特集 2014年5月9日

フライトレーダーを見ながら空港で離着陸を眺める

新たな至福の時間(とき)を見つけてしまった
新たな至福の時間(とき)を見つけてしまった
「フライトレーダー24」という、リアルタイムで飛行機の動きを見ることができるサイトがある。

→Flightradar24のリンクはこちら

特に飛行機好き、というほどでもないのだけど、地図の上を小さな飛行機のアイコンがじりじり動いている様子を見ると、飛行機ってこんなにたくさん飛んでいるのか、という驚きもあるし、仕事中でもついつい見入ってしまう。気がついたらブックマークを2つも登録していたほどお気に入りだ。

それなら、空港でフライトレーダーを見ながら、実際に離着陸を眺めたらもっと楽しいのではないか、と思ったのだ。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:「理論上、レール」まで愛でたい

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航空ファンすごい

「フライトレーダー24」は、飛行機が自分の現在位置や速度、高度などを発信する「ADS-B」という信号や、アメリカの航空管制を司っている連邦航空局からのデータを受信して、地図上に配置している。だから、飛行機がいまどこを飛んでいるか、ほぼ正確に表示されるのだ。
Webサイトだけじゃなくアプリもある
Webサイトだけじゃなくアプリもある
調べたところ、実はこのサービスを作ったのは企業ではなく、なんと一般の航空ファンだった。そして、飛行機からの信号を受信してデータを提供しているのも、世界中の航空ファンらしい。

と言うことは、日本の地図上に表示されている飛行機は、日本の航空ファンの誰かが受信してフライトレーダーに情報を送っているのだ。本当にありがとうございます。

自分たちが見たいものをみんなで作る。航空ファンの執念とネットワークすごい。

それで、これを見ながら、空港で実際の飛行機の離着陸を眺めたら楽しいのではないか、と思ったのだ。飛行機の機体には電車みたいに「◯◯行き」みたいな行先表示が出ないから、いま離陸したり着陸した飛行機がどこに行くのか、どこから来たのか知りたい、と前から思っていたのだ。
というわけで羽田空港にやってきた
というわけで羽田空港にやってきた
これを見てもいま飛んだのがどれだか分からない
これを見てもいま飛んだのがどれだか分からない
展望デッキには大勢の人が
展望デッキには大勢の人が

手元の画面と目の前の景色がシンクロする!

羽田空港にやってきた。さっそく展望デッキに行くと、大勢の人が離着陸を眺めていた。でもみんな「あ、787!」とか機種名を言うばかりで、誰も「あ、女満別行き!」などと行先を口に出している人はいない。

さっそくスマートフォンを出し、フライトレーダーを起動。こんなときのために有料版のアプリを買っていたのだ。果たして目の前の飛行機は表示されるのか。
やっぱり空港はかっこいいなー
やっぱり空港はかっこいいなー
ちょうど着陸しようとしている飛行機がいた
ちょうど着陸しようとしている飛行機がいた
この方角から飛んで来ると思うんだけど
この方角から飛んで来ると思うんだけど
ん?あれは...!
ん?あれは...!
来たー!
来たー!
どうやら高松からの便だったようだ。お疲れさま!
どうやら高松からの便だったようだ。お疲れさま!
滑走路が遠かったので着地した瞬間は見られなかったけど、手元のスマートフォンの画面とほぼ同時に本物の飛行機が飛んできたのには興奮した。時間的なズレもほとんどなし。

到着した飛行機は高松から来たのだと分かった。その瞬間、頭の中に讃岐うどんの香りと歯ごたえが浮かんだ。そして、どこから来たのか分かっただけで感じるこの安心感は何だ。

しばらくの間、屋内の展望デッキで眺めていたのだけど、もっと近くで音や匂いを感じたくなって、屋外のデッキに移動した。
ここも大勢の人が
ここも大勢の人が
外に出ると、甲高い飛行機のエンジン音が鳴り響いていて気分が高揚する。意外と排気ガスの匂いもする。

ちょうどテーブル席が空いていたので、試しに持ってきたノートパソコンを開いてみたら、ギリギリ館内のフリーWi-Fiを拾った。これはいい環境だ。
ここで一日のんびりしたい
ここで一日のんびりしたい
日が当たって暖かいし、軽食も売っているヒマな日にのんびり過ごすには最高だろう。

空港の雰囲気を満喫していたら、また着陸する飛行機がやってきた。
このJAL1466便は
このJAL1466便は
松山から飛んできた便で
松山から飛んできた便で
無事に到着!
無事に到着!
今度離陸する便は
今度離陸する便は
まさかの女満別!
まさかの女満別!
あ!女満別行き!(ドヤ顔で)
あ!女満別行き!(ドヤ顔で)

国際線も見たい

1時間くらい興奮したりのんびりしたり、飛行機とパソコンの画面を交互に見ていたけど、なんだか海外の航空会社の便も見たくなってきた。羽田も国際線は出るけどそれほど多くない。

