特集 2013年2月13日

交通安全ラーメンセンターの謎に迫る

交通安全ラーメンセンターという名前の謎に迫りました。
交通安全ラーメンセンターという名前の謎に迫りました。
東京と東北を結ぶ国道4号線の草加あたりに、前からちょっと気になるラーメン屋がある。

その名は、「交通安全ラーメンセンター」。

交通安全とラーメンセンター、なかなか見かけない言葉の組み合わせである。果たしてどんな店なのか、独自調査をしてみることにした。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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交通安全と関係ないメニューばかりのラーメン屋

それにしても交通安全ラーメンセンターである。そんな名前のラーメン屋なのだから、「交通安全ラーメン」とか、「安全運転定食」とか、「居眠り運転防止コーヒー」とかの、交通安全にちなんだメニューがあるのだろう。

昼飯時をちょっと過ぎたくらいの時間に訪れてみたのだが、場所が国道沿いだし、どこの駅からもある程度遠いので、車でくる客がほとんどのお店のようだ。
交通安全の方に気が行ってしまっていたが、ラーメンセンターっていう名前も、よく考えるとあまり聞かないような。
交通安全の方に気が行ってしまっていたが、ラーメンセンターっていう名前も、よく考えるとあまり聞かないような。
店の外観や看板を見る限り、どうやら九州系のお店らしく、九州ラーメン(ざっくりしたジャンルだ)や長崎チャンポンなどがメインメニューのようである。

ラーメンセンターというくらいだから、もしかしたらゲームセンター的な要素があるのかもしれない。
バラエティ定食ってなんだろう。
バラエティ定食ってなんだろう。
店の入り口だけ見ると、交通安全の文字はない。
店の入り口だけ見ると、交通安全の文字はない。
店内の雰囲気は、いわゆる普通のドライブインという感じ。それもちょっと昔の、デコトラがビカビカしながら走っていた時代のドライブイン。

とりあえずメニューを眺めてみるのだが、交通安全ラーメンセンターを名乗っているわりに、それにちなんだメニューが皆無だった。意外だ。
デラックスラーメン1,100円。デラックスという言葉をマツコ・デラックス以外で久しぶりに見た。
デラックスラーメン1,100円。デラックスという言葉をマツコ・デラックス以外で久しぶりに見た。
菅原文太がデコトラで来店しそうな雰囲気のお店。
菅原文太がデコトラで来店しそうな雰囲気のお店。
普通の名前のメニューばかりだ。
普通の名前のメニューばかりだ。
売上ランキングを見ても、交通安全の気配は感じられない。
売上ランキングを見ても、交通安全の気配は感じられない。
ランチを見ても、普通。
ランチを見ても、普通。
創業メニューも普通のようだ。
創業メニューも普通のようだ。
どうも交通安全に関するものは、外にあった看板だけで、店内に交通安全っぽいものは見当たらず。お守りとかも売っていない。

こだわりのラーメン屋を演じている店だと、毛筆で書いた店名の由来や、店の歴史などがありがちだが、そういうものも一切なし。

逆にアルコールメニューが多い

しかし、店内をよく見てみると、交通安全ラーメンセンターという名前とは裏腹に、アルコールメニューが実に豊富であることに気が付いた。

客のほとんどが車でくるような店なのにだ。
ハイボール、はじめちゃいましたか。
ハイボール、はじめちゃいましたか。
酒のツマミ系メニューも充実。
酒のツマミ系メニューも充実。
これでは飲酒運転をすすめているようなものではないかと思ったが、そういう訳でもないようで、アルコールメニューの裏に「飲酒運転は絶対しない!!」というメッセージを発見。

お酒をおすすめしちゃうけれど、飲んだら運転してはいけないよという、「アルコールによる店の売上アップ」と「交通安全の願い」という、相反する要素のせめぎあいが感じられた。
焼酎のボトルキープもできるのか。
焼酎のボトルキープもできるのか。
ドリンクメニューの裏。酒を飲んだら車を駐車場に置きっぱなしにしてもいいというおおらかさ。
ドリンクメニューの裏。酒を飲んだら車を駐車場に置きっぱなしにしてもいいというおおらかさ。
飲酒運転根絶を願うなら、酒を出さなければいいのではという気もするが、他で飲むくらいなら、ここで飲んで車を置いていきなさいよということか。
飲酒運転根絶を願うなら、酒を出さなければいいのではという気もするが、他で飲むくらいなら、ここで飲んで車を置いていきなさいよということか。
当然、駐車場は広々としている。
当然、駐車場は広々としている。

