特集 2012年5月9日

ひと駅だけの支線に乗りたい

しゅうてーん
しゅうてーん
終点の駅が好きだ。

それも、次々に列車が発着して大勢の人が乗り降りするターミナル駅より、小ぢんまりとした、たまにしか列車がやって来ない、降りてもほかに乗り換える路線のない、本当の意味での「終着駅」に心惹かれる。

さらに言えば、本線から分岐してひと駅で終点、という路線がいい。その駅のため、それ以外に理由のない路線。

そんなところを見たいと思って調べたら、都内だけで5ヶ所もあったので、全部めぐってみた。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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西武線は終点だらけ

都内を走る電車の中でも、西武線は特に終点が多いと思う。それは会社の成り立ちに関係していて、同じような地域でいくつかの会社がいろいろな路線を引いていたのが、最終的に西武というひとつの会社にまとまったためである(気になる人はWikipedia等で調べてください)。
終点がたくさんある西武線
終点がたくさんある西武線
そして、その中から今回の条件(分岐してからひと駅で終点、終点駅で乗り換えができない)を探してみると、2ヶ所あることが分かった。

ひとつ目は路線図の中でも特に混み入ったエリアの真ん中あたりにぽつんとある、西武園線の西武園駅。

さっそく、西武園線が本線である新宿線から分岐する東村山駅に向かった。
基盤の配線図のような路線
基盤の配線図のような路線

競輪の駅、西武園駅

東村山駅は本線にあたる新宿線のほか、ここから分岐する西武園線、そして国分寺からやって来る国分寺線も発着していて、ちょっとしたターミナル駅である。

というか、このあたりの西武線は複雑に入り組んでいて、次々と分岐したり合流したり、ちょっとしたターミナル駅が連続している。東京都内でも西武帝国による支配がもっとも強い地域だ。

きっと、このあたりに住んでいる人はどこに行くにもまず西武線に乗って出かけ、駅で降りたら西武バスに乗って家に帰るのだろう。
西武園駅が所沢駅(西武の本社がある)より上に書いてある!
西武園駅が所沢駅(西武の本社がある)より上に書いてある!
東村山駅のホームに降り立つと、そこには既に西武園駅行きの列車が停まって出発を待っていた。

しかしこの列車、一目見てドキッとした。そして我が目を疑って二度見した。

普通は黄色か銀色の西武線が、そこだけ色を抜いて白黒にしたように感じたのだ。
ホラー写真と言えるレベル
ホラー写真と言えるレベル
一瞬怯んだものの、発車ベルが鳴ったので乗車。それでは西武園駅に向かう道のりを見てみよう。
まず驚くのがその道のりの長さだ。東村山駅を出発して西武園駅に停まるまで、ちょうど3分かかっている。間に2駅くらいあってもおかしくないと思う。

東村山駅を発車して、しばらくは本線と並走していたのに、途中で1本だけカーブして離れてしまうところ、これこそ支線の醍醐味である。また、その先で森の中を一直線に貫くさまもいい。

