特集 2013年11月21日

街にある案内地図の擦りきれた場所に行く

何があるか気になる!
何があるか気になる!
駅前や道路沿いにある地図の案内板。

みんなが「ここに行こう」と指でさしすぎて、そこだけ汚れていたり、塗料がはげていたりすることがある。

そこはきっと、迷いながらも多くの人が目的とする場所なわけで、つまりはその土地の人気スポットに違いない。

実際何があるのか見に行く事にした。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:ウィンナーで操り人形をやると見事な酔っ払いになる

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上野駅からスタート
上野駅からスタート
場所はどこからでも良かったのだけど、馴染みのある上野の駅前からスタートすることにした。また、移動距離が広そうなので自転車で巡ることにする。

本日最初の地図

最初に見つけた案内地図
最初に見つけた案内地図
擦り切れていたのは現在地だけ。ハズレだ
擦り切れていたのは現在地だけ。ハズレだ
JR上野の線路下にあった地図は、全体的に薄汚れていて落書きもされていた。しかし、現在地以外は擦り切れていない。企画的にはハズレである。

汚い地図はなかなか無いのです

でも実はこれは想定内。この企画を思いついてから街の地図をたまにチェックしてたのだけど、意外とキレイなものばかりなのだ。だから、擦り切れた部分がある地図があったらアタリくらいの気持ちで今日は周る。
京成上野駅前には二箇所地図があった
京成上野駅前には二箇所地図があった
しかしどちらも全体的に綺麗。ハズレである
しかしどちらも全体的に綺麗。ハズレである
もし一つも擦り切れてる地図が見つからなかったばあい企画はボツだ。ある意味ドキドキしながら街の地図を探した。
交番にあった地図はどうだ
交番にあった地図はどうだ
早くも4つめの地図。交番の前にあった地図は、ホテルやバス停や見所なんかがピックアップされていて、ボタンを押せばそこが光るというもの。

美術館や動物園より旧岩崎邸が人気

地図上ではないけれど、これでも皆が行きたがった場所が分かるのでアタリとしよう
地図上ではないけれど、これでも皆が行きたがった場所が分かるのでアタリとしよう
ボタンの擦り切れ具合でどこがよく押されているかが分かった。京成上野の駅前からみんなが行きたい場所は、上野の美術館や動物園をおさえ、旧岩崎邸庭園なのだった。よし行ってみよう。

1つ目のアタリは旧岩崎邸庭園

旧岩崎邸は少し分かりづらい場所にあるのだ
旧岩崎邸は少し分かりづらい場所にあるのだ
旧岩崎邸は駅からそんなには遠くはない。しかしちょっと分かりにくい場所にあるので、地図を確認したくなる気持ちは分かる。私も途中でもう一回街の地図を確認した。
上野のディズニーランド(と言ったらどちらにも怒られそう)
上野のディズニーランド(と言ったらどちらにも怒られそう)
ここは三菱財閥岩崎家の茅町本邸だった建物とその庭園を公園として整備したところ、である。木々に囲まれた場所に洋館が立つ姿は普段あまり見かけないので不思議な気持ちになった。

ディズニーランドってこういう感じだったかなと、どちらからも怒られそうな感想を持ちながら館内や庭園を眺めた。

当たり前だけどディズニーとは全然違って落ち着いた雰囲気でした。ちなみに館内撮影NG。

2つ目のアタリは御徒町近く

一箇所すりきれてるぞ!
一箇所すりきれてるぞ!
旧岩崎邸を後にして、信号の青い方に適当に自転車を走らせると、御徒町の近くで1か所擦り切れてる地図を発見!公園の前に何があるのか?テンションが上がる。
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古いビルの前

なんにもない
なんにもない
実際に行って見ると、シャッターの下りたビルであった。隣にはディスカウントショップがあったが、位置的にはやはり手前のビルの自販機の辺りをさしていたと思う。

