特集 2013年4月10日

かなまら祭りでアレ以外に注目する

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祭りというのは基本的にローカル発祥のローカルのためのローカルなものであるため、 遠方からはるばる、まして海外から観光客が訪れるものは珍しい。

しかし川崎のかなまら祭りは、大規模ではない地域のお祭りながらも外国人観光客がたくさん訪れるそうだ。なんだろうそれは、ぜひ見たい。

が、調べたところ、性神信仰のお祭り、えーつまり、 男性自身を象った神輿が街を闊歩するとか、そんな感じらしい。キャー!

「むだ毛」という言葉ぐらいで失神するぐらいピュアな僕には刺激が強すぎる。そもそも載せられないだろう。でもそんな世界的に注目される祭りも見逃したくない。

そう葛藤した結果、とにかく18禁なものは徹底的に避けて祭りを見ることにしました。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

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> 個人サイト こざとへんなところ+++

人口密度が半端ない

川崎大師駅からほど近い、若宮八幡宮境内にある金山神社でかなまら祭りは行われる。

祭りの開始は午前11時から。しかし余裕を持って10時半頃に来てみると、 既に人でいっぱいだった。
駅前はまだ賑わってるなー程度だが、
駅前はまだ賑わってるなー程度だが、
境内はそれどころじゃない。
境内はそれどころじゃない。
もうミチミチ。中まで入ると、身動きが出来ないほど。 みんないったい何が目的なんだ。

いやもうその目的は十分に分かっている。男性自身の神輿が境内の中心にドーンとそびえ立っていて、否が応にも目に入る。でも写すことは出来ないのでご理解願います。

どうしても見たい方は画像検索してください。おそらく2枚ぐらいで グッタリすると思います。

だいたい撮れません

とにかくすごい人で、どこで何が行われているのかもよく分からない状況。 人の流れも激しく、落ち着いて周りを見渡すことも出来ない。
なにかを販売してる様子。人混みをかき分けて進むと、
なにかを販売してる様子。人混みをかき分けて進むと、
危ない!写せない!
危ない!写せない!
売っていたのは木製のエリンギみたいなもの。 それがなんなのかは皆目見当つきませんが、 野生的な勘でシャッターを押す前に慌てて下を向きなんとか回避できた。危なかった。
これは…セーフだな。
これは…セーフだな。
これも…大丈夫だな。
これも…大丈夫だな。
なんでもない写真を撮るにも随分おっかなびっくりになってしまう。 境内にあるもの全て危険な被写体に思えてくるのだ。なんらかの神通力が働いているのかもしれない。

日本人より外国人の方が多そう

かなまら祭りで特筆すべき点は、とにかくその外国人の多さだろう。 体感的な割合でいうと3:7ぐらいで外国人の方が多いような気がした。
「フゥゥー!」と叫んでるからなにしてるのかと思ったら、
「フゥゥー!」と叫んでるからなにしてるのかと思ったら、
妙な仮装の人と写真を撮る外国人多数。日本人は遠慮気味。
妙な仮装の人と写真を撮る外国人多数。日本人は遠慮気味。
良いムードになってる外人カップル。どうせまた卑猥なもんでも見てんだろ!
良いムードになってる外人カップル。どうせまた卑猥なもんでも見てんだろ!
と思ったら猿回しだった。良かったー。
と思ったら猿回しだった。良かったー。
だからって猿回し見て良いムードになるのも理解できません。
和風の服装で日本文化に馴染もうとする人と、右のおっさんのすばらしい顔。
和風の服装で日本文化に馴染もうとする人と、右のおっさんのすばらしい顔。
外国人が多いのは主催者側も理解しているらしく、場内には英語のアナウンスも流れる。

とはいえプロの通訳ではなく、知り合いのちょっと英語が出来る子に頼みました、というタドタドしさが地元のお祭りといった雰囲気で良い。

屋台の広告も日本語と英語を両方揃えたバイリンガル出店だ。
なんのポーズがいろいろなのかは想像にお任せします。
なんのポーズがいろいろなのかは想像にお任せします。
なんのポーズがいろいろなのかは想像にお任せします。
なんのポーズがいろいろなのかは想像にお任せします。
余白があったからついでにウソついたんだと思う。
余白があったからついでにウソついたんだと思う。
いったん広告です

特殊なもの色々

かなまら祭りはその発祥を江戸時代まで遡る由緒あるお祭りであるらしい。

らしいのだが、現代ではかなり特殊な方向に進化を遂げているので、色々と特殊なものが見られる。
おネイサンたちとの撮影会が大人気。
おネイサンたちとの撮影会が大人気。
やや彦摩呂似多めか。
やや彦摩呂似多めか。
こちらは女装クラブから寄贈された神輿を担ぐ方々である。 やっぱり神輿を担げそうな人を選別してるのだろうか。
あれこっちにも?
あれこっちにも?
ではなく、フラダンスだった。
ではなく、フラダンスだった。
ひょっとしたらこのお母さんたちも男…と思ってしまうのが かなまら祭りの恐ろしいところだ。
フラダンスの頭上で金髪モヒカンが写真撮ってるカオス。
フラダンスの頭上で金髪モヒカンが写真撮ってるカオス。
境内の掲示板には、なぜか祭りの広告に囲まれた女子プロレスのポスター。
境内の掲示板には、なぜか祭りの広告に囲まれた女子プロレスのポスター。
しかもチラシも配ってた。
しかもチラシも配ってた。
男の初音ミクが交通整理中。色々間違ってるけど偉いから良し!
男の初音ミクが交通整理中。色々間違ってるけど偉いから良し!

