特集 2011年10月5日

クンショウモで勲章を作る

藻・藻・藻。
藻・藻・藻。
消しゴムはんこの題材にと微生物などの画像を探していたところ、「クンショウモ」に行き当たった。おお、学校の生物の時間にお会いして以来だ。あったなーこういう藻。その名のごとく勲章みたいな藻だ。

うーん…さまざまな種類のクンショウモ、見れば見るほど勲章である。もう勲章にしか見えない。
ではこれで、勲章を作ってみましょう。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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文化勲章(藻)

「これで」といっても、本物のクンショウモを採ってきて乾かしてぺタッ。というわけにはいかない。だって直径数十~数百μm(1μmは1mmの1000分の1)というからね。

うちには顕微鏡もないので、近くの池で採ってきても見ることができない(見つけられるかどうかもわからない)。例によってインドアでちくちくと画像検索だ。なかなかの姿をしている個体を集め、プリントアウト。
見事にみんな、エヘン虫にもクリソツだ。
見事にみんな、エヘン虫にもクリソツだ。
これをはんこに彫りたいという気持ち。消しゴムはんこなど、クラフト好きな方にはわかっていただけるだろう。レースのようなこれらのモチーフ、うっかりガーリィなはんこができあがろうというもの。

さてこのクンショウモを勲章にするわけだが、これまた「勲章」というものがよくわからない。なぜならもらったことないからだ。よってこれも、画像検索でイメージをつかむことにする。
まーだいたいこんな感じだろう。リボンと、そして誇らしげなパーツ。
まーだいたいこんな感じだろう。リボンと、そして誇らしげなパーツ。
この、誇らしげで華やかそうなパーツがクンショウモにあたる。本物の勲章の場合、最大級の顕彰の意、そして最上級の名誉を表しているであろうこのパーツだが、それが「藻」に置き換わるといったいどうなってしまうのか。早く見たいぞ。

いそいそと準備にとりかかる。
やっぱりリボンはストライプな気がするんですね。20cmずつ細かく購入。
やっぱりリボンはストライプな気がするんですね。20cmずつ細かく購入。
クンショウモの透明感と厚み(わからんが)を表すため、机に敷く塩ビのマットの余りを流用。土台は透明プラ板で。
クンショウモの透明感と厚み(わからんが)を表すため、机に敷く塩ビのマットの余りを流用。土台は透明プラ板で。
透明なのでトレースし放題。
透明なのでトレースし放題。
見るからに面倒なことをやりだす。
見るからに面倒なことをやりだす。
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俺たちの勲章(藻)

クンショウモは複数の細胞で成る。その細胞ひとつひとつを切り離して、後から土台の上で組み合わせるとよりリアルなのでは、と最初考えた。
裏からマーカーで色を塗っておく。「らしく」塗るのが結構楽しい。
裏からマーカーで色を塗っておく。「らしく」塗るのが結構楽しい。
小さいハサミで…1個1個切り離す!うえー。
小さいハサミで…1個1個切り離す!うえー。
ナンバリングされた細胞たち。どうすんだこれ。
ナンバリングされた細胞たち。どうすんだこれ。
より透明感の優れた接着剤というものを買ってみた。おお、透明だ。
より透明感の優れた接着剤というものを買ってみた。おお、透明だ。
番号順に貼っていく。歯科医になった気分(たぶん)。
番号順に貼っていく。歯科医になった気分(たぶん)。
で、挫折した。

ええい、1個1個細胞を切り離すのは、もうやめだ。ハサミが小さいので手が痛い。塩ビシートも切るのに骨が折れる。時間もかかる。愚痴が多くなってきた。

あとはもう、透かし彫りの要領で、数を作るぞー。
透かし彫り、職人気分で。
透かし彫り、職人気分で。
網目模様は、スジ彫りだけ施す。
網目模様は、スジ彫りだけ施す。
調子に乗って七つ作った。これでもう、いつクンショウモを塩ビシートに彫ってくれという注文が来ても対応できる。そしていきなり七つも、叙勲の誉れを受けることとなった。
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つっぱることが男の勲章(藻)

リボンの部分は、正直どういう造りになっているのかよくわからない。が、見た目だけでも勲章っぽくなれば、我々勲章に縁のない庶民には上等であろう。
適当に針金で留め具を作って、組み立てる。
適当に針金で留め具を作って、組み立てる。
左から、旭日大綬章、桐花大綬章、紫綬褒章(嘘)。
左から、旭日大綬章、桐花大綬章、紫綬褒章(嘘)。
塩ビシートで、想像したよりも藻っぽくなった。モッポク。
塩ビシートで、想像したよりも藻っぽくなった。モッポク。
よく見りゃ藻。でもアリかもしれない。
よく見りゃ藻。でもアリかもしれない。
我ガ敍勳記念ノ寫眞。
我ガ敍勳記念ノ寫眞。
クンショウモは、思いのほか勲章であった。考えてみれば勲章のモチーフにも菊や桐の花が使われているので、クンショウモが使われたって全くかまわないのだ。「勲章藻大綬章」だ。訳がわからない。

授けられたほうは「ワシ、藻?」と、釈然とはしないだろう。
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