特集 2012年5月19日

プロに教わる自宅で作る大きなショートケーキ

プロに大きなショートケーキの作り方を教わります!
プロに大きなショートケーキの作り方を教わります!
大きなケーキと小さなケーキが並んでいれば、誰しも大きなケーキを選ぶのではないだろうか。

しかし、売っているケーキはお世辞にも大きいとは言えない。いや、年々小さくなっている気すらする。僕が好きなショートケーキなんてあきらかに小さい。そこで、パティシエに頼み、大きなショートケーキを作ってもらおうと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

大きい方がいい!

大きいのと小さいの、どちらがいいかと問われれば大きい方がいいという意見が多いのではないだろうか。肉しかり、魚しかり、小さいより大きい方が絶対にいいと思うのだ。僕などは定食屋を訪れれば、常に大きなものを頼むようにしている。
大きなごはん
大きなごはん
食べるテンションはサイズによって異なる。
たとえば目の前にあるのが小さな肉ならば、食卓に溢れる笑顔の規模は小さなものになるだろう。それは時には確認できないほど、小さな規模の笑顔である。
小さい肉の時(笑顔が確認できない)
小さい肉の時(笑顔が確認できない)
食卓には美味しさだけでなく、笑顔も溢れていて欲しいと思う。これは別に難しいことではない。大きいものが並んでいれば自然に笑顔が溢れるのである。「大きい!」なんて風に話に花が咲き、笑顔という大輪が咲くわけだ。笑顔と大きさは比例するのである。
大きい肉だとこんなにも笑顔!
大きい肉だとこんなにも笑顔!

ショートケーキを大きくする

このようにサイズによってテンションが変わることが分かったと思う。そこで、ショートケーキを大きくしたいと思う。僕は子供の頃からショートケーキが好きなのだが、ケーキ屋などで購入するショートケーキはどうも小さく、せっかく美味しいのに笑顔の量が少ないと感じている。
これがショートケーキです
これがショートケーキです
ショートケーキとは切り分けたピザに厚みを持たせたような三角形で、上には赤いイチゴが乗った、誰もが知っているスタンダードなケーキである。生後数カ月の赤ん坊の笑顔のようなステキな甘さを持っている。みんな大好きなのではないだろうか。
iPhoneより小さい
iPhoneより小さい
しかし、小さいのだ。
熟練した寿司職人が寿司を握り終わるよりも前に食べ終わるサイズ。3個食べても物足りない。これではせっかくのショートケーキなのに、テンションは上がらず、9月の終わり頃のヒマワリのような笑顔しかもたらさない。大きくするしかないのである。
そこで、パティシエに頼みました(左がパティシエで、右はパティシエの彼女)
そこで、パティシエに頼みました(左がパティシエで、右はパティシエの彼女)

プロに教わる大きなショートケーキ

大きなショートケーキを食べたいけれど、僕には技術がないので、餅は餅屋ということで、ケーキを作るプロ「パティシエ」に製作をお願いした。さらに今後、自分でも作れるように、専門的な機材が揃った厨房ではなく、自宅で作ってもらうことにした。
家の台所で作ります
家の台所で作ります
ちなみにこのパティシエは僕の弟である。身長は180センチを超え、筋肉は隆々。同じ親の子かい? と聞きたくなるほど僕とは見かけが異なるのだけれど、本当に僕の弟で、高校卒業後からパティシエの道を歩んでいる。
そのパティシエが書いたレシピがフランス語
そのパティシエが書いたレシピがフランス語
この弟はレシピをフランス語で書いたり、お皿を「アシェット」と呼んだりする、「お前、九州の片田舎生まれだろ!」と血がつながっていなければ、強めに殴る雰囲気を持っているので、それらを日本語に訳してもらうために、弟の彼女のマホちゃんにも、この大きなショートケーキ作りに加わってもらった。通訳である。
そのマホちゃんは絶好調でした!
そのマホちゃんは絶好調でした!
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ケーキ作り開始

ショートケーキは三角形をしているが、最初からあの形を作るのではなく、誕生日に食べる丸いケーキを作って、その後カットしてあの形になるそうだ。なので、まずは丸いケーキを作る。
材料はこんな感じです(弟がフランス語で書いたのでマホちゃんが訳しました)
材料はこんな感じです(弟がフランス語で書いたのでマホちゃんが訳しました)
作り方は以下のような感じだ。

1:卵をボウルに割り、軽くほぐしたのちに砂糖を加える。

2:1を湯せんにかけて人肌くらいになったらミキサーにかける。その際、最初は高速でまぜて、もったりしてきたら低速にしてキメを整える。
プロは湯せんをせず火に直接かけていたけれど、素人がやるとスクランブルエッグになるらしい
プロは湯せんをせず火に直接かけていたけれど、素人がやるとスクランブルエッグになるらしい
3:バター・牛乳を湯せんにかけバターを溶かしておく。

4:薄力粉をふるいにかける。
お皿などは使わず、なぜかルーズリーフを利用していた
お皿などは使わず、なぜかルーズリーフを利用していた
5:2でキメが整った生地に4を入れる。入れる際は少しずつませながら。