ちゃんとした祭りが始まる

この異様な空間の雰囲気で忘れていたが、これは歴としたお祭りなので、 神輿を担いで町を練り歩くメインイベントがある。
さらに人が増えて道路から溢れるまでに。
さらに人が増えて道路から溢れるまでに。
手をつないで道を作ってるのがほっこりする。
手をつないで道を作ってるのがほっこりする。
ニョキニョキニョキーと生えてくる腕。
ニョキニョキニョキーと生えてくる腕。
とてもこの後から男性自身の神輿が続くとは思えないなー、と 見ていると、周りがワッとなってカメラを頭上に掲げだした。
あの神輿が通過中。
あの神輿が通過中。
通り過ぎるまでしばらくお待ちください。
通り過ぎるまでしばらくお待ちください。
いったん広告です

神輿が戻ってくるまでの休息

神輿の行列は、町の商店街などを回て約1時間半程で戻ってくるらしい。

道も狭く人混みで身動きもとれないため、行列を追うのはあきらめて 境内の他の出し物を見ることにしよう。
卑猥な要素はない?大丈夫?
卑猥な要素はない?大丈夫?
大丈夫。

これはかなまら音頭といって、音楽家の人が作曲して、花柳流の人が振り付けをして、 地元のお母さんたちが継いでいこう的なものだそうだ(話をあまり聞いてなかった)。

観客も自由に参加できる自由な気風のものなので、それくらいざっくりな認識でいいのだ。
「あれ、音源のCDどこいった?」「覚えてもらいたいから後2回リピートします」などアナウンスも自由。
「あれ、音源のCDどこいった?」「覚えてもらいたいから後2回リピートします」などアナウンスも自由。

神輿の帰還と終演

そうこうしてるうちに、神輿が境内に戻ってきた。 外人がウィィーッと歓声を上げ、再び困った活気に溢れてくる。
ある意味アイドルとも言える。
ある意味アイドルとも言える。
その後神輿はしばらく境内に置かれた後、倉庫のようなところへ収納されていった。

獰猛な動物は檻の中。これで安心して写真が撮れるというものだ。
見られなくなるとむしろ見たくなる。
見られなくなるとむしろ見たくなる。

祭りはむしろカオスを増す

その後祭りは宴会のような状況に突入。 細かい出し物はあるが、各自好き勝手に飲んだり食べたりしだした。
ほとんどショーのようなおネイサン方の打ち上げの様子。
ほとんどショーのようなおネイサン方の打ち上げの様子。
それらを上から見ているお相撲さん。
それらを上から見ているお相撲さん。
一切卑猥ではないバンド演奏と、踊る外国人たち。
一切卑猥ではないバンド演奏と、踊る外国人たち。
ステージではなくシートの上で行われているのには理由がある。 もともとかなまら祭りは川崎宿で働いてた女性が商売繁盛や性病除けを祈って始めた「地べた祭り」に由来するからだそうな。

そう考えると、おネイサン方がここで打ち上げしているのも、ちゃんと伝統に沿った理由があるのかもしれない。
やっぱりないかもしれない。
やっぱりないかもしれない。
バンド演奏が終わると、また次のバンドの準備に取りかかる。 その間、男性自身の形にカットした大根のオークションが始まった。
この道何十年みたいなおじさんが競りを進める。
この道何十年みたいなおじさんが競りを進める。
右手に持ってます。写せません。
右手に持ってます。写せません。
「これは出来が良いから300円でスタート!」「これはいまいちだから100円からだな」。

いったい何基準なのかは知らないけど、なんとなく出来不出来は見てて分かるのがなんか照れる。

ただ、よく出来た物ほどあまり買う気にならないという欠点ないだろうか。これ。
競りが終わると再び別のバンドによる演奏。
競りが終わると再び別のバンドによる演奏。
バンド演奏→ちんこの大根競り→バンド演奏

という珍妙なプログラムを快諾してくれるバンドの人たちも偉いし、 大根作る人も偉い。もうみんな偉い。ヤッター!
目も当てられないほど羽目を外す人多数。トリミングが不自然なのは察してください。
目も当てられないほど羽目を外す人多数。トリミングが不自然なのは察してください。
日常と非日常の境界線。
日常と非日常の境界線。
あれこれ回って、でもほとんど載せられない写真を撮ってるうちに、バンド演奏が 佳境に入ってきた。祭りの終わりも近づいてきたようだ。

珍祭・奇祭として有名なかなまら祭り。最後はいったいどんな雰囲気で終わるのだろうか。
Y!
Y!
M!
M!
C!
C!
A!
A!

ワールドワイドローカル祭り

こうしてかなまら祭りは、最後みんなでYMCAを踊って幕を閉じた。 本当をいうと、この後スタンドバイミーの合唱もあったのだがそれはいいだろう。

かなまら祭りの肝となる部分を外したら普通の祭りじゃないかと不安もあったが、アレ以外にも相当見所のある祭りだった。

特に外国人の多さはすごい。 踊りとかライブなどの出し物は祭りとして珍しくはないけれど、 世界中から人が集まることで異様な盛り上がりに繋がっている。

男性自身はもちろんだが、それが呼び込む外国人の圧倒的密度が、かなまら祭りの最も特異な点かもしれない。
屋台の荷物を入れる紙袋が東京ばななという手の込みよう。
屋台の荷物を入れる紙袋が東京ばななという手の込みよう。
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