特集 2014年1月7日

元旦、近所のローカル神社をハシゴした

身近なローカル神社の、元旦の装いを見てみたい
身近なローカル神社の、元旦の装いを見てみたい
そういえば、初詣に行ったことがない。

あ、いや、私は古いモノが好きなので、神社やお寺には割と行っている方だと思う。しかし、初詣という目的のもと、正月に社寺へ出向いたことはない気がするのだ。

初詣というと、明治神宮や鶴岡八幡宮といった、大きな神社へ行くイメージがある。私の住んでいる神奈川県綾瀬市の近郊でいえば、相模国の一ノ宮である寒川神社だ。

しかし、それらの大きな神社は、物凄い数の参拝客でごった返すというイメージもある。私は人ごみが苦手なので、これまで正月の時期は参拝を敬遠していた。

それならば、普段はほとんど人がいないような、ローカル神社はどうだろう。元旦であっても、さほどの人出はなく、快適な初詣を楽しめるのではないだろうか。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

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社務所もないような、小さな神社の元旦

というワケで、元旦の朝、近所の神社へ行ってみる事にした。落合稲箸社(通称落合神社)という、周囲をちょっとした林によって囲われた、閑静なたたずまいの神社である。

いつもはほとんどひと気がなく、散歩中のおじいちゃんが時折お参りにくるような、清々しいまでにローカルな神社である。
普段の落合神社は、この通りがらんどう
普段の落合神社は、この通りがらんどう
宮司さんなどおらず、社務所もない小さな神社ではあるものの、さすがに元旦くらいは人が集まりそうなものである。だが、しかし……
元旦の朝、参道に人の姿はない
元旦の朝、参道に人の姿はない
境内も人っ子ひとりおらず、静かなものだ
境内も人っ子ひとりおらず、静かなものだ
あ、でも、奉納品が置かれている!
あ、でも、奉納品が置かれている!
ちょうちんや松飾りなど、正月らしい装いである
ちょうちんや松飾りなど、正月らしい装いである
境内に誰もいないのには少々面食らったが、だがしかし、その入口にはちょうちんが吊るされていたり、拝殿もまた神社幕で飾られていたりと、きちんと正月仕様で安心した。

しかも、拝殿の前にはしめ縄などの奉納品が置かれ、既にそれなりの参拝客が訪れている事がうかがえる。
電灯がつきっぱなしなのを見るに、参拝客は夜のうちに来たようだ
電灯がつきっぱなしなのを見るに、参拝客は夜のうちに来たようだ
とりあえず、私もお参りを済ませ、「祝! 初の初詣!」と喜んでいると、その後からぽつり、ぽつりと参拝客がやってきた。
犬の散歩がてら、初詣をするおじいちゃん
犬の散歩がてら、初詣をするおじいちゃん
こちらは家族づれでお参り
こちらは家族づれでお参り
意外と若い人の姿も多かった
意外と若い人の姿も多かった
どうやら、人がいなかったのは単に時間が早すぎただけらしく、一度人がやってくると、それからは常に一組くらいは参拝客が境内にいるくらいに繁盛していた。

このような超ローカル神社であっても、初詣客はいるものなのだ。まさに「地元の人々によって守られてきた社」といった感じで、なかなかに感慨深かった。

寺院と神社、初詣客が多いのはどっち?

お次は、これまた近所にあるローカル神社、熊野神社へ行ってみる事にした。

熊野神社の近くには、蓮光寺というお寺が存在する。初詣というと、やはり神社というイメージが強いものの、初詣スポットとして著名な川崎大師や成田山新勝寺は仏教寺院である。

お寺へ初詣に行くというのもなんら不自然な事ではないが、寺院と神社が近隣にある場合、さてはて、初詣客が多いのはどっちだろう。
初詣客らしき人々が寺院の門前を通るが……
初詣客らしき人々が寺院の門前を通るが……
結論をいうと、初詣の客数はやはり神社の方が上であった。

蓮光寺は熊野神社の手前に位置しているのだが、初詣客と思わしき人々は、蓮光寺の門前をスルーして熊野神社へと向かっていく。

とはいえ、お寺に入る人もおり、決してガラガラというワケではない。
お寺もそこそこの参拝客で賑わっていた
お寺もそこそこの参拝客で賑わっていた
どうやら、墓参りのついでにお参りをしていく人が多いようだ
どうやら、墓参りのついでにお参りをしていく人が多いようだ
正月要素は、本堂の松飾りとみかんくらいであるが
正月要素は、本堂の松飾りとみかんくらいであるが
お参りをしたら「おみかん、どうぞ」と勧められたので一ついただいた
お参りをしたら「おみかん、どうぞ」と勧められたので一ついただいた
みかんはとても甘く熟しており、元旦なのにも関わらずなにも食べていなかった私のすきっ腹によく沁みた。なんとなく、今年は良い事がありそうである。

