特集 2012年9月3日

激安?フェリーで行く太平洋の旅

笑ってるみたいでかわいいフェリー o
笑ってるみたいでかわいいフェリー
遠出の国内旅行の交通として、思い浮かぶものがいくつかある。まず挙がるのが、飛行機・新幹線・自家用車といったあたりで、フェリーというのはあまり選択されない手段ではないだろうか。

私も乗ったことがないし、使おうと考えたこともない。それはまず、価格的に高そうなイメージがあるからだろうか。しかし、よく調べてみるとそうでもない場合もあるらしい。そういうわけで、乗ってみました。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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乗る前の時点で頭はじけそう

「今回は格安フェリー旅についてのレポートですが、淡々と解説しても面白味に書けるので、今回は一緒に利用した妻にも登場してもらおうと思います。」
「…それはいいけど、言ってもないこと書きそうでなんだか心配。」
「その辺、できるだけマイルドにするね。」
「スーパーマイルドでお願いしたいわ。」
「さて、まずやってきたのは東京都江東区、有明にある東京港フェリーターミナル。」
倉庫街の先にちゃんとあった
倉庫街の先にちゃんとあった
東京ゲートブリッジが目の前に
東京ゲートブリッジが目の前に
「華やかなお台場の隣の島だけど、雰囲気違うね。」
「ほんとにこの先にあるのかな…と思うような倉庫街を通っていくからね。着いた時には無事来られたって、ほっとする感じもしたな。」
「着いてしまえば東京ゲートブリッジがすごくよく見えて、いい景色!」
「それもいいけど、僕がつい目で追ってしまうのはこっちなんだよね。」
ちっこいのがうろちょろしてる姿が楽しめる
ちっこいのがうろちょろしてる姿が楽しめる
「フェリーは貨物も輸送。だから、トレーラを積み終わった前だけの部分がいっぱい走ってるんだよ。」
「ちびっちゃくて、確かにかわいいかも。」
「自分の場合、かわいいって言うよりも『お前はもっとがんばれるはず!』って思うんだよね。」
「それ、自分に重ねて言ってる?」
口を開けた白鯨にも見える
口を開けた白鯨にも見える
ひらがな表記の船名
ひらがな表記の船名
「僕らが乗る船は、オーシャントランスという会社が運行するオーシャン東九フェリーの『おーしゃんのーす』号。どうしてひらがなで書いてあるんだろ。」
「乗ってから船員さんと雑談したら、ひらがなだと誰でもすぐ読めるからじゃないかなって話してたわ。」
「そうかもしれないけど、Ocian Norseくらい俺だって読めるよ。」
「それ、スペル違ってるから。」
人影まばらな乗船窓口
人影まばらな乗船窓口
左右の値段の違いがすごい
左右の値段の違いがすごい
「では乗船の手続きをしようか。今回は2ヶ月限定のマイカー割引キャンペーンを利用して、東京港から徳島港まで乗船します。」
「自分の車と一緒に乗船する場合、前日までに予約しておくと割引になるのね。」
「しかも人数が1人から4人まで、何人でも料金が同じなんだよ。」
「写真のポスターは4人で利用した場合の料金とキャンペーン価格比較したものね。すごい割引率だわ…。」
「僕たちは2人で『おーしゃんのーす』を徳島まで利用して20000円。通常料金を調べてみたら44980円だから、かなり安いね。」
運行スケジュールはこんな感じ
運行スケジュールはこんな感じ
だんだんムード出てきました
だんだんムード出てきました
「2人だと、自分で車を運転して行く場合や高速バスと比べると最安手段ではなさそうだけど、ゆったり海の旅を楽しむことも目的にするならば、使いやすい価格だね。4人だと1人5000円だから最安かも。」
「向こうでレンタカーを借りるつもりなら、その必要もないしね。」
船に架けられた道を通って乗り込む
船に架けられた道を通って乗り込む
「さあ、時間が来たので乗船。インディ・ジョーンズのテーマが流れる中、車を運転して船内に入っていきます。」
「その音楽はあなたの脳内オリジナルでしょ。」
「でもフェリー初体験ということもあって、そういう気分になるんだよ。」
「テンション上がりすぎてて心配だわ…。」
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落ち着きを取り戻すことのない乗船後

「今回乗った、おーしゃんのーす号は客室全てが2等寝台になっているタイプだね。」

細い廊下が船内気分を高める
細い廊下が船内気分を高める
せま楽しい2人部屋
せま楽しい2人部屋
「2段ベッドで、4人・6人・20人部屋とタイプがいくつかあるけど、今回は2人部屋を割り振られたから個室気分で使えてよかったわ。」
「心置きなく屁もこけるしね。」
「少しは心置いてよ!」