後で調べてみると、ビルに入っている会社はハンコ屋さん。御徒町で迷う人はハンコを求めに来ている人が多いのだろうか?もしくは自販機のジュースが100円で安いから?
いちおう記念撮影
いちおう記念撮影
さきほど訪れた旧岩崎邸と違って、特になにも無くてさみしい。それに何もない場所で撮影をしていると怪しい。

すぐ近くにある御徒町名物の紫色のディスカウントストア「多慶屋」の交通整理の人がチラチラとこちらに視線を向けていた。何を撮っているのか不思議なのだろう。私もこんな場所で記念撮影するとは思っていなかった。
御徒町といえば紫のビル「多慶屋」に向かう人が多そうだ。でも目立つから地図を見なくても分かるかも
御徒町といえば紫のビル「多慶屋」に向かう人が多そうだ。でも目立つから地図を見なくても分かるかも
てっきり地図の擦り切れた部分には何かしら見所があるもの、と思っていたけど何もないパターンもあったのか。確かに観光目的で地図を確認するとは限らない。会社訪問で迷う事とか多いもんな。

小さい通りには地図がないので大通りに戻り、また適当に自転車をこいだ。
こういう、お店を細かく書いている地図もけっこうあってジックリ見ると意外と面白い。でもこれも特に擦り切れてるところはない
こういう、お店を細かく書いている地図もけっこうあってジックリ見ると意外と面白い。でもこれも特に擦り切れてるところはない

街には綺麗な地図ばっかりだ!

その後、秋葉原を通り、神田、大手町を通る。ところどころで地図を発見するものの、アタリを引くことができない。それに、たまたまかもしれないけれど上野から遠ざかるほど地図を見かけなくなってきた。歩いている人の交通量の差なのだろうか。
流れ流れて東京駅についてしまった
流れ流れて東京駅についてしまった
ここに来るまでに、実際に地図に指をさしている人を数人見かけるも、地図は非常に綺麗。綺麗なのはいいことだけど、こちらとしては面白くないぞ。
地図に触れている人はいるのにな
地図に触れている人はいるのにな
最近の案内地図は傷つきにくそうなコーティング。昔より汚れにくくなっているのだ
最近の案内地図は傷つきにくそうなコーティング。昔より汚れにくくなっているのだ

3つめのアタリは日本橋で見つかった

12時から始めたのにもう16時近い。このままJR山手線をたどるようにしていたら帰れなくなりそうなので、方向を変えて日本橋方面へ行くと、ようやくアタリを見つけることができた。
汚れていたのは大きい通りの交差点。みんなの目的は「ヤン・ヨーステン記念像」だろうか?聞いた事ないけど…
汚れていたのは大きい通りの交差点。みんなの目的は「ヤン・ヨーステン記念像」だろうか?聞いた事ないけど…
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ヤン・ヨーステン記念像

地味な場所だ。だけど何かあるだけで嬉しい
地味な場所だ。だけど何かあるだけで嬉しい
大通りを渡る信号の途中に、恐らくはみんながここを目指したのであろうヤン・ヨーステン記念像があった。
オランダの航海士、朱印船貿易家ヤン・ヨーステン。この企画が無ければ知ることは無かっただろうな
オランダの航海士、朱印船貿易家ヤン・ヨーステン。この企画が無ければ知ることは無かっただろうな
ヤン・ヨーステン→やようす→八重洲 地名の由来になった人でした!
ヤン・ヨーステン→やようす→八重洲 地名の由来になった人でした!
イギリス人航海士のウィリアム・アダムス(こっちは聞いた事ある)と一緒に日本に来て、そのあと八重洲あたりに住んでいたそうだ。

