特集 2013年3月5日

リマインドアクセサリーでもう豆腐を買い忘れない

TOFU、買い忘れるべからず
TOFU、買い忘れるべからず
ブレスレットやネックレスなどのアクセサリーに付ける小さなミニチュア、チャーム。

ハートだったりドクロだったりというモチーフのほかにアルファベットのものをよく見かける。

自分や恋人のイニシャルを身に着けるのが主な用途だろうと思うのだが、どうも「イニシャル」というのは気恥ずかしい。

恥ずかしくないアルファベットチャームの使用方法を探すうちに、豆腐の買い忘れや勤怠の締め忘れの注意を促すアクセサリーができました。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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チャーム、こういうの

冒頭でざっと説明はしたが、改めてチャームというのはこういうやつである。
モチーフいろいろ、アルファベットに数字も。かなりなんでもある
モチーフいろいろ、アルファベットに数字も。かなりなんでもある
手作りアクセサリー用に手芸店やアクセサリーパーツの店に行くと並んでいる。

アクセサリー作りにはまるで縁遠い生活を送っているが、このチャームというのにはそそられるものがあってたまにチェックしていたのだ。

それでどうしても気になっていたのがアルファベットのチャームなのである。
フォントも探せばたくさん種類が。これは1cm以下の小さいもので、1個60円~100円くらい
フォントも探せばたくさん種類が。これは1cm以下の小さいもので、1個60円~100円くらい

しかしイニシャルは気恥ずかしい

基本的にこういった文字をアクセサリーにあしらうのに選ぶのはイニシャルではないだろうか。

しかしどうだろう、イニシャルってなんだか気恥ずかしいと思うのだ。

私は「こが ちかこ」なのでイニシャルはKCもしくはCKとなる。KCだと講談社コミックスっぽいし、CKだと絶妙にカルバンクラインである。

気恥ずかしいというかただ自分のイニシャルに納得がいっていないというだけの話かもしれない。
そんな雰囲気出さなくていい! と思う
そんな雰囲気出さなくていい! と思う

好きなものの名前をアクセサリーに

で、気づいたのだ。

イニシャルがいやなら、何だって別の言葉をチャームで組めばいいじゃないか。

アルファベットチャーム=イニシャル用という凝り固まった頭で考えていたので気づかなかった。

好きな言葉を表せばいいのだ。

そこで最初に作ったのが、こちらである。
KINTSUBA
KINTSUBA

金つばが好きだ

好きな食べ物はたくさんあるが、金つばにはちょっと特別な思い入れがある。その思いをブレスレットに込めた。

金つばだけには、どうしてもここの店の金つばがいいというこだわりが僭越ながらあるのだ。通常は何でもかんでもうまいうまいと食べて暮らす私としては珍しいことなのです。

遠方にあるお店のものなので、なかなか普段には食べられず、今回こうしてアクセサリーにしたというわけだ。
金つばへの思いをブレスレットに(注:皿の上に描いてあるなんかへんなのは金つばのイラストです!)
金つばへの思いをブレスレットに(注:皿の上に描いてあるなんかへんなのは金つばのイラストです!)

ちなみに作り方

前後するが、金つばに思いをはせながら、ざっとだけチャーム付きアクセサリーの作りの様子を振り返っておかせてほしい。不器用な私にとってこれがまた意外に大変だったのだ。

アクセサリー作りは初めてだと書いたが、チャームを付けるくらいなら簡単にできるだろうと思っていた。当然大間違いである。
土台となるチェーンにCカンという接続パーツでチャームをつなぐだけの「簡単なお仕事」のはずだった
土台となるチェーンにCカンという接続パーツでチャームをつなぐだけの「簡単なお仕事」のはずだった
カンはペンチを両手に持って前後に開く。無理である
カンはペンチを両手に持って前後に開く。無理である
まずもって、ペンチを両手に持つというのが初体験だ。両手に持つものなのかペンチって。

自分の身に着けるアクセサリーを作るなんてふわふわした行いだなあと思っていたが、両手にペンチ握るような猛々しい行為だったとは。

なんとかかんとか、えっちらおっちら完成したのが先ほどのKINTUBAだったわけである。ふー。

しかし、これにまたちょっとした落とし穴があった。
装着すると、あれ、文字が読みづらい
装着すると、あれ、文字が読みづらい
アクセサリーなのだから、当然平面に置いたときよりも装着したときに文字が見えないと意味がないのだが、どうもじゃらじゃらしてしまい見えづらい。

チェーンに間をあけて文字を配したのがいけなかったのか。

これを踏まえてさらに作ってみます。
次に作るのはこちら。並べると浮かび上がる言葉は…
次に作るのはこちら。並べると浮かび上がる言葉は…
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試作2号、いきます