コンセントも充実
コンセントも充実
なんだか船っぽい枕
なんだか船っぽい枕
「壁際にはデスクもあって、コンセントも2つある。枕元にも1つずつあったな。」
「充電したり、パソコンを使ったりできて便利ね。」
「あと興奮したのは、枕が四角い。」
「…あなたの興奮ポイントが今ひとつわからないわ。」
「なんか船!って感じがして。見た目角張ってるけど、使うとちゃんと柔らかいから心配は無用。」
「そりゃそうでしょう!」
軽食を楽しむならオーシャンプラザ
軽食を楽しむならオーシャンプラザ
この価格設定は珍しい
この価格設定は珍しい
「出航までまだ時間があるけど、船内をうろちょろしよう。ここはオーシャンプラザという場所。」
「食べ物の自販機がずらっと並んでいて、軽い食事ができるところね。」
「この船の場合、レストランはないのでそれに代わる場所ということだね。いろいろある中、カップヌードルが100円と安い!」
「この値段はスーパーの特売でも見たことないわ。」
「種類もちゃんと揃ってる。僕はチリトマトと迷ったけど、カレーヌードルにしよっと。」

「えび」のところが白い
「えび」のところが白い
「私は好物のエビがたくさん入ってるのを期待してシーフードヌードルにしたわ…。」
「でも容器をよく見ると『えび』が含まれてないって表記があるね。」
「そうなのよ、エビ入ってなかった!
「これは盲点だったね…。逆を突かれた。」
「船と全然関係ない話になってるわ。」
「『まつたけ』が白くなってるのを見ても『そんなことわかってる!』って怒りたくなってくるね。」
「別にそんなことないわよ。」
助六のアレンジ寿司セット
助六のアレンジ寿司セット
船らしさを演出するチェーン
船らしさを演出するチェーン
「自販機には面白いのものも売ってるわね。」
「いわゆる『助六』かと思ったお寿司の名前が『助さん』。」
「よく見ると、いなり寿司じゃなくて肉巻きおにぎりになってる。」
「微妙なアレンジがなんだかうれしいね。」
「あと気がついたのは、イスにチェーンが付いてること。」
「船の揺れ対策ってことかな。激しく揺れたときに、倒れてゴロゴロ転がったら危ないもんね。」
すぐ向かいにある売店
すぐ向かいにある売店
目的地を反映した商品
目的地を反映した商品
「自販機が並ぶすぐそばに、有人の売店もあるよ。」
「簡単な日用品や食べ物が並んでるわね。」
「ラインナップには徳島ラーメンのカップ麺があったりして、旅気分を盛り上げます。」
「徳島と言えば、他にはスダチが有名かな。」
スダチの特産地、神山町のポスター
スダチの特産地、神山町のポスター
スダチ過ぎ
スダチ過ぎ
「船内には徳島関連のポスターも貼ってある。これは特にスダチの栽培が盛んだという神山町のだね。」
「『大好き神山』はいいけど、スダチがすごい。」
「写ってるおじさんも『どうしてこんなことに…』みたいな顔になってる。」
「ポスターの影響かわからないけど、売店で思わずスダチジュース買って飲んだね。」
「ジュースは決して過剰ではなく、ほどよいスダチ感でおいしかったよ。」
屋外部分もうろちょろできる
屋外部分もうろちょろできる
青く見えるのが東京ゲートブリッジ
青く見えるのが東京ゲートブリッジ
「デッキ部分もかなりの範囲を自由に歩けるようになってるのがうれしいね。」
「体力的な電池が切れるまでうろちょろしてたわよね。」
「いよいよ出航、青く光る東京ゲートブリッジに向かって行きます。」
「わー、きれい…。」
「橋もいいけど、このパイプも気になるな…。」
思わず息が止まるパイプ
思わず息が止まるパイプ
1枚いただきました
1枚いただきました
「これからの船旅のハードさを予感させる表記。」
「それ、考え過ぎじゃない?」
「知らずに通りかかった他のお客さんも、書いてある文字を読んで距離を取ってたよ。」
「そんな話、もういいよ!出航ほどなく、ゲートブリッジをくぐっていよいよ船旅が始まります。」
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快適タイムワープ

