広がるでしょう。
国分のセレクトショップにはフルーツ缶を使った簡単パンレシピの小冊子もありました。これも色々試してみたい内容が詰まっていた。いつか試す。
国分のセレクトショップにはフルーツ缶を使った簡単パンレシピの小冊子もありました。これも色々試してみたい内容が詰まっていた。いつか試す。

ROJI 日本橋

http://www.roji-nhb.jp/
東京都中央区日本橋1-1-1
営業時間 月~金:11:00~18:30 土曜日は18:00まで営業
定休日 日曜日
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