そして、何と言っても西武園駅の微妙な大きさとそれに似合わない閑散っぷり、そして行き止まりの先が壁という終点らしさがたまらない。これ以上線路は延ばさない、そんな強い意志が感じられる地形だ。
ぐうの音も出ない終点っぷり
ぐうの音も出ない終点っぷり
片方しか次の駅が書いてない看板すごくいい
片方しか次の駅が書いてない看板すごくいい
昼間は20分に1本ののんびりダイヤ
昼間は20分に1本ののんびりダイヤ
何もなさそうだし、いま乗ってきた電車で帰るために急いで改札を出て料金払ってホームに戻ってこよう、と思ったら、東村山行きの電車はそそくさと発車して行ってしまった。
逃げるようにすぐ折り返していった
逃げるようにすぐ折り返していった
次の電車は20分後。仕方ないので階段を上がって改札口へ行ってみると、列車が停まっていないホームへ降りる階段は封鎖されていた。きっと平日はいま降りたホーム以外使わないのだろう。
1番線はふだん使っていないのだろうか、1番線なのに
1番線はふだん使っていないのだろうか、1番線なのに
こんなに閑散としているのにそこそこ広い自動改札を抜けると、その奥にさらに大きな有人改札があった。今日は閉まっているけど、切符売り場の窓口まである。
通勤通学でこの改札も朝は混み合うのだろうか
通勤通学でこの改札も朝は混み合うのだろうか
その奥に広い有人改札が!
その奥に広い有人改札が!
JRの路線図が書いてある切符売り場の窓口まで!
JRの路線図が書いてある切符売り場の窓口まで!
西武園駅の歴史を調べたところ、この近くにある西武園競輪場の観客を運ぶために造られたとのこと。きっとこの改札は競輪場直結なのだろう。ちなみに近くには西武園遊園地もあるけど、それは最寄りではないらしい。つまりかなり高い割合で競輪場のための駅、競輪のための路線ということになる。そんな路線があったとは!そして競輪がそこまで大きなマーケットだったとは!

改札を出て競輪場とは反対の方に行ってみると、商店街の類いどころかお店の1軒もなく、いきなりのどかな住宅地が広がっていた。
競輪じゃない方の入り口は小ぢんまり
競輪じゃない方の入り口は小ぢんまり
駅前はいきなり思いっきり住宅地
駅前はいきなり思いっきり住宅地
このあたりに住んでいる人も利用しているだろうけど、それも競輪場があってこそなのだ。ふだんの日の利用人数や客層と競輪開催日のそれとの比較を考えてみるとなんだか可笑しい。3番線まであるホームも、競輪開催日はフル稼働なのだろうか。

そうこうするうち、ふたたび折り返しの電車がやってきたので西武園駅を脱出することにした。次も、もうひとつ西武線の終点駅に行ってみたい。
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遊園地の駅、豊島園駅

西武池袋線の練馬駅に降り立った。ここから分岐している豊島線は、もともとは庭園だった豊島園、現在のとしまえん遊園地の来客を運ぶために作られた路線だ。
数多の支線の中でもかなり山手線に近い位置で分岐
数多の支線の中でもかなり山手線に近い位置で分岐
厳密に言えば、終点の豊島園駅は都営大江戸線にも同じ名前の駅があるのだけど、位置が100mも離れている上に隣の練馬駅で接続しているので、ここは単独駅と看做したい。自分ルールなのでどうでもいいけど。

豊島園駅に向かう列車はほぼすべて池袋駅始発の直通で、練馬駅で待っていると8両編成の豊島園行きがやってきた。支線に向かう列車としては長い!

などと支線評を思い浮かべるが、まだ2つ目である。
終点なので所沢や飯能といった蒼々たる駅と肩を並べる
終点なので所沢や飯能といった蒼々たる駅と肩を並べる
真ん中の下っている線路が豊島園方面
真ん中の下っている線路が豊島園方面
それではさっそく豊島園駅に向かってみよう。
練馬駅を発車すると、複雑なポイント群を抜けて、高架の隙間から地上に降りていく。このシーンは支線屈指のかっこよさ!急カーブでレールと車輪が擦れ、キンキーンと鳴る音が支線ぽい雰囲気を盛り上げる。高架の下をくぐって、住宅の軒先をかすめながら少し走ると終点の豊島園駅だ。

