県営団地の看板は5ヶ国語表記
私は以前、綾瀬市内を流れる比留川というローカル河川をたどる記事を書かせていただいた(参考「
近所のドブ川を源流まで遡る」)。
その際、源流に近い辺りで県営団地を横切ったのだが、そこに立っていた看板を見てびっくりした。
比留川沿いに県営団地の建物が並ぶ
団地のルールが書かれた看板が立っていたのだが……
なんと5ヶ国語表記である(しかもあまり見ない言語ばかりだ!)
上から中国語、タイ語、ベトナム語、ポルトガル語、(たぶん)カンボジア語。事実上の世界共通言語である英語を差し置いてこのラインナップである。
調べてみると、我らが綾瀬市の外国人居住者数は3000人弱(人口比率は約3.3%と、愛川町の5.4%に次ぐ神奈川県2位の外国人率である)。その国籍も41ヶ国と、実にバラエティに富んでいる。
その中でもトップを飾るのがブラジル人だ(約700人)。その次にベトナム人(約350人)、中国人(約250人)、ペルー人(約250人)、タイ人(約250人)と続く。
昔から変わらぬ給水塔が感慨深い
塗装の剥げ具合、錆具合が風情を醸す滑り台
梅の花が咲いていた
実は私は、小学校に入るまでこの団地の近くに住んでいた。その頃(27年前)は外国人を見るとしても厚木基地の米兵ばかりだったので(マッカーサーが降り立った厚木基地は、厚木市ではなく綾瀬市にあるのだ!)、やはり近年になって増加したのだろう。
県営団地に外国人が多く住むようになったのは、やはり家賃が手頃な為か。少なくとも築30年以上。建物は既に古く、エレベータもない。高齢化した日本人が団地から離れ、その穴を埋めるように若い外国人が入るようになったのだ。……たぶん。
近くで見かけた外国人らしき少年のグループ。最近日本に来たのだろうか、辺りを物珍しそうに見回しながら歩いていた
県営団地の周囲にはポルトガル語が乱れ飛ぶ
綾瀬市に最も多い外国人はブラジル人ということもあって、団地の周囲にはポルトガル語の表記が散見される。
いかにも日本の住宅街という感じの町並みに異国情緒を添え、なんとも独特な雰囲気となっている。
団地の隣に建つこちらの工場は――
ブラジル食品を製造する会社のようだ
自動車のカスタムショップには――
funilaria e Pintura(板金とペイント)の文字
団地の近くにあるマンションは――
日本語よりも英語が優先されている
なんとも古めかしいゴミ捨て場もこの通り
日本語・英語が分からない人の為、絵入りで分かりやすく表示
商品を見ているだけで楽しい、ブラジルのフードショップ
県営団地の北側には、ブラジルのフードショップがひっそりとあった。
外からは内部の様子がうかがいにくく、おそるおそるといった感じでの入店であったが、扉を潜ればあら不思議、そこは完全にブラジルといった感じでテンション上がった。
住宅街の中にひっそりたたずむフードショップ
外観から想像するよりも明るい感じで、客も多い
店内の品ぞろえはブラジル。客も店員さんもブラジル。飛び交う言語もポルトガル語オンリー。馴染みの客が来たらハグし合うその光景もまた完全にブラジル。オブリガード。
最初こそアウェイな感じで少々戸惑ったものの、撮影の許可をもらうべく店員のお姉さんにお願いしたら、快く了承してくれて気持ちがほぐれた(もちろん日本語も通じた)。
しかもこの店員さんが非常に明るく気さくであった(私が想像していた通りのブラジル人像だ!)。よく売れているものとか、オススメの品とか、いろいろ教えていただいた。
黒豆。ブラジルの味噌汁的な存在である「フェジョン」の材料だそうだ
乾燥トウモロコシやトウモロコシ粉が勢ぞろい
こちらは乾燥ジャガイモ。どうやらペルーの料理に使うらしい
このお店では肉がよく売れているという。ソーセージもダイナミック
お菓子のばら売りもあり、小学生ぐらいの男の子が買っていた
雑誌の表紙は美人・イケメン・カナリア軍団
店員さんの話によると、確かにこの辺りにはブラジル人が多いが、県営団地にはさほど住んでいないとのこと。車関係の会社で働いている人が多いという。
いくつか商品を買ってみた
輸入品店というのはやはり楽しい物である。行った事がない国ならなおさらだ。
商品のラインナップを見ているだけでわくわくさせられるが、せっかくなのでお菓子を食べてブラジル気分に浸ってみる事にした。
さっそく食べてみよう。ブラジルの風を感じるのだ
日本でもお馴染みになった感のあるインカ・コーラ
ガラナはブラジルでコーラ並みにメジャーな飲み物らしい
少し赤みがかったシャンパンという感じで美しい
インカ・コーラはブラジル人のお客も買っていた人気商品だ。その味は、コーラとラムネのあいのこといった感じ。もっと甘いのかと思っていたが、そうでもなく意外と後味爽やかである。
ガラナ・アンタルチカはその名の通りガラナ飲料。ブラジルの飲み物だが、缶には日本語が書かれていることからも分かる通り、国内で生産されたものである。これもまた、ブラジル人に人気なドリンクのよう。
北海道で飲んだコアップ・ガラナなど他のガラナ飲料よりはガラナの味が強くなく、バラのようなフレーバーである。こちらもまた想像より後味すっきり。
オーツ麦とハチミツのクッキー
ヌガー的なものが入ったチョコレート菓子
オーツ麦のクッキーは少々脆く、帰る最中に少し崩れてしまったが、普通においしかった。ただ、見た目の素朴な印象よりもかなり甘め。ハチミツを使ってるんだから当然といえば当然か。
チョコレート菓子の方も、中のヌガー的なものがかなり甘く、美味ではあるが、お茶かブラックコーヒーが必要な感じである。
最後に登場したるは、ゼラチーナ・コロリーダ
冷蔵スペースに鎮座していた色鮮やかなゼリー。なんでも、ゼラチーナ・コロリーダ(直訳すると「色付きゼリー」)というそうで、ブラジルではメジャーなお菓子らしい。
赤とピンクの色で可愛らしいが、「Gelatina Colorida」で画像検索してみると凄まじい色合いのものがわんさか出てきてびっくりする。
味は甘酸っぱくてフルーティな感じ。あまり食べたことのないフレーバーだが、ひょっとしたらグアバなのかもしれない(店内にはグアバジャムとかグアバ製品が結構あった)。うん、うまい。
こんな身近に地球の裏側があったとは
日本の反対側に位置するブラジル。行ってみたいと思っていても、その遠さ故なかなか行く事が出来ない憧れの地である。行きたい行きたいと願っていたら、いつの間にか向こうからこっちに来ていてくれた。
まぁ、ブラジルタウンというほど規模の大きなものではないが、ポルトガル語の文字や言葉が飛び交っていたり、向こうの庶民の生活が垣間見れる品々を売るお店があったりと、なかなか面白いものである。
県営団地の近くにはタイの食料品店もあった(店内店外ともに写真撮影NGだったので、紹介はできないが)。オススメしてもらったトムヤムラーメンは期待通りのうまさ(そして辛さ)