試作1号「KINTUBA」の反省を踏まえて試作2号の製作にかかろう。ぎゅっと文字を詰めて並べてみた。こちらです。
大好きなINTERNET
大好きなINTERNET
金つば同様、インターネットが大好きだ。なくしては生きられないという意味では金つば以上である。

さらにアクセサリー化の決め手になったのには別の訳もある。

以前ライター小野さんがママチャリの名前について調べた記事で(こちら)、「インターネット」という名前のママチャリが売られていたことが書いてあり以前大変な感銘を受けたのだ。

ママチャリにあるならアクセサリーにあってもいいんじゃないかと思った。
インターネットとは違うが、我が家では息子のヨーヨーに「SOCCER」と書いてある。こういう唐突さがアクセサリーにも欲しかった
インターネットとは違うが、我が家では息子のヨーヨーに「SOCCER」と書いてある。こういう唐突さがアクセサリーにも欲しかった
KINTUBAよりもぐっと読みやすく。無線のイメージで稲妻もつけた
KINTUBAよりもぐっと読みやすく。無線のイメージで稲妻もつけた
しかし肝心のインターネットにアクセスしようとすると、チャームはすべて重力で下へ
しかし肝心のインターネットにアクセスしようとすると、チャームはすべて重力で下へ
もしくはじゃらじゃらに!
もしくはじゃらじゃらに!

もっと実用性が欲しい

ある程度は満足したのだが、装着したときのやはり課題として残ってしまったか。

さらにもうひとつ。金つばとインターネット、大好きな2つをアクセサリー化しながら気になったのは、

「I (ハート)NY」みたいなことやってるな。

ということである。NYの部分を他の言葉にする文化ってある。「I (ハート) INTERNET」探せばそんなTシャツやマグカップなんか容易に見つかりそうじゃないか。なんとなく悔しい。

そこでだ、方向性を変えてみたい。アクセサリーが身に着けるものであることを武器にもっと実用的なものを作ろう。

ブレスレットは腕に着けるものだが、ここに文字を入れるというのは、絶対に忘れてはいけない用事を手に書くのに似ているなと思ったのだ。

そこで作ったのがこちらである。
TOFU
TOFU

もう豆腐を買い忘れない

我が家では豆腐を大変によく食べる。

勢い買う量もずいぶん多いのだが、当たり前のように買うだけに買い物リストに書き忘れることも多いのだ。

これを着けていればもう絶対に豆腐を買い忘れないというわけである!
はっ! 豆腐!
はっ! 豆腐!
TOFUはブレスレット化する単語としては秀逸である(文字数が少ない)こともうれしい。

「TOFU」が「UFO」っぽいことも今回初めて知ったがそれはどうでもいい。
手首を返すなど、激しい動きにも安定してTOFUをアピールし続けることが可能
手首を返すなど、激しい動きにも安定してTOFUをアピールし続けることが可能

日付もアクセサリーで

うん。いいぞ。

アクセサリーというと装飾でしかないと思っていたが、まさか実用性が与えられるとは思わなかった。昔どこかでおっさんがつけているのを見た指輪印みたいだ。

これは胸のすく展開ではないか。この方向でさらに推し進めよう。

さて、突然だが私は役所や郵便局など手続きの場にある日付の表示が大好きである。
こういうの。あれ、今日なんにちだっけ? とう疑問に即答してくれる
こういうの。あれ、今日なんにちだっけ? とう疑問に即答してくれる
書類を書いていて、あれ? と思うことを先回りして教えてくれるのだ。素晴らしい。

チャームには数字のものもたくさんある。これで日付を表示できるようにしてはどうだろう。
ナス缶と呼ばれるパーツを4つ付けて、日々数字を変えられるようにした。今日は3月5日なので0305と
ナス缶と呼ばれるパーツを4つ付けて、日々数字を変えられるようにした。今日は3月5日なので0305と
数字とアタッチメントの色が同じだと見えにくいことが分かったので、色を変えた。ファッション性より実用主義である
数字とアタッチメントの色が同じだと見えにくいことが分かったので、色を変えた。ファッション性より実用主義である
ブレスレットに飽きたので何も考えずイヤリングにしたのだが、装着してみると当然自分で見えずはっとした。
鏡で日付を確認する。なにやってんだ
鏡で日付を確認する。なにやってんだ
自分で見られないのは残念だが、誰かに「今日何日だっけ?」と聞かれたら耳を見せれば解決というのは良い。これがきれいなお姉さんだったら真後ろに倒れるほどセクシーじゃないか。