近未来的な練馬駅周辺、インダストリアル感あふれる高架からの下り坂、住宅街に入ってほっとする豊島園駅付近。2分弱と短いながら見どころは満載である。

豊島園駅も、駅の規模に不釣り合いなホームの広さがいかにも行楽施設の駅という感じでいい。あと右側の現在使われていないホーム跡も、かつての繁栄を何となく想像することができてわくわくする。
終点の先は駅前広場である(オーバーランしたら大変!)
終点の先は駅前広場である(オーバーランしたら大変!)
夏休みなどはこのホームに人があふれるのだろうか
夏休みなどはこのホームに人があふれるのだろうか
でもホームの先端が極端に狭いのもいい
でもホームの先端が極端に狭いのもいい
2番線はどの程度使われているのだろう
2番線はどの程度使われているのだろう
きっと猫は滅多に列車が来なくて安全なことを知っている
きっと猫は滅多に列車が来なくて安全なことを知っている
昼間は15分に1本
昼間は15分に1本
改札を出ると駅前広場があり、その奥にとしまえんの正門がある。周りは、いかにも行楽地といった感じでファーストフード店などのお店が連なる賑やかな雰囲気だった。
大勢の乗客を安全にホームから降ろすスロープ
大勢の乗客を安全にホームから降ろすスロープ
でも改札口は小さめ
でも改札口は小さめ
駅を出てすぐとしまえんの正門
駅を出てすぐとしまえんの正門
最初に見た西武園駅と同じように、ふだんは静かだけど時期によって大量の客が押し寄せる、という性質の駅だけど、改札口は自動改札が数台並んでいるだけで、西武園駅のような臨時の有人改札や切符売り場の窓口は1つしか見当たらなかった。

これはひょっとして、競輪場と遊園地という場所にやってくる人々の年齢層や客層の違いを物語っているんじゃないだろうか。競輪層に対してものすごい偏見じみた説だけど。

豊島園駅でも折り返しの電車は長居せず、発車ベルを短く鳴らすと僕を置いて走り去っていった。仕方ない、次の電車まで15分待とう。

車両基地の駅、北綾瀬駅

次に訪れた東京メトロ千代田線の北綾瀬駅は、あとで調べたらどうやら支線という扱いではなく、立派に千代田線の一部らしい。
千代田線使っててもこの駅知らない人多いんじゃないか
千代田線使っててもこの駅知らない人多いんじゃないか
なぜ支線だと思ったかと言うと、隣の綾瀬駅からこの北綾瀬駅の区間は完全に切り離されていて、直通している列車は1本もないのだ。綾瀬駅での乗り場も完全に分け隔てられている。日本唯一の階級制度実施エリアである(冗談ですよ)。
北綾瀬行きはどこから出発するのかというと
北綾瀬行きはどこから出発するのかというと
同じホームに並べてすらもらえないのだ
同じホームに並べてすらもらえないのだ
インド人が0を発見しなかったらホームがなかった
インド人が0を発見しなかったらホームがなかった
10両の長い列車が華やかに行き交う綾瀬駅のホームを先端までとぼとぼ歩くと、その先に無理矢理設えたかのような北綾瀬行き専用の0番線ホームがあった。車両も古く、短い3両編成である。この差別はいったいなんだ。
ホーム先端のさらに先に歩いて行くと、人々の姿が見えた
ホーム先端のさらに先に歩いて行くと、人々の姿が見えた
千代田線にはこんなかっこいい電車が走っているが
千代田線にはこんなかっこいい電車が走っているが
古い車両は短い区間に幽閉され延々と折り返しの刑だろうか
古い車両は短い区間に幽閉され延々と折り返しの刑だろうか
見方を変えれば、古い車両を労りながら現役にしているとも言えるけど、定義としては同じ路線とは言え、いかにも格下の「支線」という雰囲気だ。
でも「本線」に先駆けて最先端のホームドアはいち早く設置済みである
でも「本線」に先駆けて最先端のホームドアはいち早く設置済みである
では北綾瀬駅は何のためにあるのか、さっそく向かってみよう。
何と、古い3両編成の車両には似つかわしくない、複線で高架の路線が延々続いていた。これなら綾瀬駅止まりの列車をぜんぶ北綾瀬まで延ばせばいいのに、と思ったら北綾瀬駅のホームは片側、しかも3両分だけ。さらに線路は北綾瀬駅の先までずっと続いていた。