6:ゴムベラで切るように5をまぜる。
ちなみにパティシエは私物でいろいろな専門的な道具を持っていた
ちなみにパティシエは私物でいろいろな専門的な道具を持っていた
値段を聞いたらどれも数万円するらしい
値段を聞いたらどれも数万円するらしい
なのにゴムベラは持ってないらしく、6の作業を手で行っていた
なのにゴムベラは持ってないらしく、6の作業を手で行っていた
7:ある程度まぜたら3を入れる
バターを入れると生地がどんどんと死んでいくらしいので、手早くまぜるのがコツだそうだ。弟とマホちゃんが、「どんどん死んでいくね」「殺しすぎたな」みたいな会話をしていて、血も涙もない人々の会話のようだった。
マホちゃんがずっと弟を見ていて、お前ら付き合ってもう何年目だよ! とツッコミたくなる(6年くらい付き合っている)
マホちゃんがずっと弟を見ていて、お前ら付き合ってもう何年目だよ! とツッコミたくなる(6年くらい付き合っている)
8:用意しておいた型に7を入れる(今回使った型は18センチと普通の大きさ)。生地を入れ終わったら、型の中で少しまぜるのがポイント。さらにその後、型をどこでもいいので、トントンとして、空気抜きをする。そして、予熱しておいたオーブンで180度30分で焼きがあげる。
焼きあがったらラップして冷やしておく
焼きあがったらラップして冷やしておく

クリームを作る

生地を冷やす間にホイップクリームを作る。生クリームをスーパーで買ってきて6分くらいの固さにまぜるだけ。ミキサーを使ってもいいし、手で力の限りまぜてもいい。どちらにしろ難しい作業ではない。
その力の限りを応援する彼女と応援される彼氏(弟)
その力の限りを応援する彼女と応援される彼氏(弟)
その頃、僕はせっかく業務用のミキサーが家にあるのだから使えばいいのになぁ~と思っていました
その頃、僕はせっかく業務用のミキサーが家にあるのだから使えばいいのになぁ~と思っていました
クリームができたら、イチゴを切って、冷やしておいた生地にデコレーションしていく。ここまでは、大きなショートケーキを作るといっても、普通のホールケーキを作るのと変わらない。強いていえば、このカップル無駄に仲いいな~と思うくらいである。
生地を半分に切って、イチゴと生クリームを挟む
生地を半分に切って、イチゴと生クリームを挟む
本来ならこの後、上にクリームを乗せたり、イチゴを散りばめたりするけれど、大きなショートケーキでは少し異なる。

ここでショートケーキの大きさに切るのである。ホールのケーキとしては直径18センチは決して大きいとは言えないけれど、ショートケーキの形にカットすることで、破格の大きさと感じるケーキが出来上がる。
ケーキを切る時は、包丁を熱してから切ると上手く切れます
ケーキを切る時は、包丁を熱してから切ると上手く切れます
小さなホールケーキが大きなショートケーキに変身
小さなホールケーキが大きなショートケーキに変身
大きなショートケーキをデコレーションして完成へ!
大きなショートケーキをデコレーションして完成へ!
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完成に歓声!

こうしてできた夢の大きなショートケーキ。2時間もかからずに完成した。ケーキ作りは時間がかかる気がしていたけれど、この程度なら誰でもそのくらいの時間で完成するそうだ。
デカい
デカい
本来のショートケーキと比べるとその大きさに驚く。先にも書いたけれど、ホールケーキとしては小さくても、ショートケーキとしては大きい。切り方によって「大きい!」となるのは嬉しい発見だった。
夢の大きさです!(弟の持っているショートケーキが本来の大きさ)
夢の大きさです!(弟の持っているショートケーキが本来の大きさ)
大きなショートケーキの場合、イチゴの部分をどうすればいいのかと悩んだ。悩んだ結果、イチゴでなく、赤ければいいや、というシャンプーもボディーソープも一緒でしょ、泡立つし、のようなざっくりした考えのもとトマトを使用した。赤光りしている。
トマトがしっくり来る大きさ!
トマトがしっくり来る大きさ!

いただきます

大人が3人いて、テーブルにショートケーキが一個しかなかった場合、誰が食べるんだ、とせっかくのケーキなのに9回裏で逆転負けした野球チームのような雰囲気になってしまう。しかし、大きいショートケーキでは逆転勝ちしたチームのような笑顔がこぼれる。
女子の笑顔
女子の笑顔
男兄弟の笑顔
男兄弟の笑顔
味は申し分なく美味しく、これケーキ屋で売ったら絶対に売れるよ! という一品になっていた。本来の小さなショートケーキの美味しさが、そのまま大きくなっているのだ。と思い弟に提案したら、店に出すと3000円はするよ、と言われた。それは高い。自宅で作れば、その半分以下の金額で作れてしまう。
自宅で作るとじゃれあうカップルを見るという罰ゲームもあるけれど
自宅で作るとじゃれあうカップルを見るという罰ゲームもあるけれど

大きいは素晴らしい!

やはり大きいというのは素晴らしいことだと再認識できた。美味しさそのままに大きいというのも嬉しい。弟がパティシエというのも嬉しいと再認識できた。そして、弟の彼女が弟を好きなんだなぁ、というのも再認識できた。そこで、思い切って「別れる」というのはどうだろう、と提案したら、いやですよ~と言っていたので、じゃ、もう結婚しろよ! と強く思った。これが世に言う兄の僻みである。
撮り方によっては同じ大きさ
撮り方によっては同じ大きさ
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