特集 2014年3月18日

飛び出す概念図ペーパークラフト

実用的ペーパークラフト。
実用的ペーパークラフト。
以前からポップアップカードというのを作ってみたかった。
二つ折りのカードを開いたら中から図柄が立体的に飛び出してくるという、あれだ。
しかし立体的に何を飛び出させればいいのかが分からない。
仕方ないので、実用的なものを立体的に飛び出させてみようと思う。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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作るものに困ったら実用本位で

カードや飛び出す絵本の、あの飛び出す仕組みというのが前から面白そうだなと思っていた。
で、そういう作り方が載っている本を読んでみると、これが本当に楽しい。
飛び出させる技術的な説明がすごい面白い。
飛び出させる技術的な説明がすごい面白い。
読んでると、もうとにかく作ってみたくてしょうがない。
ただ、勢いで作りたくなっているだけなので、具体的に何を飛び出させればいいのかが分からない。
本には基礎的なあれこれが書いてあるが、あくまでも技術的な部分なのでモチーフが四角や三角といった幾何学模様ばかり。どれだけ読み進めても、かわいい動物とかキャラクターが飛び出す気配はない。
こういうときは、まず何も考えずに作ってみる。
こういうときは、まず何も考えずに作ってみる。
初心者なので、まずは本に載っている見本からブレずに作れるものがいい。
あと、どうせなら何か実用的なものが作れたら、記事を読んでる人の役に立つし喜ばれるんじゃないだろうか。
簡単なやつから作ります。
簡単なやつから作ります。
まずは、かなり簡単な飛び出し方で作ってみた。
こんな感じである。
飛び出す円グラフ。
飛び出す円グラフ。
グラフの内容は適当です。
グラフの内容は適当です。
組み立て時間5分で、ちゃんと飛び出すものができた。
しかも、単に円形が立つだけでは役に立たないが、こんな感じでグラフとして立体になると、若干は実用的な匂いがする。
仕事で企画書を作る時に数字的な裏付けとしてグラフをつけることがあるが、それが飛び出したら「おっ、この数字には自信があるんだな」と思ってもらえそうではないか。

飛び出す概念図

ひとまず上手に飛び出すものができたので、この方向で、より実用的な図表作成にとりかかりろう。
パーツの調整が思ったよりも難しい。
パーツの調整が思ったよりも難しい。
さっきの円グラフよりも構造が少し複雑になっただけだが、きちんと立つように展開図を作るのが難しい。
展開図を描いては組み立てて失敗、を2回ほど繰り返して、最終的にできたのがこれだ。
わかりやすい立体的な概念図
わかりやすい立体的な概念図
いわゆる集合の関係を表す「ベン図」の、飛び出すやつである。
中華料理屋において、「餃子」「ライス」「ラーメン」それぞれが関係する範囲を示してみた。
この場合、餃子とライスの重なる部分(紫色)が「餃子定食」であり、餃子とラーメンが重なる部分(緑色)は「ラーメンセット」、3集合の重なる中央部分は「ラーメンライスにランチタイムだけ餃子がついたお得なサービスセット」的なものを表していると考えられる。
実際に3つの円が重なっています。
実際に3つの円が重なっています。
ベン図というのはいくつかの円が重なり合うように描かれるものだが、その重なり部分をより立体的にしてみた。
そのせいで見る角度によっては重なりに多少のガタつきが生じてしまったが、飛び出すインパクトには代えられまい。
さっきとは違う方法で飛び出す。
さっきとは違う方法で飛び出す。
会議用の資料にこの図をつけると、きっといいと思う。

「では、まず資料1を開いてください」
「うむ、飛び出してくるね」
「内容に厚みがある」
「きみ、明日から課長をやりなさい」

これでもう島耕作的な出世が約束されたようなものだ。(島耕作以外に出世のイメージを知りません)

位置エネルギー高い系

飛び出す概念図、最初は作ってる方も探り探りであったが、やってるうちにかなり面白くなってきた。
さらにもう一つ作ってみよう。
今度はまたもうちょっとだけ複雑に。
今度はまたもうちょっとだけ複雑に。
マーケティングで有名な「マズローの欲求5段階説」というのがある。
アメリカの心理学者マズローが提唱した、人間の欲求には食欲・睡眠欲といった生理的欲求から自己実現の欲求までピラミッド状に積み上がる5つの段階がある、という説だ。
マーケティング業界の人たちというのは昔からなぜかこのマズローが好きで、特にいわゆる「意識高い系」の人たちは資料にこの5段階のピラミッドを描きたがる。

じゃあマズローのあれを作ろうかなー、と思っていたのだが、たまたまその時に回転寿司の看板が視界に入った。
もうバレバレか。
もうバレバレか。
スシローの欲求5段階説。
スシローの欲求5段階説。
とにかく寿司が食べたいという生理的な欲求から、回転寿司でも食後にはパフェとかアイスが食べたいという欲求まで、スシローで起こりうる欲求を5段階に分けて説明した概念図である。
ちゃんと飛び出してます。
ちゃんと飛び出してます。
平面上に描かれた図と違って、飛び出している分だけ力学的に言うと位置エネルギーが高い状態にある。「意識高い系」に対して「位置エネルギー高い系」という概念の提案だ。
単に「位置エネルギー高い系」と言いたかっただけなので、気が済んだら畳んで収納する。
単に「位置エネルギー高い系」と言いたかっただけなので、気が済んだら畳んで収納する。
参考までにベン図とスシロー5段階説の展開図を置いておくので、皆さんもこれをベースに飛び出す概念図を活用して欲しい。(どちらもPDF)
作るときはできるだけ厚い紙にプリントすることをお勧めする。

中華料理屋における集合
スシローの欲求5段階説

概念図、ほかにも「できる人間は時間を有効に使う、的なことを説明するプロセスチャート」とか「仕事のモチベーションを高めるためのフローチャート」とか色々と飛び出させていくと楽しいと思う。
でも、本当はこんな感じでかわいい動物が飛び出すやつの方が作りたいので、今後はこっちで頑張りたい。
本当はこういうのが作りたい。
本当はこういうのが作りたい。
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