この先に何があるのか、綾瀬駅から北綾瀬までの部分は何のために作られたのか。
終点の先も線路が続いている
終点の先も線路が続いている
何やら複雑に分岐している
何やら複雑に分岐している
北綾瀬駅も綾瀬駅の0番線ホームと同じように、ホームドアがつけられた短くてシンプルなホームだった。

ではここから降りて、延びた線路の先に何があるのか見てこようと思う(見出しに書いちゃってるけどね)。
人の乗り降りはけっこうあった
人の乗り降りはけっこうあった
気の構造はいたってシンプル
気の構造はいたってシンプル
日中はおおむね15分おきだけど朝夕は大忙し
日中はおおむね15分おきだけど朝夕は大忙し
北綾瀬駅前は特に辺鄙でも何でもなく、目の前に交通量の多い道が通り、商店もたくさんあるふつうの駅前だった。東急田園都市線の駅前だよ、と言われても、若干の違和感を覚えつつ納得できると思う。まさか上を走る電車が3両編成なんて思えない雰囲気だ。
支線とか3両とか想像できないふつうの駅の佇まい
支線とか3両とか想像できないふつうの駅の佇まい
駅前の商店がスタバではなくラーメン屋であることを除けばほぼ東急沿線
駅前の商店がスタバではなくラーメン屋であることを除けばほぼ東急沿線
高架で続く線路の行く先を調べるため、駅前の横断歩道を渡って、線路沿いに歩いて行った。
ずっと先まで延びている
ずっと先まで延びている
あの歩道橋の上から見てみよう
あの歩道橋の上から見てみよう
歩道橋の上から先を眺めると、そこには巨大な車両基地、つまり千代田線の車庫があった。ということは、ここをねぐらにしている千代田線の車両は毎日朝晩北綾瀬の駅を通るわけで、あの3両編成の古い車両は立場的に寮の管理人さん、といった感じだろう。引退後、若い者の活躍を静かに見守っているのだ。
巨大な車両基地があった
巨大な車両基地があった
もともと綾瀬より先には駅がなく、車両基地だけがあったが、周辺の住民が駅を要望し、北綾瀬駅はあとから造られた。でも大きな需要が見込めないので3両編成だけを行き来させる方式になったらしい。

ということは今後、北綾瀬駅付近の人気が急上昇し、人口が爆発的に増えて3両編成が連日超満員になったら、いまの綾瀬止まりがぜんぶ北綾瀬まで来るようになるぞみんな、と思って興奮したけど、人口が爆発すればそれはどこでも起こりえるのだった。
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参拝客の駅、大師前駅

昔から地図を見て気になっていた、東武伊勢崎線...もとい東武スカイツリーラインの西新井駅から分岐する大師線。これに乗るために、初めて西新井駅にやってきた。

いくら西新井大師が有名なお寺だからと言って、参拝客が殺到するのは正月とお祭りの時くらいだろう。そのためにわざわざ線路を引くか、と思っていたのだ。
気になる支線No.1
気になる支線No.1
事実、西新井駅の大師線ホームは2両編成がやっとの長さしかなく、その短いホームも閑散としていた。
線路の向こうが大師線用ホーム
線路の向こうが大師線用ホーム
スカイツリーラインのホームから大師線のホームに向かうと、同じ会社の路線なのになぜか改札があった。別料金?と疑問に思うも、よく分からず改札を通って大師線のホームに降りる。
同じ会社なのになぜか改札を通る
同じ会社なのになぜか改札を通る
ちょうど折り返しの電車がやってきたので先頭に陣取って、さっそく大師前駅に向かおう。
なんとまさかの高架駅!しかも反対側にもう1本線路を引けるんじゃないか、と思えるほどのホームの広さ!そして巨大なドーム屋根!だけど長さはやっぱりせいぜい2両か3両分くらいしかなくて、これは僕が今まで見た中でも1、2を争う不思議な雰囲気の駅だと思う。
こんな変な雰囲気の駅見たことないかも
こんな変な雰囲気の駅見たことないかも
線路を引く敷地はあるが、この駅が今後拡張することはあるだろうか
線路を引く敷地はあるが、この駅が今後拡張することはあるだろうか
これだけ立派なのにひと駅支線の終点で短くて...
これだけ立派なのにひと駅支線の終点で短くて...
ホームから階段を降りて外に出るまでにも不思議ポイントがあった。まず改札の中なのに耳鼻科があるのだ。受診するためには入場券が必要なのか、と思ったらなんと改札は解放されていた。つまり無人駅で、だから西新井駅でホームの手前に改札があったのだ。