事務机においてある日付表示から発想してまさかセクシーが発生するとは。

勤怠の締めが大事すぎる

実用性の高いアクセサリー作りにかなり手ごたえを感じながらさらに次だ。

この記事をごらんの方で毎月会社の勤怠を締める必要のある方はどのくらいいるだろう。

タイムカードを見返して、年次休暇や出張などの申請がもれていないかをチェックする、ある一部の会社員たちにとっては超重要な作業である。

大切すぎるにもかかわらず、日々の実務に終われ忘れがちな作業もないのではないか。
一瞬「クウネル」っぽく見える瞬間があったが、勤怠の締め、です
一瞬「クウネル」っぽく見える瞬間があったが、勤怠の締め、です
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ドクロで脅かす

続いてあしらうメッセージはずばり

KINTAI NO SHIME

である。勤怠を締め忘れたときの恐ろしさを表すべく、文字の間にドクロのチャームをはさんだ。どうだ、怖いだろう。
忘れるとどうなるか分かってるんだろうな、と
忘れるとどうなるか分かってるんだろうな、と
ちなみに今回はチャームを買いに東京でアクセサリーパーツの卸売りの店があつまる浅草橋へ行ったのだが、A~Zまで揃いで扱う店がなかなか見つからず難儀した。

あまり使われない(おそらくイニシャルとして)文字は売り場で割愛されることがよくあるようなのだ。

勤怠の締めは厳重にリマインドしたかったので、ぜひとも大きな文字のものを使いたい。該当する文字が無かったらどうしようと焦っていたのだが、「KINTAI」も「SHIME」も滞りなく大きなパーツを買うことができたのには驚いた。

もしかしてみんな私に内緒で作っているのだろうか。勤怠の締めアクセサリー。
感動したのでこの写真再掲、奇跡の全パーツでかい文字(抑揚を出すため「NO」は小さい文字を使用)
感動したのでこの写真再掲、奇跡の全パーツでかい文字(抑揚を出すため「NO」は小さい文字を使用)
そしてチェーンに装着!
そしてチェーンに装着!

もう勤怠の締めを一生忘れない

さすがにこれを着けて勤怠の締めを忘れることはないだろうという迫力の1品ができてしまった。

装着しなくとも作っただけで今後一切勤怠の締めを忘れることがなくなりそうなインパクトである。

ただし、やはり1点問題が。
読みづらい問題再び
読みづらい問題再び
予想はしていたのだが、装着したときの文字読みにくい問題がやはり。

何からしいことが書いてあるのだなというのは分かるのだが、ちょっと凝視しなくては分からない。もっとパッと見て分からせたいのだ。

ベルトにしてはどうでしょう

文字は、もっとチェーン全体が広がっていれば読みやすいはずだ。ならばネックレスではなくベルトとして使用してはどうだろう。
ベルトなら、こんな感じで広げて着けられる
ベルトなら、こんな感じで広げて着けられる
ネックレスのままだと当然私の腰にはチェーンが足りなかったので長さを大幅延長、そしてできたぞ、ベルト版。
一瞬おしゃれだ! と思ってしまったが多分勘違いである
一瞬おしゃれだ! と思ってしまったが多分勘違いである
ズボンが腰から落ちないようにする意味以外でベルトを着用する日がこんな形で来るとは夢にも思わず、感慨と人生の意外性に気持ちは高ぶるばかりである。

自分の名前って興奮するという話

われながらなかなかに良いものを作ることができた。取り組みとしてはここまでで十分満足だ。

ただ、まだ少しパーツに残りがあるのでもうひとつ戯れに作ってみたい。

先日自転車のイベントに行ったのだ。湘南バイシクルフェスという平塚競輪場で行われた自転車イベントで、たくさんの自転車メーカーが試乗のブースを出していた。その中に「KOGA」というメーカーがあったのである。私は名前を、古賀という。これは興奮だった。
自転車にKOGAと! 前のめりで試乗
自転車にKOGAと! 前のめりで試乗
そして気づいた。自分の名前をよそで見かけると興奮するのだ。自分の名前や苗字を地名に持つ土地を訪れるとわくわくするのと同じ感覚だろう。

アクセサリーのイニシャルというのも、もしかしてそういうことだったのだろうか。イニシャルを気恥ずかしいなと思う場合はズバリ苗字そのものをあしらってしまえばよいのではないか。
というわけで一周回って、KOGAのアクセサリーを
というわけで一周回って、KOGAのアクセサリーを
着けるだけでKOGAとしての力がみなぎる。

今後とも、どうぞよろしくお願いします。

いかようにもできる自由がある

実用性を探ったり最後は自分の苗字で作ったりと暴走してしまったが、アルファベットのチャームの自由度の高さには単純にわくわくする。

どんな言葉もアクセサリーにできるのだ。なんだっていいのである。この自由、ぜひみなさんにも味わっていただきたいと思うばかりだ。

デイリーポータルZをやっていてここまで人に勧めたいというところに落ち着くことも珍しい。
手持ちのアクセサリーが一気に倍増した
手持ちのアクセサリーが一気に倍増した
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