特集 2013年6月15日

衝撃的に美味しいもやしは銘水から作られる

キャプション!
GWに久米島に行ってきました。そこでものすごく美味しいそばともやしに魅せられてしまいました

DEEokinawa miooon
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久米島

みなさんは沖縄本島から西に約100kmに位置する久米島(くめじま)をご存知でしょうか?
那覇から船で4時間、飛行機なら30分ほどで到着する島です。

久米島は沖縄県で5番目に大きい島だけあって、見どころはたくさんあります。

琉球松とか
琉球二大松のひとつです
琉球二大松のひとつです
お化け坂とか
下り坂に見えますが上り坂です
下り坂に見えますが上り坂です
40年ぐらい前まで中学生が竹馬で通学していた奥武島とか。
一人歩いてますが
一人歩いてますが
海の中の陸橋とか。
浅瀬なので橋の下に船が通れる水路がつくられているそうです
浅瀬なので橋の下に船が通れる水路がつくられているそうです
それぞれに掘り下げていけば面白いのですが今回は名所ではなく、知られざる久米島の美食品「もやし」のお話です。
もやしと侮るなかれ。久米島のもやしは美味しすぎるのです。

私がもやしに出会った日

久米島に「やん小~」というそば屋さんがあります。久米島をよく知る人から美味しいと教えてもらって行ってきたのですが、話どおりめちゃくちゃ美味しかったのです。
やん小~は沖縄古民家を利用したお店
やん小~は沖縄古民家を利用したお店
私が頼んだのは味噌もやしそば。
素材をすべて久米島産にこだわった一品だそうです。
旨味たっぷりの白味噌スープにモチモチの麺。 これだけでも美味いのですが、もやしなのです。
旨味たっぷりの白味噌スープにモチモチの麺。 これだけでも美味いのですが、もやしなのです。
横から見ても大量のもやし
横から見ても大量のもやし
もやしの美味しさにビックリなのです。
みなさんはもやしを食べて驚いたことはありますか?
私はやん小~のもやしを一口食べて驚いてしまったのです。
ツルツルで甘くて、どれだけスープに浸けてもシャキシャキなまま。

美味しい美味しいと食べる私たちに、店長の仲宗根さんが来て「惣慶(そけい)もやし」 を使っているということを教えてくれました。
惣慶もやし?
名前を聞いたことがないのは当然です。惣慶もやしは久米島だけに出回る久米島だけに出回る久米島産のもやし なのです。
そしてもうひとつ教えてくれたのが「惣慶もやしは惣慶さんという夫婦が2人で作っている」ということ。

もやしで感銘を受けてしまったことにも自分の中で衝撃でしたが、そのもやしの名前が地域名でも商品名でもなく名字だとは。
それまでの私は、もやしはただのもやしだと思ってたのです。
惣慶さんが作った惣慶もやし。なんだか名前だけで、もやしの本気度を知ってしまった気がしました。

惣慶もやしを作る惣慶さんに会いに行く

すっかりもやしに魅了された私は惣慶さんに会いに行くことにしました。
突然の取材依頼に惣慶さんからすると迷惑だったのかもしれませんが、快く引き受けてくださいました。

惣慶さんのご自宅と工場は久米島で最も高所に位置する集落「上阿嘉」にあります。
こちらがもやしの神様こと惣慶さん
こちらがもやしの神様こと惣慶さん
挨拶もそこそこに、ふと庭の一角を見ると。
え?
え?
シャー
ワニ!
ワニ!
ワニがいるんですけど!

惣慶さんのお話ではもともとの飼い主は別にいるそうですが、知らない人に威嚇をしてしまうのでまわりまわって惣慶さんのところで飼うことになったそうです。種類はアフリカアリゲーターで最大6メートルにもなるとか。
名前もあり「クンタ」くんというそうです。こう見えて愛らしい一面もあり、いつもは名前を呼ぶと近づいてくるとか。
私にはずっとシャーシャー言ってましたが。

「ま、とりあえず縁側にでも座っておいてよ」と惣慶さん。

いったんご自宅へ入られましたが、そうそう言い忘れていたとばかりに振り向いてこう付け足しました。
「縁側の後ろにはハブを飼っているからね」

ちゃんと出ないようにはされているらしいですが、縁側の後ろにハブがいます。
ハブは沖縄に生息する猛毒のヘビ
ハブは沖縄に生息する猛毒のヘビ
初めての場所だからという緊張とは全然違うタイプの緊張感が私を襲います。
こんなにくつろげない縁側をわたしは知りません
こんなにくつろげない縁側をわたしは知りません

惣慶もやしは久米島銘水でできていた

では話でもしましょうか、と惣慶さんが持ってきてくれたのがこのお水。
!
久米島の湧き水から作られたミネラルウォーター「久米島銘水」です。
沖縄に来た当初、私はこの水を飲んでその口当たりの柔らかさに、すごく感動したことを覚えています。
「あ、この水好きなんです!マロマロしていて美味しいですよねー」と何気に言った私に惣慶さんはこう言いました。

「うちのもやしはこの水で作っているんだよ」
!
なんですと!?