もちろん耳鼻科も切符を買わずに受診できる。
電車降りて最初のお店が耳鼻科
電車降りて最初のお店が耳鼻科
改札は有人タイプがいまだ現存、しかも無人
改札は有人タイプがいまだ現存、しかも無人
都内では珍しい後払い方式である
都内では珍しい後払い方式である
駅の外観も近代的でかっこいい。周辺にはマンションも建ち並び、通勤通学でこの駅を利用する人はけっこう多いかも知れない。
とても2両編成の無人駅とは思えない外観
とても2両編成の無人駅とは思えない外観
切符売り場や窓口は一切閉まっている
切符売り場や窓口は一切閉まっている
通勤通学の利用者はけっこういるんじゃないか
通勤通学の利用者はけっこういるんじゃないか
それでもダイヤは頑に10分間隔
それでもダイヤは頑に10分間隔
駅の角を曲がって西新井大師の方に歩いて行くと、急に道端に老人がたむろする姿を見かけるようになり、いかにも参道といった趣が強くなった。きっと正月などは加齢臭すら枯れたような空気に包まれるのだろう。
さっきのかっこいい駅から30秒でこの光景
さっきのかっこいい駅から30秒でこの光景
本当にここのために造られた駅なのだろうか
本当にここのために造られた駅なのだろうか
あとで調べたら、西新井駅から分岐している大師線は、当初の計画ではそのまま西進し、同じ東武の東上線の上板橋駅あたりまで延ばして、伊勢崎線と東上線を繋げる目的があったらしい。しかしいろいろな理由によって、大師前駅まで開通したあとに計画が中止。つまりこの路線は動脈になるはずが、梯子を外されて盲腸になってしまったということになる。少しかわいそうな路線だ。

でも東京の中では独特の雰囲気を持った駅だし、貴重な存在な気がする。おじいちゃんおばあちゃんの大切な足だしね。
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競馬場の駅、府中競馬正門前駅