店名の由来を聞いてみた

注文した料理が運ばれてきたタイミングで、店のおばちゃんに、ここがなんで交通安全ラーメンセンターというのか、ちょっと聞いてみることにした。きっと私以外にも、何人もが聞いている、至極当然の疑問だろう。

しかし、「ちょっと私にはわからないわー」というのがおばちゃんの答えだった。誰かわかる人はいませんかと聞いても、「今いる人は、たぶん誰もわからないわよ」とのこと。

交通安全ラーメンセンターで働いていて、一度も疑問に思わなかったのだろうか。まあ、思わないか。そういうものなのかもしれない。
「なんでかしらねー」と去っていくおばちゃん。
「なんでかしらねー」と去っていくおばちゃん。
林家パー子のサインがあった。右は林家ペーなのだろうか。
林家パー子のサインがあった。右は林家ペーなのだろうか。
店の二番人気だというチャンポン。モチモチしたストレートの太麺が、僕が知っているチャンポンの麺(リンガーハット)と全然違った。なんとなく昔のスパゲティっぽい麺。
店の二番人気だというチャンポン。モチモチしたストレートの太麺が、僕が知っているチャンポンの麺(リンガーハット)と全然違った。なんとなく昔のスパゲティっぽい麺。
チャーハンは米粒が香ばしく炒められていて、とてもおいしかった。
チャーハンは米粒が香ばしく炒められていて、とてもおいしかった。
とんこつラーメンもいわゆる博多ラーメンの麺とは違って、昔流行ったサラダ用スパゲティみたいな食感。
とんこつラーメンもいわゆる博多ラーメンの麺とは違って、昔流行ったサラダ用スパゲティみたいな食感。
一番人気の餃子は、ニラが効いた家庭的なタイプ。
一番人気の餃子は、ニラが効いた家庭的なタイプ。
結局、なにがどうなって交通安全ラーメンセンターという名前になったのかはわからず、悶々としたまま店を出た。

後日、再来店して謎が解けた

交通安全ラーメンセンターという名前の理由がわからずに、モヤモヤとした日々を過ごした数日後、急に我慢しきれなくなって、再度夜中に尋ねてみることにした。店員さんが入れ替わっていれば、詳しい人がいるかもしれない。

そしてその予想は的中した。
夜中の交通安全ラーメンセンター。
夜中の交通安全ラーメンセンター。
このおばちゃんが謎に答えてくれた。
このおばちゃんが謎に答えてくれた。
「創業者の先代の社長が、もともと九州でトラックのドライバーだったのよ。」

腑に落ちるとはこのことか。トラックの運転手といえば、交通安全がなによりも大事。だからこの地で42年前にラーメン屋をオープンしたときに、ドライバーを応援する店を作ろうと、交通安全ラーメンセンターという看板を出したのだそうだ。

前職がトラックドライバーではなく、消防士だったら、「火の用心ラーメンセンター」になっていたのかもしれない。

ちなみに開店当初はこんな立派な店ではなく、バスを改造してお店に使っていたそうだ。ドライバーを応援するため、数年前までは無料で入れるお風呂も完備していたとか。
寒い夜だったので、「卵太龍(らんたろう)」という辛いラーメンにしてみました。
寒い夜だったので、「卵太龍(らんたろう)」という辛いラーメンにしてみました。
こちらが先代の社長。
こちらが先代の社長。
そして、この店の名前は交通安全ラーメンセンターではなく、「九州ラーメン 博多っ子」というらしい。そこが一番びっくりした。

ご利益があったらいいな

交通安全ラーメンセンターには、あの看板以外、特に交通安全に関係するものはなかったが、ここでラーメンを食べることで、気分的に神社で交通安全のお守りを買うくらいのご利益はありそうな気はした。あくまで気分的に。

とりあえず、せっかく交通安全ラーメンセンターにいったのだから、今まで以上に交通安全を心がけようという気にはなった。
確かに「九州ラーメン 博多っ子 草加店」という店名のようだ。
確かに「九州ラーメン 博多っ子 草加店」という店名のようだ。

九州ラーメン 博多っ子
住所/埼玉県草加市花栗1-31-16
電話番号/048-941-6229
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