「次の写真はいきなり朝です。」
リッチな気分になれるロビー
リッチな気分になれるロビー
「目が覚めてなんか朝っぽいと思って部屋から出たら、思いっきり朝だった。」
「写真の場所はフォワードロビーといって、共用スペースとして景色を楽しみながらくつろげるところ。船内にはこういう場所がたくさんあって、窮屈な感じがしなかったわ。」
「それにしてもよく寝たな…。エンジンから響く細かい揺れが逆に心地よかったのかも。吐く暇なかった。」
「天候によるだろうけど、波に揺られる感じはあんまりなかったね。」
「揺れるのも実は少し期待してたんだけどなー。」
「船揺れお見舞いカードプレゼント」なる案内
「船揺れお見舞いカードプレゼント」なる案内
「というのはこれ。船が大きく揺れると、クオカードのプレゼントがあるんだよ。ウィットが効いてる。」
「船内にある傾斜計器で、10度以上の傾きが測定されるともらえるんだね。」
「こういう船で10度って、かなりの揺れらしいよ。穏やかに旅をするか、吐いてクオカードもらうかだね。」
「私は穏やかな方がいいわ。」
「俺はクオカードもらえるなら、吐くのを恐れない!」
「それ、別にかっこよくないから。」
コンセントもある窓際の共用スペース
コンセントもある窓際の共用スペース
テレビが見られるところもある
テレビが見られるところもある
「すでに紹介したオーシャンプラザもそうだけど、船内の共用スペースにはテレビが設置してあるところもあって、自由に見られるんだよね。」
「……あっ!梅ちゃん先生(NHKの連続テレビ小説)始まっちゃってる!なんで!?」
「BSだからじゃない?」
「そうか、うちはBS入らないから知らなかったけど、地上デジタルと開始時間が違うのかー。」
テレホンカード式の電話もある
テレホンカード式の電話もある
進行具合がわかる案内板
進行具合がわかる案内板
「航路図を見るとどこまで船が来ているのがわかって、しっかり進んでいるのが確認できるわ。」
「でも、公衆電話もあったりして、船で遠出してる感じがあまりしないくらい快適だね。」
「昨日入ったお風呂もよかったよ。」
「僕はさっさと寝ちゃって入ってないから、これから行ってくるか。」
いつでも入れる展望風呂
いつでも入れる展望風呂
なかなか広くて気持ちいい
なかなか広くて気持ちいい
「荒天時を除いて、いつでも入れるのがいいね。結構広いし、シャワーの水圧もしっかりしてた。」
「窓からはほんとに海しか見えなくって、これでもかとオーシャンビュー。」
「平均的な身長の僕の場合、浴槽で立つと窓枠の下がおへの下のとこだったよ。」
「それは絶妙な設定ね。」
ちゃんと必要なものがあって便利
ちゃんと必要なものがあって便利
「シャンプーとボディソープがちゃんとあるのもうれしかったわ。」
「『おーしゃんのーす』はいいとして、その勢いなのか『りんす』までひらがなになってるのがかわいいね。」
「しゃんぷーって打ったときには、ハッと気がついたのかもね。」
うっかり心洗われるいい景色
うっかり心洗われるいい景色
陸地が見えるタイミングもある
陸地が見えるタイミングもある
「さっぱりしてデッキに出ると、景色も新鮮でやっぱりいい気分だね。」
「海を眺めてたら、トビウオが飛んでるところを見られたわ。運がいいと他の生き物も会えることがあるみたい。」
「さあ、そろそろ徳島港への到着時刻が近づいてきたね。」
徳島港を見つめるワイルド
徳島港を見つめるワイルド
「こういう写真載せると、写真に写ってる男性が僕みたいに見えるね。」
「あなたこんなワイルドな感じじゃないわ。帽子もあなたのはなんだかチューリップハットみたいのだし。」
「仕方ないんだよ、アウトドア用品店で無理なく頭に入るのがそれしかなかったんだから。」
「チューリップの花を見るたび、あなたのこと思い出して微妙な気持ちになるのよ。」
「それは軽く腹立たしいね。それはともあれ、徳島に着いたよ。今はチューリップの季節じゃないし、僕を思い出すこともないと思う。」
「……チューリップのことは忘れて、まずは徳島ラーメン食べに行こうか!」

船から車降ろすのもなんか新鮮
船から車降ろすのもなんか新鮮

お得な価格で利用できることもあって初体験してみたフェリーの旅。思っていたより快適で、非日常的な環境の中でも、いつものような寝たり食べたり風呂入ったりと、普通の日常生活をして過ごしたのが意外だった。

ちなみに東京のフェリーターミナルにもカップヌードルの自販機はあったが、価格は180円。利用するときは、あせらず船内に入ってからの方がお得です。
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