特集 2014年3月31日

色のついた粉をかけられるマラソン大会

これマラソン大会です。
これマラソン大会です。
カラーランというマラソン大会が日本で初めて行われると聞いてエントリーしてみた。

なんでも走っていると沿道から色のついた粉をかけられるのだという。

言ってることがよくわからないのでとにかく参加してきました。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:庭に滝、納屋にスナック~ボラのおっちゃんのすべて~

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

会場は東京ドイツ村(千葉)

カラーランの会場は東京ドイツ村。東京でもドイツでもなく千葉にあるわけだけれど、そのネタはもうさんざん言われてきたことだと思うので割愛する。はじめてきたけど広くて花がたくさん咲いていていいところでした。
ここがドイツの入り口。
ここがドイツの入り口。
カラーランと呼ばれるこの大会、日本では初開催なのだとか。日本では、ということは海外では盛んなのだろうか。そんな感じの祭りはインドあたりでやっていたような気がするけれど(あとで調べたら世界25ヵ国で開催実績があるのだとか。まじか)。

この大会、エントリー多数とのことで、スタートが時間差で数回にわたって設定されていた。前を行くランナーたちが色の粉をかけられているのが遠くから見える。
遠くに見える黄色いところがたぶん粉スポット。花粉症のイメージ写真みたいだ。
遠くに見える黄色いところがたぶん粉スポット。花粉症のイメージ写真みたいだ。

女子率が異常に高い

まずは大会参加に備えて荷物を預けて着替えをする。

ここで気づいたのだが、この大会、やけに女性の参加者が多いのだ。
多いというか、ほとんど女性だ。
多いというか、ほとんど女性だ。
僕もたまにマラソン大会に参加したり近所を走ったりしているのだけれど、最近女性のランナーが増えたなーとは思っていた。

しかし今回の大会は完全に女性がほとんどなのである。どうなってるんだ。
そういうことは先に言ってほしい。
そういうことは先に言ってほしい。
全身に色の粉を、と聞いて、たぶん参加者の3分の1くらいは全身タイツだろうと思ってやってきたのだ。それがどうした、8割くらいがおしゃれ女性ランナーではないか。全身タイツの人なんて僕くらいしかいない。完全に見誤った。

しかしもう家から2時間かけてここまで来てしまった。走る距離は5キロなので、せいぜい30分くらいの辛抱である。さっと走ってさっと着替えて帰ろう。

と思っていたら甘かった。
スタート地点。どこを見ても女性なのだ。もしくはかっこいいカップル。こんな大会他にはない。
スタート地点。どこを見ても女性なのだ。もしくはかっこいいカップル。こんな大会他にはない。
これ、きっと死ぬ前に思い出すシーンだ。
これ、きっと死ぬ前に思い出すシーンだ。
スタート前には外国人っぽい女性モデルさん(たぶん有名な人)がスタート台からみんなに「いくよー!いいー?」みたいな声がけをして大いに盛り上がっていたのだが、ひとりタイツの僕は(いいから早くスタートしてくれ)と時計ばかり見ていた。

スタートしても苦悩は続く

カラーランがいよいよスタートした。
スタート!!
スタート!!
大会は5キロのコース中、1キロごとに色の粉をかけられるポイントが設置されている。

会場の都合、折り返しが多く、途中で何度か前を行く集団とすれ違う場所があるのだけれど、みんな完全にテンション上がっているのでハイタッチとかしながらすれ違うのだ。

いいなそれ!
こんなにハイタッチしてもらえる大会もないです。
こんなにハイタッチしてもらえる大会もないです。
わーい。
わーい。
おれもおれもお、おれ、も…。
おれもおれもお、おれ、も…。
…。
…。
場に適応することの難しさは年を取るごとに痛感するものである。もしこれを読んでいる若い人は、今のうちにたくさんハイタッチとかしておくといい。僕らくらいになってくるとそういう若かりし時代のいい思い出を燃料に暖をとって暮らすことになるのだから。

ちょっと待て!なんのレポートか。テンション下がっている場合ではない。

まずは1キロ地点、青の粉ポイントが近づいてきた。待ってました!

