特集 2014年3月28日

33円の電車賃で遠くを目指す

車費(Fare) 票価2元(2Yuan each) いさぎよすぎる。
車費(Fare) 票価2元(2Yuan each) いさぎよすぎる。
北京の地下鉄はすごい。なんたって、地下鉄の切符は2元なのだから。

1駅隣だろうと、何駅先だろうと、乗り換えようと、2元なのだ。

1元は3月末現在16.5円、2元だと33円。今どき物価上昇の北京で2元じゃ、少量ボトルのコカコーラなどのジュースしか買えない。

すごいよ北京!2元で行けるだけ行ってみようじゃないか!
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

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遠くにいけるけど、立ちっぱなし

超がつくほど安いから、通勤や買い物客でごった返す
超がつくほど安いから、通勤や買い物客でごった返す
北京はオリンピックを経て、路線が一気に増えた。今まではそれ以前は、1号線、2号線、13号線、八通線という路線だけだった。昔から13号線があったのは、東京で大江戸線が13号線と呼ばれていて対抗してたのかなとか思ったり。

オリンピックで一気に4号線~10号線、14号線、15号線、あと中心から地方都市への3路線ができた。

北京地下鉄の特徴としては、山手線のようなループ線が2号線と10号線の2路線ある。2号線は旧市街を囲むので、そんなに一周しても距離はないが、10号線は全長57kmと、山手線の34.5kmよりもずっと長い距離を走っているのだ。

再度いうが、どこから乗ってどこから降りても2元なのだ。

天安門広場から出発します

天安門広場は超でかい
天安門広場は超でかい
記念写真を撮る人多数
記念写真を撮る人多数
天安門広場はものすごく広い。広場の北側のその先に、毛沢東の写真がある天安門があるけれど、南側からは遠すぎて見えない。

広場の北側には「天安門東駅」と「天安門西駅」があって、南側には「前門駅」がある。僕は観光地でもある前門駅から、どこかにスタートすることにしたが…
さてどこに行こうと自販機の前で悩む
さてどこに行こうと自販機の前で悩む
まずは2元払う。行き先は押す必要はなかった
まずは2元払う。行き先は押す必要はなかった
自販機が動いてないときや、札がボロボロのときには窓口で買う。やっぱり2元
自販機が動いてないときや、札がボロボロのときには窓口で買う。やっぱり2元
中国の他の都市は、どこまで行くというボタンを押すけれど、北京は何枚買うか、ということしか聞かれないので、どこにしようか後で悩めるのがいい。

北京の中心、天安門広場前の前門駅で、時間は朝9時ちょうど。

東京で例えるなら、霞ヶ関駅に今いて、東京のことはわからず、さて常磐線とやらに乗るか、小田急線とやらにするか、はたまた京急か京成かと悩む状況だ。

悩んでも解が出るわけでもなく、前門から行きやすい郊外への地下鉄線に乗って終点まで目指してみることにした。

できたばかりの路線だから、昔からの開発されていない原風景が残ってるといいなあと思いつつ。
古い2号線(中のループ線)に乗って、隣の乗換駅へ
古い2号線(中のループ線)に乗って、隣の乗換駅へ
地下鉄車内は謎の広告の紙やら、不思議な桶やら
地下鉄車内は謎の広告の紙やら、不思議な桶やら
さらに新しくできた地下鉄5号線に乗り換えて(ここまでも2元)
さらに新しくできた地下鉄5号線に乗り換えて(ここまでも2元)

豆知識1 罰金はちょっと高い

切符は買うと2元(33円)、紛失すると3元(50円)、改札を強行突破すると20元(330円)になるぞ。無茶しちゃいかん。
謝謝合作!
謝謝合作!
5号線の終点に到着。外のループ線の乗換駅でもある。 さらにここを起点に郊外に進む地下鉄に乗り換える(もちろんここまでも2元)
5号線の終点に到着。外のループ線の乗換駅でもある。 さらにここを起点に郊外に進む地下鉄に乗り換える(もちろんここまでも2元)
はじめて来たから長く感じるけど、ここまでかかった時間は18分
はじめて来たから長く感じるけど、ここまでかかった時間は18分

郊外路線で外見えた!

中国の地下鉄のちょっと残念なところは、どの列車も駅も同じデザインなところ。北京だって、ほかの都市だってそうだ。だからどこにいっても同じに見える。

でもどの都市の地下鉄でも、遠くに行けば線路はトンネルの中から地上に出る。いや、経験的に出てた気がする。

だから遠くに行けば外が見えて少しは面白くなる。この路線も途中から外に出た!

田舎の風景になるかと思ったら違った。ビルが建ちまくってて近未来な感じが広がっていた!スケールが大きなつくばエクスプレスみたいな感じだった!
マンションかビルか、いっぱい建てられてる。下には昔ながらのバイクタクシー
マンションかビルか、いっぱい建てられてる。下には昔ながらのバイクタクシー
駅前はどこの都会かと思うほどビル建築中!
駅前はどこの都会かと思うほどビル建築中!
新横浜っぽい風景だ。廃墟な新横浜になるか、リアル新横浜になるか
新横浜っぽい風景だ。廃墟な新横浜になるか、リアル新横浜になるか

豆知識2 大赤字

どこまでいっても2元なので北京地下鉄は大赤字。路線が伸びれば伸びるほど大赤字。北京の去年の補てん額は約3000億円(180億元)なんだそうだ。
大変だぞ北京!
切符は新線開通に追いついてないからかちょっと前の路線図
切符は新線開通に追いついてないからかちょっと前の路線図
長い乗車の間、みなスマホで暇つぶししてる。暇つぶし方法は万国共通!
長い乗車の間、みなスマホで暇つぶししてる。暇つぶし方法は万国共通!
だんだん空間が多くなる。これからいろいろ作られるのかもしれない
だんだん空間が多くなる。これからいろいろ作られるのかもしれない

そして2元で終点に到着

つくばエクスプレスよろしく、終点近くで再び地下に。終点付近がどんな景色か、出るまで知る由もないということか。

手持ちの2元チケットを自動改札に挿すと、問題なく「謝謝」と表示され、パタンと扉が開く。

各駅間の距離は資料がないのでわからないが、最後の郊外へ向かう路線だけで端から端までで23.3km走った。出発から30kmは移動したと思う。

それで33円とはすばらしい!

で、つくばのような街を期待して外に出てみた。
何もなかった
何もなかった
屋台はあった。人が座っていた。車やバイクタクシーがとまっていた。ここから先から通勤通学しているのか
屋台はあった。人が座っていた。車やバイクタクシーがとまっていた。ここから先から通勤通学しているのか
のどかな郊外の風景も広がっていた。たまらなくいい
のどかな郊外の風景も広がっていた。たまらなくいい

地下鉄に慣れきった人への挑戦状

今回は中心から郊外線の終点まで33円で行ってみたが、ルート次第で、33円で最長90km近くまで移動できるようなのだ。到着したのは9時55分なので、1時間弱でいった。だからこんな旅をやる人は半日がかりで行くつもりで行こう。

日本の大都市に住んでいれば、地下鉄の風景に慣れているけれど、だからこそどこまでも地下鉄に揺られてみると新しい発見があるかもしれない。

そろそろ一律2元のシステムを変えたいという話もある。こんな地下鉄はそうそうないので、早めに行って乗ったほうがいいと思うよ。
何もない駅でも、駅に入ると人がいるのだから不思議だ
何もない駅でも、駅に入ると人がいるのだから不思議だ
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