特集 2012年4月10日

島の先端には何があったか

島の端っこまで行ってみた。
島の端っこまで行ってみた。
以前、「島にはいくらで住めるのか」という記事を書いた。私は離島暮らしに憧れがあり(それもキラキラしたビーチ、バカンスといった類ではなく、もっとロビンソン・クルーソーな方)、記事では長崎の伊王島、高島を訪れ不動産屋にお値段等を尋ねてみようとしたが、島には不動産屋自体がそもそもないという「おまえ離島のこと何もわかってないな」的アンサーを得る結果となった。

その伊王島に昨年3月、なんと橋が架かった。
架設作業が素晴らしくダイナミックで、その様子は「橋が船に乗ってた!」という記事に書いた。

で、その後どうなったかを書いてなかった。離島が離島でなくなってから一年後の様子を見てきました。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

前の記事:ありえないところに釣り人がいる

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橋を架けてる様子。この作り方は予想外だった。 (2010年9月撮影)
橋を架けてる様子。この作り方は予想外だった。 (2010年9月撮影)

パニックになった

橋が開通したのは2011年3月27日。
長崎の人は新しい物ができると殺到する習性があり、店なんかでも始めの一ヶ月くらいは大フィーバーする。

もちろん橋開通なんて言ったらそれこそすごいフィーバーだ。

私も一度、橋開通後一ヶ月後くらいに訪れたが、島の真ん中くらいまで行ったところで市の警備員が何人も立っていて、これ以上は通行止めだから駐車場に車を停め歩いて行くように言われた。
地図にもしっかり橋が描かれている。(別ウィンドウ
せっかく車で行けるようになったのにこんなところで降りろなんて…!と不服に思って詳しく聞いてみると、この先は道が狭く、今まで車がほとんど無かった島に突然すごい台数の車がやって来たもんだから進むことも戻ることもできなくなり、車が側溝に落ちるなど大騒ぎとなったとのこと。

で、島の住人以外は真ん中より先は通行止めにしたそうだ。
伊王島大橋!(通行無料)
伊王島大橋!(通行無料)
つなぎ目部分。複数の橋パーツを繋ぎ合わせているためこういうつなぎ目があるが、不思議なことにこの一箇所以外はまったくつなぎ目がわからなかった。
つなぎ目部分。複数の橋パーツを繋ぎ合わせているためこういうつなぎ目があるが、不思議なことにこの一箇所以外はまったくつなぎ目がわからなかった。
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はるか遠方の山頂から見た伊王島大橋。昔話だったら鬼が架けたとされるだろうスケール。
はるか遠方の山頂から見た伊王島大橋。昔話だったら鬼が架けたとされるだろうスケール。
島内の景色自体は以前とそれほど変わってない印象。
島内の景色自体は以前とそれほど変わってない印象。
橋の開通に合わせて駐車場が整備された。(無料)
橋の開通に合わせて駐車場が整備された。(無料)
で、一年後の再訪。さすがにもう誘導係まではいなかったが、住民以外通行止めは相変わらずだったので駐車場に車を停めた。

するとそこにレンタル自転車があった。
で自転車を借りた。大人300円、子供150円(2時間)
で自転車を借りた。大人300円、子供150円(2時間)
なにげに初・電動自転車。
なにげに初・電動自転車。
電動自転車は初めてだったので非常に新鮮な感覚。こぐのが楽しい。欲しくなった。
春休み中の娘も一緒に来た。
春休み中の娘も一緒に来た。
春休み中で暇を持て余していた小学生の娘と一緒に来た。自転車の練習にちょうどいい。

灯台を目指して

島の先端に有名な灯台があるので、そこを目指して自転車をこいだ。
海きれい。
海きれい。
きれいなビーチがあった。
きれいなビーチがあった。
灯台に向かう道は坂が多く、あまり自転車向きではなかった。
灯台に向かう道は坂が多く、あまり自転車向きではなかった。
県外からの移住者向けの土地や宿泊所
県外からの移住者向けの土地や宿泊所
こちらは、島で暮らしたい人向けに市が行っている取組み。都会から島などへの移住を考えてる人を後押しする。