いよいよ色の粉がかかる

ずっと遠くから青く煙って見えてました。
ずっと遠くから青く煙って見えてました。
ゲートをくぐると両側で待ち構えていたスタッフがボトルに入れた粉を力いっぱい投げかけてくれる。

わかっているとはいえ、粉をかけられると最初驚く。
なにしろかけ方がものすごいのだ。
なにしろかけ方がものすごいのだ。
スタッフの方のかけ方がすごいのだ。粉なのに質量を感じるくらいの勢いでかけてくる。
おかげで通過するだけでこんな感じ。正直僕には粉かけてくれなかったらどうしよう、ってビビッていたので、青くなれてよかった。
おかげで通過するだけでこんな感じ。正直僕には粉かけてくれなかったらどうしよう、ってビビッていたので、青くなれてよかった。
ハイタッチをスルーされた時にはどうしようと思ったものだが、そんな僕にもスタッフのみなさんはちゃんと粉をかけてくれた。この粉、トウモロコシの粉からできていて口に入っても問題ないのだとか。すでにものすごい吸いこんでいるが、無味無臭である。

そしてこの後、僕の人生に転機が訪れる。
急にハイタッチしてもらえるようになったのだ。
急にハイタッチしてもらえるようになったのだ。
色がついていると(こいつ害がないな)と認識するのか、みんなが優しくしてくれるようになった。

すれ違うときにはハイタッチしてくれるし、立ち止まるといろんな人が僕のこと写真撮ってくれるのだ。急に気温が3度くらい上がった気がした。春が来たのだ。
その写真、何に使うんですか。
その写真、何に使うんですか。
みんないい人ばかりだ。
みんないい人ばかりだ。
これでがぜんやる気が出た。次の色ポイントは黄色である。
攻めろ!
攻めろ!
ここでも青同様、浴びるくらいに粉をかけてもらえる。
ここでも青同様、浴びるくらいに粉をかけてもらえる。
靴は一瞬でこんな感じになります。
靴は一瞬でこんな感じになります。
参加するまでは色の粉をかけられることにどんな意味があるのか、と疑っていたのだけれど、これは積極的な応援なんだと気づく。黄色い声援っていうだろう、あれを具現化しちゃったんだきっと。粉をかけられるとうれしいし、もっと浴びたくなって次の関門へと急ぐ。
次は緑。
次は緑。
そしてピンク。もうみんないろんな色が混ざりすぎてわけがわからない。
そしてピンク。もうみんないろんな色が混ざりすぎてわけがわからない。
5キロなので普通に走れば30分もかからないところだが、関門のたびに立ち止まって粉をかけてもらったり、すれ違う人にポーズして写真撮ってもらったりしていたので、なんだかんだ1時間くらいかけてゴールまでたどり着いた。周りの参加者も関門を行ったり来たりして粉を何重にもかけてもらったり、レースとはいえタイムを競うことなく、粉かけ部分を楽しんでいた。
それでも栄光のゴールが近づくとみんな感極まって肩組んだりして走り出すから青春はいい。
それでも栄光のゴールが近づくとみんな感極まって肩組んだりして走り出すから青春はいい。
いいな!
いいな!
!

走り終えても大会は終わらない

無事ゴールすると記念品がもらえる。
水とクレンジングシートがもらえます。そんなマラソン大会も初めて。
水とクレンジングシートがもらえます。そんなマラソン大会も初めて。
みんなこれまでに見たことないような顔色をしてゴールしてくる。それなのに全員が全員、楽しそうなのだ。知らない人が見たら罰ゲームみたいだけどそうじゃない。
結果。
結果。
そして最後に大会中に振りかけられたカラー粉を記念に一箱もらえる。これはいいお土産である。

しかし考えてみてほしい、すでにこれだけ粉かけられてテンション上がっている参加者たちである。さらに色の粉を配ったらどうなるのか。
まあこうなるよね。
まあこうなるよね。
当然だよね。
当然だよね。
しかもアフターパーティーということで、ステージではDJがノリノリの曲(言い方古い)を回していた。もう誰も止められない。
最後は参加者同士その場で粉をかけあう。
最後は参加者同士その場で粉をかけあう。
一般的なマラソン大会は、走り終えた後、みんなしゃがみこんでいたり吐いてたりするものなのだけれど、この大会は終わった後も異常に参加者のテンションが高かった。距離が短いということもあるけれど、それだけじゃないだろう。
この一体感は他の大会ではないでしょう。
この一体感は他の大会ではないでしょう。
はっきり言おう、燃えた。最高だ。

またあったら出たいです

カラーラン、これは世界中で流行るのもうなずける。面白いもの。ひたすらタイムを競うシリアスな大会も好きだけど、こうやってハイタッチしたり選手同士が応援しあったりしながら楽しく走る大会もまたマラソンなんだなあ、と思いました。顔はしばらく色が取れませんでした。
祭りの後。
祭りの後。
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