特集 2013年2月4日

タマゴのピクルスがおいしい

見た目からはイメージできない味になってる
見た目からはイメージできない味になってる
ピクルスという食べ物がある。主に野菜を酢に漬け込んだものだ。

日本でも珍しいというほどの食べ物ではないと思う。ただ、ハンバーガーに挟まってるのしか食べたことない人も結構いそう、という感じのなじみ方ではないだろうか。

外国では野菜以外にもピクルスにするのにポピュラーな食材があると聞いた。それはタマゴだ。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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頭の中で味がつながらない食べ物

日本の場合、ハンバーガーの影響でピクルスと言えばまずキュウリを思い出す人も多そうだ。それゆえ、当サイトのバックナンバーにも新素材発見を試みた「ピクルスの新ジャンルを開拓したい」という記事がある。
こちらの記事</a>で未実践のポピュラー素材があるらしい
こちらの記事で未実践のポピュラー素材があるらしい
イワシやソーセージなど、なじみのない素材をピクルス化した記事。ここでは試していない材料で、国によっては定番の1つとなっているものがあるらしい。
いつもは半熟だけど今日はしっかりゆでる
いつもは半熟だけど今日はしっかりゆでる
それがタマゴ。イギリスのパブでは割と一般的な料理とのこと。

うーん、タマゴのピクルス。個人的にはなかなか味を想像できない。ピクルスというと野菜のイメージが強くて、どうしてもタマゴと結びついてくれない。
材料はシンプル
材料はシンプル
料理と言えないほどに簡単
料理と言えないほどに簡単
ならば実際に作ってみればいい。ゆでタマゴは個人的な好みとしては半熟だが、ピクルスにする場合には固ゆでにすることが多いようだ。

きちんと容器の殺菌処理をすれば3~4ヶ月保存できるという話も読んだが、今回は手軽に浅漬けタイプとしてみよう。その分、漬ける液には水やワインなどを入れず、酢に砂糖と塩だけを適量入れたものとした。
タマゴ「なんか、においキツくね?」
タマゴ「なんか、においキツくね?」
漬け具合は翌日からおいしいという話も、1ヶ月くらい経った頃が食べ頃という話も読んだ。今回は液を濃く作ったこともあり、3日間つけて食べることにしよう。
タマゴ「このにおいにも慣れてきたな…」
タマゴ「このにおいにも慣れてきたな…」
そういうわけで、3日後。野菜の場合は色や質感が変わってきそうだが、タマゴの場合は瓶の中をのぞいてみても変化がなくてややつまらない。
あ、ちゃんとピクルス化してるかも
あ、ちゃんとピクルス化してるかも
切った感触がいつもと違う
切った感触がいつもと違う
取り出してみると、酢の色が移ってやや黄色っぽくなっているのがわかる。フタを開けて漂ってきたにおいと合わせて、ピクルスっぽさが出てきている。

エッグカッターでスライスすると、予想に反してやや固めの感触。酢と言うとなんとなく柔らかくなるイメージがあったのだが、水分が出たためなのだろうか、予想とは反対だった。
見た目が普通な分、意外性を秘めた奴
見た目が普通な分、意外性を秘めた奴
盛りつけてみても、普通のゆでタマゴと特に変わらない。話を聞いても味がイメージできなかったタマゴのピクルス、どんなものだろうか。

食べてみる。…ああ、これはタマゴのピクルスだ。

何の説明にもなってない。そうとしか言えないのが申し訳ない。これまで食べたことのある野菜のピクルスの味が、そのままタマゴに移っている。タマゴそのものの味が変容するようなタイプの料理ではないように思う。

ただ、おいしいかそうでないかでいうと、個人的にははっきりと前者。そのままでもいいし、ハムに乗せて食べてもうまかった。

なじみのない酢も用意してみた
なじみのない酢も用意してみた
タマゴをピクルスにするに当たって、今回は他の酢でも試してみた。左からワインビネガー、柑橘果汁が入ったぽん酢、希釈して飲む用のブルーベリー酢だ。

普通の酢と同様、それぞれに砂糖と塩を溶かして漬け込んでみる。
投入直後
投入直後
3日後
3日後
タマゴを入れたときは普通の酢と違って浮き気味だったのだが、3日後には沈んできた。こうしたタマゴのリアクションに、漬かってる感が感じられてうれしい。
すっかりできあがった風
すっかりできあがった風
取り出してみると、色がかなり移っているのがよくわかる。ワインビネガーやブルーベリー酢は燻製たまごのような色になった。ぽん酢は液の色が淡かったが、それでも真っ白から比べると黄色っぽくなっている。
いかめしみたいなワインビネガー版
いかめしみたいなワインビネガー版
こうして見ても酸っぱそうに見えない
こうして見ても酸っぱそうに見えない
スライスしてまずはワインビネガー版から食べてみる。うん、いかめしみたいなビジュアルに対して、これはおしゃれな味だね。ワインの香りに反応して、「おしゃれな味」という表現が出てくる自分の頭が情けない。

普通の酢版の味に加えて、ワインの香りが漂うタマゴのピクルス。タマゴが強い味のある食材ではないので、ワインビネガーの香りをそのまま楽しみやすい料理、とも言える。
3色それぞれ風味が違うタマゴピクルス
3色それぞれ風味が違うタマゴピクルス
ぽん酢版は果物の風味が加わって、さわやかさがアップしている。これもなかなかいい。

個人的に気に入ったのはブルーベリー酢版。もともと甘みを加えてあるこの酢に、さらに砂糖を加えたため、そこそこの甘さがタマゴにしみていたのが吉と出た。卵焼きに砂糖を加えるのは定番であるように、甘みのあるゆで卵もいけるのだ。

色もよくしみてきれいなブルーベリー版
色もよくしみてきれいなブルーベリー版

梅干しなどの酸っぱい食べ物は写真を見ただけでも頭が「酸っぱそう…」と反応するが、タマゴのピクルスの場合はその反応がないと思う。「タマゴ」と「酸っぱい」が感覚としてつながらないからだろう。一度食べてみた私でも、まだ起きない。

その分、黙って人に出したらものすごく驚かれるのではないだろうか。びっくりしたあと、よくよく味わうとちゃんとおいしいのもフォローが利いてると思う。
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