最後にやって来たのは、京王線の東府中駅から分岐する競馬場線。

ここは名前の通り、府中の東京競馬場への観客を運ぶために作られた支線だ。
東府中駅の行先案内、あれ競馬場線どこ?と思ったら
東府中駅の行先案内、あれ競馬場線どこ?と思ったら
専用の案内があって安心!
専用の案内があって安心!
京王線も案外支線が多い。ちなみに左の動物園線は終点でモノレールに乗り換えできるので今回の企画では除外
京王線も案外支線が多い。ちなみに左の動物園線は終点でモノレールに乗り換えできるので今回の企画では除外
競馬場線のホームに降りていくと、ここにも2両編成のかわいい列車が停まっていた。先頭に競馬場線PRの看板がつけられていたけど、看板に描かれている電車は停まっていたのより新しい型で、何だか少し肩身が狭そうに見える。
方面、というか競馬場にしか行かないよね
方面、というか競馬場にしか行かないよね
この電車は型の違う看板を受け入れてるのか、あとゴーグルしてムチ持ってる馬はどこか共食いキャラに通じるものがあると思う
この電車は型の違う看板を受け入れてるのか、あとゴーグルしてムチ持ってる馬はどこか共食いキャラに通じるものがあると思う
え、2両のうち1両が女性専用車?と思ったらこの路線走ってる限り条件に該当なし
え、2両のうち1両が女性専用車?と思ったらこの路線走ってる限り条件に該当なし
これから行く先、草もさもさ!
これから行く先、草もさもさ!
それでは府中競馬正門前駅に向けて出発しよう。
ここまで4カ所のひと駅支線を見てきて、ここのいちばんの特徴は、線路、草もさもさ!ということではないだろうか。半分くらい廃線なんじゃないかと思うほど緑あふれる路線だ。あと、ふだんは20分に1本というローカル線なのにずっと複線、という豪華さもいい。おそらく、競馬開催日の朝と夕方だけフル活動するという贅沢仕様なのだ。それからもうひとつ、終点の府中競馬正門前駅の広さ!そして長さもすごい。2両の電車が停まるとこんな感じだ。
ホームで電車待ってたのに着いたらあんな遠くだよ
ホームで電車待ってたのに着いたらあんな遠くだよ
あまりに広くて利用者が少ないので電車シーンのCMやドラマ撮影によく使われるというのもうなづける
あまりに広くて利用者が少ないので電車シーンのCMやドラマ撮影によく使われるというのもうなづける
改札口は競輪場が近い西武園駅と同じように横にたくさん並んでいた。ほとんど自動改札だけど、有人改札もあった。

駅から一歩出るとそこはもう競馬の世界。活躍した馬のポスターが貼られていたり、金のサラブレッド像まで建っていた。そして競馬場内まで続く屋根付き専用歩道。資金力のある団体の底力を見せつけられた感じがした。
帰りの便もひたすら20分おき
帰りの便もひたすら20分おき
平日は1台残して電源切っちゃっていいんじゃないかと思う
平日は1台残して電源切っちゃっていいんじゃないかと思う
あのレースの日はここまで使った、とか伝説ないのかな
あのレースの日はここまで使った、とか伝説ないのかな
馬の写真がどうしてこんなにかっこいいのか
馬の写真がどうしてこんなにかっこいいのか
富と権力の象徴
富と権力の象徴
駅と競馬場を直結する通路
駅と競馬場を直結する通路
もはやカタギの施設には見えない
もはやカタギの施設には見えない
いや、競馬の世界はすごい。改札を出た瞬間に世界が変わる。人によっては舞浜駅を出てディズニーランドに向かう道と同じような光景に見えるんだろう。

でもこの日は平日で競馬は開催されていなかったので人っ子一人いなかった。そういう光景もまた貴重だと思う。逆にダービーの日とかはきっとラッシュアワーがあるんだろう。
競馬開催日の帰りが5分おきのピストン輸送ですごい
競馬開催日の帰りが5分おきのピストン輸送ですごい
でも平日はこのとおり券売機も2基だけ
でも平日はこのとおり券売機も2基だけ
というわけで、とりあえず都内にある「ひと駅だけの支線」をめぐってみた。どこもいろいろな個性があっておもしろかった。

てんでばらばらな方向にあるので移動が大変だったけど。

生き様にかっこよさを感じる(路線)

ひと駅支線は、多くの列車が行き交う本線からひとりはずれて独自の道を行く、という生き方にかっこよさを感じた。

そして、競馬場とか遊園地とかお寺とか、なんらかの施設への足として造られたものが多く、だから利用者のピーク時と通常時の差が激しくて、それが広いホームだったり2両編成なのに長いホームだったりというアンバランスさを生み出していて、それがおもしろかった。

次は、途中に駅がひとつある「ふた駅支線」を、その次は「みつ駅支線」を...という風にどんどん愛でていきたいと思う。
こんなの初めて!という路線検索をたくさんした
こんなの初めて!という路線検索をたくさんした
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