詳しく伺うとこういうことでした。
・惣慶さんの奥さんと久米島銘水の社長さんの奥さんが姉妹
・もやし工場の横にお水の工場があり、水をまわしてもらっている

惣慶さんは言います
「もやしの美味しさは水に尽きるよ。水で決まる!」
!
調べてみるともやしの90%は水からできています。
つまり美味しい水で育てたもやしは美味しいに決まっているのです。

先ほども書きましたが上阿嘉集落は久米島で最も高所に位置する集落。上阿嘉より上には工場はもちろん畑もないそうです。
つまり、混じりっけなしの本来の自然水が上阿嘉集落で湧き水となって流れ出すのです。
ここでミネラルウォーターが作られることも、そしてその水でもやしが作られることも、自然がそのままの姿であるからこそできることなのです。

惣慶さんがもやしを作り出したのは30年ほど前。
もともともやし作りのノウハウがあった惣慶さんが、奥様の実家の上阿嘉の水に感動したことから、ここの水でもやしを作ってみようと閃いたそうです。

1からすべて手作り、自然水を使って無農薬で作られる惣慶もやし
惣慶さんは味にも品質にも自信を持っている、と胸を張ります。

もやしは光に当てると発芽してしまうため工場内は見ることはできませんでしたが、ここで作られたもやしは、飲食店をはじめ、給食センターやスーパーなど久米島内の多くの場所に卸しているそうです。
またもやしの美味しさに感動した島外・県外の人から問い合わせも多いそうですが、ご夫婦で作られているのでまだ島外へ出荷出来るまでの体制は整っていないそうです。

上阿嘉集落はミネラルウォーターが蛇口から出る

元々湧き水が出ていたという集落の井戸を見せてもらいました。今は井戸は閉じられて、小屋が建っています。
!
この小屋は上阿嘉集落の各家庭の汲み上げポンプが入っているそうです。ポンプで汲み上げた湧き水は管を通って家庭に引かれているのだとか。上阿嘉の人にとって水といえば湧き水。上水道も通っているそうですが、飲むのはこの水がいいそうです。
「昔から阿嘉美人という言葉があるわけよ。色も白くて肌もツルツルで。きっとこの水を飲んでいるからだよ。おじーもおばーもきれいだよ。」 そう惣慶さんは笑います。

もう1ヶ所案内してもらったのが水道場。
!
一見何の変哲もなさそうですが。案内板を読んでみると。
スーパーで売られている水の原水です。電気料として100円入れてね。by阿嘉食品」
惣慶さんの親戚の阿嘉食品さんが管理しているミネラルウォーターの原水が出る水道場だったのです
惣慶さんの親戚の阿嘉食品さんが管理しているミネラルウォーターの原水が出る水道場だったのです
ほら、水出して手を洗ってみたらいいよ。
ミネラルウォーターで手を洗うってどんな贅沢!
ミネラルウォーターで手を洗うってどんな贅沢!
言われるままに水で手を洗ってみます。
何度も「もっとじゃんじゃん水を出して良いよ」と言われながら
何度も「もっとじゃんじゃん水を出して良いよ」と言われながら
もちろん飲めます
もちろん飲めます
もちろん美味しい!
もちろん美味しい!
贅沢代も入れました。
!
ちなみにさすがに洗車にダメ。
そりゃそうだ
そりゃそうだ

お土産はもやしだ

すっかり魅了された惣慶もやし。
お土産に惣慶もやしを買って帰ることにしました。

しかしひとつ忘れてはいけないのは、島外から来た私には感動の味ですが、久米島で育った人にとっては給食にも出るし、家で食べるのも当たり前に惣慶もやしなのです。
つまりスーパーでも特別扱いはされていません
つまりスーパーでも特別扱いはされていません
透明な袋に入れられた「もやし」大126円
久米島でもやしを作っているのは惣慶さんだけなので、久米島産=惣慶もやしです
久米島でもやしを作っているのは惣慶さんだけなので、久米島産=惣慶もやしです
この島の人は気付かないだろう贅沢さが、なんだか羨ましくて少し切なくなりました。

そのまま食べても美味しいとやん小~の仲宗根さんがおっしゃっていたので、お土産のつもりが帰りの船で袋を開けてしまうわたし。
やっぱり美味しい! (本来は水洗いしてから食べた方が良いらしいです) 
やっぱり美味しい! (本来は水洗いしてから食べた方が良いらしいです) 
島でしか味わえない惣慶もやし。こんなにもやしに恋する日が来るなんて。
久米島にまた食べに行かなきゃ!!と思うばかりです。

ということで、長々もやしの話をしましたが、所詮もやしじゃないのか?と半信半疑な人はまずは久米島に行って「やん小~」でもやしそばを食べてみることをお勧めします。
そばの美味しさと惣慶もやし。二度驚きますよ!

やん小~

住所 久米島町字仲泊509
休み 水曜日
営業時間 12:00~15:00
ラストオーダー14:30
※やん小~さんは年に一度の離島フェアに来るそうなので、そのときが唯一沖縄本島で味わえるチャンスです。
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