こんな不気味になるとは思っていなかった。
普段ならば皮をむくときに捨ててしまって気にもとめないトウモロコシのヒゲだが、よく見るとあれ金髪である。トウモロコシ、夏野菜とはいえちょっと開放的になりすぎではないか。
気にしだすと気になるもので、そういう目で見ると普段なにげなく使っているものの中にも茶髪が多いことに気づく。けしからん、みんなまとめて染め直してやる。
気にしだすと気になるもので、そういう目で見ると普段なにげなく使っているものの中にも茶髪が多いことに気づく。けしからん、みんなまとめて染め直してやる。
金髪野菜、トウモロコシ
よく見てみるとトウモロコシって変わった形状をしている。列を成す黄色い粒、それを包む緑、生える金髪。ほとんどなぞなぞみたいな野菜である。
どうしてそこから毛が生えたのか
よく見ると茶髪を通り越して金髪である。
モロコシ先輩の髪を染める
中学校の頃、髪を脱色していた先輩が生活指導の先生に連れて行かれ、しばらくして黒髪になって戻ってきたことがあった。染め直されたのだ。今では考えられないだろうが、僕らの時代は教師が絶対的な権力を持っていたものである。僕はプールのある日に隠れて持って行った整髪剤を没収されて卒業するときに返してもらった。
それが今はどうだろう。中学生だってみんなかっこいい髪型しているじゃないか。うらやましい。いや、けしからん。
思い出話から強引に舵を切ってトウモロコシに戻るが、数々の思い出を胸に、今日はこの金髪を黒く染めてみたい。
それが今はどうだろう。中学生だってみんなかっこいい髪型しているじゃないか。うらやましい。いや、けしからん。
思い出話から強引に舵を切ってトウモロコシに戻るが、数々の思い出を胸に、今日はこの金髪を黒く染めてみたい。
というわけで買ってきましたメンズビゲン。
今のところ僕は必要に駆られて白髪染めを買ったことがなかったのだが、最近のものは塗って5分でオッケーだったり、生え際用の櫛まで付いていたりして、すごく親切だった。これならばものぐさな父にも薦められる。
と思ったが僕の父も僕同様ほとんど白髪がないのだ、髪もほとんどないけど。
と思ったが僕の父も僕同様ほとんど白髪がないのだ、髪もほとんどないけど。
なにからなにまで揃っていて親切。
トウモロコシは葉と実の間の部分から毛がわっさーと生えてきているので、これをきれいに染めるためには、ある程度まわりの葉をカットする必要がある。
まずは染めるのにじゃまになりそうな葉をカットする。
作業中に思い出話を挟んで恐縮だが、葉をカットしていたら中学の頃の頭髪検査を思い出した。
頭髪が校則に違反していないか、廊下に全員並ばされ、それを教師がチェックしてまわるのだ。前髪が眉毛にかかっているという理由で切られた女子が泣いていたりした。修羅場である。フリーダムな髪型をしている生徒は検査の日には学校を休んだ。
頭髪が校則に違反していないか、廊下に全員並ばされ、それを教師がチェックしてまわるのだ。前髪が眉毛にかかっているという理由で切られた女子が泣いていたりした。修羅場である。フリーダムな髪型をしている生徒は検査の日には学校を休んだ。
これは種の垣根を越えた生徒指導である。
整髪剤すら許されなかった時代から比べ、今の学生さんたちはかなりおしゃれの自由度が増していてうらやましい。とはいえ当時の僕がこの環境に放り込まれたら過剰な自意識が暴走してうわーってなってやっぱり坊主にしていたかもしれない。自由というのはセンスあってのアドバンテージなのだ。
トウモロコシの毛染めに戻る。染めるための液は1剤と2剤に分かれていて、必要な分を同量ずつ混ぜて使うようになっていた。混ぜるためのトレイも付いていて本当に至れり尽くせりである。
トウモロコシの毛染めに戻る。染めるための液は1剤と2剤に分かれていて、必要な分を同量ずつ混ぜて使うようになっていた。混ぜるためのトレイも付いていて本当に至れり尽くせりである。
二つの液体を混ぜ合わせて使うのだ。しかし黒染めなのに両方とも白いのはなぜか。
混ぜても白い。大丈夫だろうか。
毛染め液は予想に反して白かった(イカ墨濃縮版みたいなものを想像していたので)。もしかして人の髪の中にあるなにか色素的な成分と反応してはじめて黒くなるのだろうか。だとしたらトウモロコシのヒゲは染まらないかもしれない。
これでまったく黒くならなかったらこの記事なしだな。
バッチテストで確かめる
毛染め剤にはだいたいバッチテストというのが推奨されている。肌に合わないとトラブルになりかねないので、あらかじめ少しだけ塗ってみて様子を見るのだ。
トウモロコシのヒゲを染める前にもやはりバッチテストで試してみた。いきなり全部塗って変なガスとか出たらやばいとも思ったのだ。
トウモロコシのヒゲを染める前にもやはりバッチテストで試してみた。いきなり全部塗って変なガスとか出たらやばいとも思ったのだ。
恐る恐るちょっとだけ塗ってみる。
するとものの数分で黒くなってきた。
心配をよそに結果は良好であった。塗って2~3分で見る見るうちに黒くなっていく。いったいどういう仕組みなのだろうか。毛染め液が反応すべき成分が毛髪にもトウモロコシのヒゲにも含まれているのか。トウモロコシのヒゲは毛髪なのか。まったくわからない。
だがこれでヒゲを黒染めすることができることがわかった。ていねいに全体に塗っていこう。
だがこれでヒゲを黒染めすることができることがわかった。ていねいに全体に塗っていこう。
付いていたコーム(くし)で塗っていくのは無理があったので、付属の手袋をつけてそのまま塗りこんでいくことにした。
塗ったはしから次々と黒くなっていくヒゲ。
それにしても夜中に一人でトウモロコシのヒゲを染めていると、いろいろ思うところがあった。
美容室の匂い、滴る汗、染まりゆくトウモロコシ。なんだろうかこの狂気。なついている猫も部屋に入ってこなかった。
…。
塗り終えたらこのまま10分ほど待つ。
美容室の匂い、滴る汗、染まりゆくトウモロコシ。なんだろうかこの狂気。なついている猫も部屋に入ってこなかった。
…。
塗り終えたらこのまま10分ほど待つ。
