特集 2013年4月19日

大人の愉しみ炙りスイーツ

甘いスイーツに焼きを入れていきます!
甘いスイーツに焼きを入れていきます!
寿司を炙る文化がある。炙りサーモンなどがそれにあたる。その文化を「スイーツ」に持ち込んだらどうだろう。スイーツを炙るのだ。「炙りスイーツ」である。

スイーツは華やかで渋い大人の食べ物という感じがしない。しかし、炙ることで重厚な激動の時代を生きてきたスイーツとなるのだ。ということで、いろいろなスイーツを炙ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

炙るという選択肢

スイーツの完成形は様々で、盛りつける際に砂糖をふりかけたり、生クリームを乗せたりなど、スイーツは華やかなものを纏うことが多い。ただでさえ華やかなのにさらにに華やかになるのだ。美人がドレスを着ている状態がスイーツである。
葉っぱを纏うという華やかさ!
葉っぱを纏うという華やかさ!
しかし、それではいつまでもスイーツはスイーツのままで新たなステージに行くことができない気がする。スイーツは現状に満足してしまっているのだ。そこでスイーツに焼きを入れてみてはどうだろうと思う。スイーツの二学期デビューである。
バーナーでスイーツに焼きを入れます!
バーナーでスイーツに焼きを入れます!
スイーツなのに焼きを入れられているのは「焼きプリン」と、以前私がどこかの喫茶店で食べた「炙りバームクーヘン」くらいではないだろうか。「焼きスイスロール」や「炙りチーズケーキ」などは聞いたことがない。しかし、焼きを入れられたそれら二つはとても美味しかった。実はスイーツには焼きなのではないだろうか。
スーパーで買ったバームクーヘンを自宅で炙ってみました!
スーパーで買ったバームクーヘンを自宅で炙ってみました!
完成「炙りバームクーヘン」
完成「炙りバームクーヘン」
バームクーヘンは焼きを入れると随分とワイルドになる。「焦げている」と思うかもしれないが、これが美味しいのだ。甘さだけではなく、そこに香ばしさを感じることができ深みが生まれる。大人のスイーツとなるのだ。今回もそうだが以前食べた時も非常に美味しかった。スイーツは焼きを入れてこそ輝くのだ。
炙りバームクーヘンは美味しい!
炙りバームクーヘンは美味しい!

炙りチーズケーキ!

ふんわりとしたスフレチーズケーキ。スイーツの王道のひとつだろう。その柔らかさには優しさすら感じる。しかしである。優しいだけではダメなのだ。優しさだけの時代は終わったと私は断言したい。ということで、焼きを入れる。
チーズケーキに、
チーズケーキに、
焼きを入れました!
焼きを入れました!
若干焦げすぎたところはあるが、フワフワだった表面は、焼きを入れることによりプルプルへと変貌を遂げた。元の洗練されたところはなくなったが、泥臭い地に足がついた感じがする。人は見た目で焼きを入れられた状態を嫌うかもしれないが、食べていただきたい。美味しいのだ。
美味い!
美味い!
炙ることによりチーズの香りがより引立つ。焦げが香ばしく甘さも引き立てている。優しいだけのチーズケーキが新たなるステージに旅立ったと言っても問題ないだろう。今までのチーズケーキが代官山とすれば、炙りチーズケーキは軽井沢のバンガロー。ぜひ店頭に並んでいて欲しいと思う。
焼きを入れる作業も楽しい!
焼きを入れる作業も楽しい!

炙りおはぎ

以前食べたバームクーヘンも先に作ったチーズケーキも海外の食べ物であった。日本のスイーツにも焼きを入れてみてはどうだろうかと思う。甘い食べ物は日本にもある。日本だって甘いだけではダメなのだ。今こそ日本男児の威厳を取り戻すチャンスなのである。
おはぎに、
おはぎに、
焼きを入れました!
焼きを入れました!
見かけはさほど変わらないが焼きが入っている。食べてみるとその深みに驚く。田舎を感じるのだ。甘さに切れも生まれ、どこか懐かしい緑豊かな里山を連想させる。田舎の祖母の家で食べるおはぎの味だ。また焼きを入れる際がカッコよく、パフォーマンスとしてもおはぎに焼きを入れるのは素晴らしいのではないだろうか。日本男児のスイーツとはこうであると思う。
カッコいい
カッコいい

炙りハッピーターン

今までは柔らかいものに焼きを入れて来たが、ハッピーターンにも焼きを入れてみたいと思う。ハッピーターン自体は甘いお菓子ではないが、より一層甘くない方向に舵を切るご提案である。ハッピーターンアンドターン。書いてはみたが自分でもハッピータンアンドターンの意味は分かっていない。
ハッピーターンに、
ハッピーターンに、
焼きを入れました!
焼きを入れました!
黒い。焼きを入れたからだ。部屋にはお祭りの夜店周辺の匂いが立ちこめる。急に情緒のある匂いだ。ハッピーターンから日本情緒を感じるとは思わなかった。ちなみにではあるが味は驚くほど変わらない。ただしお祭りが口の中に広がる。ワッショイ、ワッショイである。名付けるなら「ハッピーターン祭り風味」ということになるだろう。
お口の中がお祭りである!
お口の中がお祭りである!

同じ味になる不思議

いくつものスイーツに焼きを入れた。例外もあるが基本的にはどれも美味しかった。ただしあることにも気がつく。同じ味になるのだ。カステラに羊羹をはさんだシベリアも、生クリームを塗って巻いたスイスロールも、北海道印がある蒸しチーズケーキも、全て香ばしい甘い食べ物になるのだ。その差は他人の双子の赤ん坊くらいに一緒だ。
これも、
これも、
これも、
これも、
同じ味!
同じ味!
美味しいか否かと問われれば先にも書いたように美味しい。しかしながら個性がなくなる。香ばしい甘い食べ物と化すのだ。だからスイーツに焼きを入れることがあまり普及していないのではないだろうか。しかし、その中でもチーズケーキやおはぎのように十分に個性を発揮して美味しいものもあった。その辺りを見極め焼きを入れて行くことが求められる。誰も彼もに焼きを入れていいわけではないのだ。
丸ごとバナナは焼きを入れると美味しかった。クリームがいい感じに溶けてとてもよい!
丸ごとバナナは焼きを入れると美味しかった。クリームがいい感じに溶けてとてもよい!

スイーツには焼きを!

ここに書いたスイーツ以外にも焼きを入れた。本文中で書いたように例外もあるが、ほぼ全てが香ばしく美味しくなった。例外はシュークリームとゼリーである。シュークリームは生地にバーナーを当てた次の瞬間には焦げて、香ばしいを通り越して苦い体に悪い食べ物になってしまい、ゼリーは全く火を受けつけず温いゼリーになっただけだった。以上の例外を除けばスイーツに焼きを入れることは悪いことではないと思う。焼きを入れる時代がくることを予感している。
火に動じないゼリー
火に動じないゼリー
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