私が「島にはいくらで住めるのか」を書いた後に始まったものなので、記事を書いた頃には無かった。今はこういうのが利用できる。
こういうのも今はある。詳しくはこちら。
こういうのも今はある。詳しくはこちら
車をUターンさせる場所もできていた。
車をUターンさせる場所もできていた。
灯台が近くなると、それっぽい雰囲気になってきた。車の回転場もある。(開通直後のてんやわんやがあってから作られたものだろうか?)
桜がいい感じで咲いており、施設のお年寄りたちと思しき人々が花見をしていた。
桜がいい感じで咲いており、施設のお年寄りたちと思しき人々が花見をしていた。
展望所があった。
展望所があった。
「お、これ無料だよ!」と言って飛びつく小学生。
「お、これ無料だよ!」と言って飛びつく小学生。
そのすぐ先に灯台があった。
そのすぐ先に灯台があった。
伊王島灯台。1866年、英米仏蘭4カ国と結んだ江戸条約で作られた全国8灯台の1つ。
伊王島灯台。1866年、英米仏蘭4カ国と結んだ江戸条約で作られた全国8灯台の1つ。
明治4年初点(初点って言うんだな)。平成15年改築。が、他の説明板にはどれも明治3年と書いてあったのが謎。
明治4年初点(初点って言うんだな)。平成15年改築。が、他の説明板にはどれも明治3年と書いてあったのが謎。
灯台の後ろには石組みと、お弁当を食べるおばちゃん達が。
灯台の後ろには石組みと、お弁当を食べるおばちゃん達が。
灯台のすぐ後ろには、昔そこに灯台が建っていたという台座があった。原爆の爆風で傷んだため建て直したとのこと。(爆心地からの距離は約12km)

元の灯台は明治3年に英国人技師ブラントンの指導の下、作られたという日本の灯台史的にも由緒あるものだそうだ。が、その前から既に灯台がそこにあったという記録も残ってるという。(このワケわかんなさ具合が面白い)

世界の珍奇生物植生の地

植え込みに、気になる注意書きが書かれていた。
世界の珍奇植物・キイレツチトリモチ?
世界の珍奇植物・キイレツチトリモチ?
これ?
これ?
こっち?
こっち?
「珍奇生物」というフレーズが気になって、あれこれ推測しながら見たが、なんせ知識が乏しくてサッパリわからない。
!
娘が拾ったもの。これじゃないか…?なんて話していたが
娘が拾ったもの。これじゃないか…?なんて話していたが
正解を発見。
正解を発見。
これか…。今度シーズン中に見に来よう。
これか…。今度シーズン中に見に来よう。

島の先端はどうなってる?

てっきり灯台がある所が島の先端だと思っていたら、さらにその先にもいろいろあった。

先っちょファンとしては、本当の先端がどうなっているか気になるところ。
なんか灯台より先にもいろいろあるぞ。
なんか灯台より先にもいろいろあるぞ。
展望台。
展望台。
(こんな写真ですんません。。)
(こんな写真ですんません。。)
これで終わりかと思いきや、展望台から見るとさらにその先へと続く道がある。
展望台から。道の先には何があるのだろうか?
展望台から。道の先には何があるのだろうか?
が、行ってみるとそこはUターンするだけの単なる散歩道だった。
ここが先端。
ここが先端。
が、よく見ると柵の向こう側にもさらに獣道のような人が進んだ形跡がある。

気になる。

立ち入り禁止だとは思うが、自己責任でその先へと進んでみた。(娘をここに残して)
道っぽいものが伸びてる。自己責任の世界。(というか世の中のほとんどは自己責任だけど)
道っぽいものが伸びてる。自己責任の世界。(というか世の中のほとんどは自己責任だけど)
本当の島の最先端に辿り着いた。
本当の島の最先端に辿り着いた。
そこはけっこうな傾斜の崖みたいなところだった。が、なんと驚くことに…
あれ、あれはもしや…
あれ、あれはもしや…
釣り人!?
釣り人!?
先日、「ありえないところに釣り人がいる」という記事で「釣り人は、どんな冒険家よりも先回りしてそこにいる」と書いたばかりだが、嗚呼またしても!
こんなロケーション。
こんなロケーション。
横を向くとこんな感じ。写真だとスケール感が掴みにくいが、落ちたら簡単に死ぬ高さ。股間がムズムズしてしょうがなかった。そそくさと写真を撮ってすぐ戻った。

釣り人すごい

その後、戻って島内のホテルのレストランで娘と食事をして帰った。レストランも感じが良かった。橋が架かって一年経っているので、開通直後の異常フィーバーこそないものの、私みたいに橋があるから来たという人はけっこういるんだろうなぁという印象だった。

でも結論は、「釣り人すごい」です。
昔の灯台部品などを展示する記念館もあった。
昔の灯台部品などを展示する記念館もあった。
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