さて、蓮光寺の後は熊野神社である。道行く人の数を見るに、かなり賑わっていそうな気配がするが……実際は、その予想を上回るほどの人出であった。
参道からして、人の姿が多い
参道からして、人の姿が多い
そして、なんと拝殿には順番待ちの行列ができていた
そして、なんと拝殿には順番待ちの行列ができていた
「えーっ! この神社って、元旦はこんなにも賑わうようなところだったの?!」……という印象である。

拝殿の前には行列ができ、その傍らには仮設の売店が設けられ、神社のハッピを着た人々がお守りを売っていた。

社殿から少し離れたところでは、暖を取るためのたき火が焚かれ、パチパチと薪のはぜる音が心地良い。

普段の閑散とした雰囲気からは、想像できないくらいの賑わいであった。
だって、普段はこんな感じの、閑散とした神社なのに
だって、普段はこんな感じの、閑散とした神社なのに
元旦には、御神輿蔵も公開されていた。へぇー、立派なものだ
元旦には、御神輿蔵も公開されていた。へぇー、立派なものだ
みんな、鐘を突いてから並ぶ
みんな、鐘を突いてから並ぶ
私もまた鐘を突き、それからお参り行列に並んだ。絶え間なく鐘の音が鳴り響く中、風に煽られたたき火の灰が、雪のように降り注ぐ。

「なんか良いなぁ、こういうの」と思いながら、私は本日三度目のお参りを済ませた。

五社神社は、綾瀬市最大(たぶん)の参拝客数

最後に訪れたのは、私の住んでいるところからはやや離れた、綾瀬市西部に位置する五社神社である。

これまでの神社よりは、少しだけ規模の大きな神社だ。
なんせ、道路に看板が出ているほどである
なんせ、道路に看板が出ているほどである
普段の五社神社はこんな感じ。境内には巨木が茂り、社殿もなかなか立派
普段の五社神社はこんな感じ。境内には巨木が茂り、社殿もなかなか立派
境内はそこそこに広く、ちゃんと社務所もあり、宮司さんもいる五社神社。

その参拝客数は、落合神社や熊野神社よりは多いだろうと思ってはいたが、いざ行ってみると、これが凄まじい人出でぶったまげた。
うぉ、なんだこの長蛇の列
うぉ、なんだこの長蛇の列
いやはや、綾瀬市にあるまじき光景である。おそらく、綾瀬市で一番多く参拝客を集める神社なのではないだろうか。

大きな神社のある地域の人々からは鼻で笑われそうだが、このような行列ができる神社が綾瀬市にあったのかと個人的には驚きを禁じ得ない。

ただ、さすがにこの行列に並んでまで、お参りをしようとは思えなかった。
なので、行列から外れて境内を見て周った
なので、行列から外れて境内を見て周った
売店もこの人だかりである
売店もこの人だかりである
甘酒が振舞われていたので、一杯いただいた
甘酒が振舞われていたので、一杯いただいた
体が温まる、ありがたいサービスである
体が温まる、ありがたいサービスである
ちょっと私には甘すぎたので、お神酒もいただいた。ほんのり、良い気分で五社神社を後にする事ができた
ちょっと私には甘すぎたので、お神酒もいただいた。ほんのり、良い気分で五社神社を後にする事ができた

大きな神社も小さな神社も、元旦はしっかり賑わうものなのだ

というワケで、今回は初めての初詣を身近なローカル神社で済ませてみた。たくさんの人々でごった返す、大きな神社の初詣はさぞ賑やかで良いのだろうが、このような小さな神社でしっとり過ごす初詣もなかなか良いものだ。

正直いうと、ローカル神社の初詣客など、もっと少ないものかと思っていた。しかし実際は想像を遥かに上回る人出であり、身近な神社へ初詣に行く人はしっかりいるものなんだなぁと実感した。

ローカル神社の参拝客は家族連れがほとんどだったのをみるに、元旦には家族で近所の神社にお参りして、その後、友達などと大きな神社へ行くという方も多いのでしょうな。
謹賀新年、今年もよろしくおねがいいたします
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