特集 2013年4月24日

高速塗り絵マシーン作ったら小麦粉を吹き飛ばしてた

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絵を描くとき、広範囲に色を塗るために高速で鉛筆を動すのが疲れる。

言葉だとちょっと説明しにくいが、たとえば塗り絵で広い面を一色で塗ろうとしたら、手をワイパーのように高速で動かして塗りつぶすだろう。

小さい範囲ならまだよくても、これが広い範囲で濃く描かなければいけない場合すごく疲れる。それにここにかかる時間をなくせば、もっと細部の描き込みとか出来て絵もうまくなるはず。機械に任せられる単純作業は機械に任せるべきである。



そんなわけで 手の代わりに高速で色を塗ってくれるマシンを生み出してしまいました。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

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ワイパーかと突っ込まざるをえない

個人的に2年ほど前からデッサン教室に通っていて、 元々ドへたくそだったのが最近ようやくへたくそレベルになってきた。

そしてデッサンをやってみて気づいたことがある。これ、腕がかなり疲れる作業なのだ。
たとえばこの範囲を黒く塗ろうとする。
たとえばこの範囲を黒く塗ろうとする。
高速で鉛筆を動かす!
高速で鉛筆を動かす!
もっと高速で鉛筆を動かすッ!
もっと高速で鉛筆を動かすッ!
腕が疲れる。
腕が疲れる。
実際には画用紙並に広い範囲を真っ黒になるまで塗ることも多い。

そうなるともう描くとかじゃなくて、人間ワイパー状態になってるだけだったりする。 これはなんとかしないといけない事態だ。

なんとかしました

その後いろいろがんばって、高速塗りマシーンを完成させた。 まずは手描きとの比較動画を見てほしい。
手描きだと20~60秒かかったのが、鉛筆描きマシーン(名称が安定してません)だとどれも10秒代で済んだ。しかもまったく手が疲れてない。スゴイ!

一部「塗れてないだろ」と言いたくなるところはあるかと思いますが気にしないでください。 目の錯覚です。
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高速塗りマシーン

あの高速塗りマシーン。 奇術のようなその動きに驚いて失禁した方も多いのではないだろうか。
マシン全体図。
マシン全体図。
仕組みとしては単純で、電動ルーターの回転がギアに伝わり、そのギアが棒を動かしている。
こういう動き。
こういう動き。
専門家(何の?)が見たら鼻で笑うような出来かもしれない。 が、しかしこれだけのものでも、二日間休眠状態になるぐらい大変だった。

無重力ならうまくいく

今回制作にあたって、まずCGで入念にシミュレーションしてみることから始めた。

いままで色々と工作をしてきて、全てうまくいかなかったのは、 「最初の構想が現実離れしすぎ」ということに7年ぐらいやってきてようやく気づいたからだ。
そしてこの入念なCGである。
そしてこの入念なCGである。
これを物理シミュレーション。 まともに動作するかどうか事前にチェックできる。
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よし。ちゃんと動く。ちゃんと動くが、実は問題もある。 このCGの世界では重力がないのだ。
重力があるとこんなことになる。
重力があるとこんなことになる。
それ以前にそれぞれの部品は一体どうくっつけるのかも難しい。 なにも考えずルーターに円柱をぶっ刺しているが、出来るわけない。うーん。

とはいえ机上の空論で悩んでいても仕方ないので、とりあえず作りながら考えていくことにしよう(結局そうなる)。

ちょうどいい部品があればうまくいく

CGイメージを元に実際に組み立てていくとしても、 まず立ちはだかる壁は、ちょうどいい部品が見つかるかどうかである。

都合いい形にいくらでも部品を製造可能なCGと違って、現実は好きな形に部品を生み出すことは出来ない。故にちょうどいい部品を見つけることが出来るかどうかが かなり重要だ。
ルーターの先にぴったりはまるギアが家にあった。チョードイイ!
ルーターの先にぴったりはまるギアが家にあった。チョードイイ!
回されるギアと土台も合うのがあった。チョードイイ!
回されるギアと土台も合うのがあった。チョードイイ!
チョードイイってむかし流行ってたような気がしたからなんとなく使ってみたが、使い方が間違ってるとか、そもそも別に流行ってなかったとかだったらすいません。

そんなことより、問題なのはルーターとギア等を搭載した可動部分をどう繋げるか、である。これもまたちょうどいい部品を見つけることが出来た。
丸い物に固定できる。
丸い物に固定できる。
「しっかり固定する」というのはとても大事であることも学んできた。 ロクに固定しないばっかりに、スイッチを入れた瞬間にブッ飛んでいく工作をいままで何度作ったことか。
ほぼ完成形。
ほぼ完成形。
その他細々とした微調整やらがあるも、形としてはこれで出来たも同然だ。 動作させても、最初のGIFのようにちゃんと動く。
その後いろいろあって最終的にこうなりました。赤いのはネジ止め用のホットボンド。
その後いろいろあって最終的にこうなりました。赤いのはネジ止め用のホットボンド。
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絵はうまくなるのか

この高速塗りマシーンを用いると絵はうまくなるのか。 やはりそのあたりが気になる。
検証用立方体。
検証用立方体。
この立方体を面を手描きとマシンで塗ってみて比較しよう。
手描き:2分18秒
手描き:2分18秒
マシン:1分22秒
マシン:1分22秒
うん、うまくなってない。 うまくなってないが、元々が下手なのでそれほど下手になってもいない。 むしろ少し味が出ていいような気がする。下手でよかったー。
ペンタブレットにも応用可能。
ペンタブレットにも応用可能。
なにかイヤなことでもあったのだろうか。
なにかイヤなことでもあったのだろうか。
すごいストレス貯まった人が描いたみたいになった。 色が赤いのもそうだけど、ソフトの機能だけでは描けない殺伐さ。 カーソルの動きに描画が追いついてない。

掃除にも使えそう

高速塗りマシンの動き、 高速で往復する動きならなんでも応用が効きそうだ。

たとえば松井棒(女優の松居一代さんが考案した掃除道具の一種)を付けてみたら、 すごい効果を発揮するのではないか。
松井マシン。
松井マシン。
小麦粉が埃代わりです。
小麦粉が埃代わりです。
むしろ散らかった。
むしろ散らかった。

わさび醤油を速くとけるか

高速で往復する動きを応用すると、わさび醤油のわさびを速くとけるかもしれない。

いやそんな速くとく必要性はまったくないけど、思いついたものは試してみたいのが人情です。
わさびは100%とく派です。
わさびは100%とく派です。
とかないと、ただ醤油に入ったわさびじゃないですか。
予想してたので被害は最小限。
予想してたので被害は最小限。
いやもうその予想がついてた時点でやめとくべきでした。

疲れはしない!

手描きに代わって塗れたかどうかは置いといて、 とにかく疲れることはない!と断言したい。

「元気があればなんでも出来る」とアントニオ猪木氏が言っていたように、 つまり疲れなければなんでも可能というわけで、塗ることよりも重要なことである。
疲れはしないが塗れてもいない。
疲れはしないが塗れてもいない。
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