特集 2013年3月2日

新しいふせんを考える

Unidentified Mysterious Fusen。未確認ふせん。
Unidentified Mysterious Fusen。未確認ふせん。
文房具好きを自称している関係で、たまに「最近、文房具で何が面白いですか?」という質問をされる。
いつもは、その時々で「ハサミの新製品で面白いのが出てますよ」とか「低粘度インクのペン、まだアツいですね」など気に入っているジャンルを答えていたのだが、最近は「ふせん、スゴいですよ」としか言ってない。ふせん、新製品の量やアイデアの面白さなど、半端ないのだ。
ふせんブームは確実に来ている。ならばそこに割り込んでみようではないか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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ふせんの新たな地平

本当にふせんブームなど来ているのか、という方は、ひとまず「付箋 面白い」などという身もフタもない検索ワードで画像検索してもらえれば、今だいたいどんなモノが出ているかは分かってもらえるだろう。
ちなみにこの「○○ 面白い」という馬鹿っぽい検索、意外と本当に面白いものが見つかることがあるので、暇な時など片っ端から検索すると楽しい。

で、ふせん。
例えばこの草みたいなものは『GreenMarker』というふせんである。
お弁当のごはんとおかずの間にはさみたいふせんナンバーワン。
お弁当のごはんとおかずの間にはさみたいふせんナンバーワン。
これを本にびっしりと挟み込んでいくと…
茂りました。
茂りました。
こんな感じでさわやか草原みたいな雰囲気になっていく。
ふせんを挟めば挟むほどさわやかな草原感が高まるので、ついつい用もないのに書き込みやチェックをいれていってしまう。

この『GreenMarker』の何が素晴らしいかって、びっしり茂っていく雰囲気が楽しいというのも勿論あるが、なにより『本の上を地面に見立てている』のが上手いと思うのだ。

今のところ「ふせんブームに割り込んで一儲けしたい」という腹づもりだけで特に何がしたいというアイデアは無かったのだが、これは良さそうだ。素晴らしいところはマネしよう。
ただ、全部マネだと後々困ることになりそうなので、少し変えたい。

草の形をしたふせんが地面から生えている→何かが水面から生えてる、というのはどうだろうか。地面から水面に変わっただけだが、まあいいだろう。

水面はいいとして

あとは、水面から何が生えてたらグッとくるかを考えていけば、色々と展開は出来そうだ。
水面から生えている、といえばこれだろう。
水面から生えている、といえばこれだろう。
水面から…と考えた時点でまずこれが浮かんでしまった。
浮かんでしまった以上はしょうがない。一度は作ってみねばなるまい。
プリントアウトしたものを切り抜いて、
プリントアウトしたものを切り抜いて、
糊をぬります。
糊をぬります。
ちなみに上で塗っている糊は、『はってはがせるスティックのり』という、名前から1mmもズレてない商品だ。
スプレー糊やテープ糊でも同様の仮留め機能を持ったものは出ているが、このスティック糊が一番ふせんっぽい貼り心地だったので、採用。

あとは糊を少し乾かしてべたつきを押さえたら完成だ。

犬神家ふせん

ふせんがにょっきり。
ふせんがにょっきり。
水面から生えている、といえば犬神家である。
これで横溝正史の探偵ものを読んで、誰かが殺されたページにふせんをはさんでいく、などという楽しみ方もできるだろう。足がいっぱい生えた本は怖い本だから、そういうのが嫌いな人は読まない方が良いですよ、という警告にもなる。
開くとこんな足。
開くとこんな足。
横にすると、本に挟まれてぺらぺらになった人、みたいな。
横にすると、本に挟まれてぺらぺらになった人、みたいな。

他にも水面シリーズを考えたい

さすがにブーム絶頂のふせん業界に犬神家だけで殴り込みをかけるほど僕も若くはない。もう少し何か考えるべきだろう。

本から足がにょっきり生えているのが気持ち悪い、という人はいるかもしれない。じゃあそういう人にもウケるように、かわいい展開は必要だろう。
白鳥ふせん。これならカワイイ。
白鳥ふせん。これならカワイイ。
水面の下では足を動かしています。開くと更にかわいくなるシステム。
水面の下では足を動かしています。開くと更にかわいくなるシステム。
「優雅に泳ぐ白鳥も水面下では激しく足を動かしている」とは、『巨人の星』で花形満の言葉である。これを教科書や参考書に貼っていくと、なんとなく陰で努力してるっぽい雰囲気も出て、良いのではないだろうか。
ところで、いまこれを書くためにWikipediaで白鳥の項目を引いたら「これ(水面下で足を動かす云々)は作者の梶原一騎による創作であり、実際にはそれほど激しく足を動かしている訳ではない」とあり、ガッカリした。

かっこいい系も欲しい

白鳥がかわいいラインとしたら、やはりかっこいいラインも作っておきたい。
戦艦ふせんは間違いのないかっこよさ。
戦艦ふせんは間違いのないかっこよさ。
水面+かっこいい、は検索するまでもなく戦艦だ。本と比較してのサイズもあえて無駄にデカくしてみた。戦艦はデカいべきだからだ。
昔、戦艦のプラモデルで水面下の部分を大胆にカットした『ウォーターライン』というシリーズがいろんな模型メーカーから出ていたのだが、これはちゃんと下の方も作ってある。
水中モーターつきなので、お風呂で遊べるふせん。
水中モーターつきなので、お風呂で遊べるふせん。

ミステリアスふせんはどうだろう

サスペンスな犬神家、かわいい白鳥、かっこいい戦艦とくればラインナップは盤石…と言いたいところだが、一儲けするにはもうちょっと何か欲しい。
センスオブワンダーというか、不思議でワクワクする感じというか、なんかそんなのだ。
ワクワクしそうなものといえば、これではないか。
ワクワクしそうなものといえば、これではないか。
有名なあの画像をトレスしてふせんにします。
有名なあの画像をトレスしてふせんにします。
20世紀最大のミステリー、ネス湖の怪獣ことネッシーふせん。
20世紀最大のミステリー、ネス湖の怪獣ことネッシーふせん。
水面から顔を出している感じは、わりとネッシーっぽいのではないか。
そして、上の写真では映っていなかった水面下もちゃんと再現してみた。
カワウソです。
カワウソです。
今回は、ネッシーの正体として魚説、流木説と並んで有名な『カワウソが潜る瞬間を見間違えた説』を採用してみた。
「よりにもよってそんなジャストな一瞬を目撃して撮影するか」というボンクラな感じが楽しいので、一番好きな説だ。
あと、ネッシーが分からない若年層には普通にカワウソのかわいいふせんだよ、と言って売れるかもしれないし。

ふせん、無限の可能性

ペンなどの文房具を新たに開発するには莫大な手間とコストがかかる。対してふせんなどの紙製品はアイデアと印刷の手間だけでなんとかなってしまうのだ。
これからまだまだ面白いふせんが出てくるはずなので、大きい文房具屋さんや東急ハンズの文房具売場などに行ったら、ぜひチェックしてみてください。
合体させたら、バレリーナコントをする志村けんの下半身ふせんができた。
合体させたら、バレリーナコントをする志村けんの下半身ふせんができた。
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