こんな像があるくらいだから偉い人なんだろうけど、これを見にわざわざ立ち止まる人はいない。それでも大きな交差点だから、基点地として地図に指をさす人が多かったのかもしれない。
真下で写真を撮っていたらちょうど16時の鐘が鳴ってビクっとなった
真下で写真を撮っていたらちょうど16時の鐘が鳴ってビクっとなった
その後また地図を探して自転車をこぐ。あいかわらずなかなか擦り切れた地図はない。
地図が擦り切れなくなったもう1つの理由はスマホにあり
地図が擦り切れなくなったもう1つの理由はスマホにあり
スマホをいじりながら「どこだろうね~」と話しているカップルがいた。目の前に案内地図があるのに!確かにいまの時代はスマホの方が便利だけどさ。
この日見つけた一番小さな地図。情報少ないけどなんだかオシャレ。そしてもちろん綺麗
この日見つけた一番小さな地図。情報少ないけどなんだかオシャレ。そしてもちろん綺麗
橋を渡って江東区に突入。日が暮れ始めた
橋を渡って江東区に突入。日が暮れ始めた
今日は台東区から始まり、千代田区、中央区と来てついに江東区に入った。これだけ移動しているのに、ここまでアタリが出ないとは。難易度が高い遊びだ。
お、この古そうな地図はもしかしてあるんじゃないか?!
お、この古そうな地図はもしかしてあるんじゃないか?!

今日一番の傷がついた地図発見!

清澄庭園の近くで見つけた地図は、まだ綺麗なコーティングがされていない、昔からずっとあるような地図だった。
擦り切れというか、陥没。最後のアタリは川沿いのようだ
擦り切れというか、陥没。最後のアタリは川沿いのようだ
よーく見るまでもなく、一箇所明らかに傷がついているところがあった。暗くなり始めてきたし、今日のラストチャンスである。ああ、何か面白いものがありますように…!!

なんせ5時間も自転車をこいでいるのだ。
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フ…またしても何も無いパターンか…。と思いきや
フ…またしても何も無いパターンか…。と思いきや
正面にライトアップされた橋が
正面にライトアップされた橋が
左にはピンク色にライトアップされた橋
左にはピンク色にライトアップされた橋
右には白くライトアップ!
右には白くライトアップ!

3つの橋が同時に見えるスポットだった!

何も無いかもしれないぞ、と期待半分に抑えながら川沿いを歩いてみると、思わず笑顔が出る光景にあたった。

壁を背にして3方向に橋が見えるのである。しかもどれも形がバラバラで、ライトアップの色もバラバラ。橋には詳しくはないけれど、それは見ごたえがある光景だ。

写真画質が悪いのがとても悔しい。
あの地図の傷は橋マニア達がつけたに違いない
あの地図の傷は橋マニア達がつけたに違いない
全貌(クリックすると少し大きい写真になります)
全貌(クリックすると少し大きい写真になります)

終わりよければ全て良し

撮った写真の画質が微妙だけれど、生で見た三つの橋のライトアップはとても綺麗だった。浅草に向かう水上バスが時折通り、それもまた素敵だ。

結局今日周ったのは、旧岩崎邸→古いビルの前→ヤン・ヨーステン記念像→同時に橋が3つ見える場所。最初の想定と違って、擦り切れた場所はどれも渋かった。でも最後はこんなに素敵な夜景スポット。

綺麗な案内地図もいいけれど、古い地図もまたこういうドラマを見せてくれることがわかり、結果的に満足な旅だった。
このあと帰りに2回道に迷った。今日あれだけ地図見たのに!
このあと帰りに2回道に迷った。今日あれだけ地図見たのに!

アタリは1時間に1箇所あるくらい

この日は20数個の地図を見て、4箇所行くことができた。うち、1箇所は何もない場所。なんと効率の悪い遊びだろうか。

それでもやっぱり擦り切れた部分のある地図を見つけた時の嬉しさや、その先に何があるんだろう?というドキドキ感は楽しかった。もし道を歩いてて、擦り切れた地図を見たらそれは「アタリ」なので、時間があれば見に行ってみると面白いかもしれませんよ。
夜景が綺麗に撮れるカメラが欲しくなりました
夜景が綺麗に撮れるカメラが欲しくなりました
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