それなら...、成田まで行っちゃう?
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船も気になるぞ

今さらだけど国際線も見たいので成田空港に行こう、と思って席を立ったとき、1機の飛行機が離陸した。青森まで行くその便を見送ったとき、奥の海の上に浮いている巨大な船の姿が目に入った。あの船はなんだろう。
ちょうど離陸する青森行き
ちょうど離陸する青森行き
その奥にいるあの船が気になる
その奥にいるあの船が気になる
船の名前や行き先が気になったら、「ライブ船舶マップ」というサイトがお役立ちだ。

→ライブ船舶マップのリンクはこちら

これは以前に工藤さんが記事にしていたので知った。飛行機に比べてあまり動かないけど、何かの折につけ見てしまう(クイーンエリザベスとか台風が来たときなど)。これであそこに見える船を調べてみる。
位置的にはこれっぽいんだけど...
位置的にはこれっぽいんだけど...
あ!クレーンが4本あるし間違いない!
あ!クレーンが4本あるし間違いない!
その船はおそらくマルタ船籍の貨物船だった。マストのような巨大なクレーンが4本立つ、特徴あるシルエットなので間違いないだろう。

船の情報が分かり、安心して成田空港に向かった。

車窓の建物も気になる

羽田空港からモノレールに乗った。

モノレールが発車し、まわりの景色が動き始めると気になるものがたくさん出てくる。
たとえばこの煙突は何なのかとか
たとえばこの煙突は何なのかとか
こういうとき、だいぶ前に僕が記事にしたけど、グーグルマップを見ながら移動すると車窓の景色が何なのか分かって超楽しい。
さっきの煙突は品川火力発電所
さっきの煙突は品川火力発電所
このかっこいいマンションは
このかっこいいマンションは
...と言うらしい
...と言うらしい
この先にマルエツが...
この先にマルエツが...
あったー!
あったー!
地図を見ればそれが何か分かるのも、地図に乗っているものが車窓に出てくるのも、考えるまでもなく当たり前なんだけどなぜこんなに楽しいのだろう。

さらに、その場でマンションの空室検索や価格の確認なんかもできてしまうのだ。ちなみに件のマンションは、とても僕などが手が出せる価格帯ではありませんでした。

というわけであっという間に浜松町に着いた。

次の電車はどこにいるのか

モノレールから乗り換えて山手線のホームに降りてきたとき、運悪くちょうど電車が出たところだった。
いつもこういうタイミングである
いつもこういうタイミングである
こんなとき次の電車がいつ来るか、電光掲示板を見れば分かるけど、実際その電車がいまどのあたりにいるか知りたい。そんなときはすかさず「鉄道Now」で確認だ。

→鉄道Nowのリンクはこちら

これはグーグルマップの線路上にダイヤ通り列車を走らせてくれるサイト。個々の列車から位置情報を受信しているわけではない(と思う)ので、多少は実際とズレるのだけど、それでもこの地図の上にたくさんの列車が走っているインターフェースは鉄道好きが待ち望んだものだと思う。
次の電車は隣の駅を発車していました
次の電車は隣の駅を発車していました
どこから来たのぞみなのか
どこから来たのぞみなのか
長駆博多からとは!
長駆博多からとは!
通り過ぎて行った新幹線は、はるばる博多から走ってきたのぞみだった。どんたく、明太子...博多への旅情が芽生える(てきとうです)。

さて、ようやく山手線に乗り、上野駅まで移動。ここで乗り換えて、成田空港へ急ぐ。
上野から京成線乗るの初めてかも
上野から京成線乗るの初めてかも
かっこええぇぇ!!
かっこええぇぇ!!
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初スカイライナー!

乗り換えたのは以前から乗ってみたかった新しいスカイライナーである。最高時速160km/hで上野と成田空港をおよそ40分で結ぶ。それにしてもこのデザイン、ここ最近の電車の中では突出してかっこいいと思う。母親に連れられた小さな男の子が、一目見るなり「お母さんこれ乗りたい!!」と叫んでいた。しかし無情にもその親子は隣の普通の特急(?)の方へ。肩を落とした少年の足取りを僕は忘れない。
親子が乗った普通の特急
親子が乗った普通の特急
僕はこのときほど大人になって良かったと感じたことはない。ちょっと成田空港に行こうかな、と思うだけでスカイライナーに乗れてしまうのだ。

それはともかく、列車は成田空港に向けて出発した。
中も超かっこいい
中も超かっこいい
と思ったら窓に水滴が
と思ったら窓に水滴が
上野を出てすぐ、窓に水滴がつきはじめた。雨が降ってきたようだ。このあとの天気はどうなるのだろう。とりあえず「東京アメッシュ」で確認だ。

→東京アメッシュのリンクはこちら

これも以前に使い方の記事を書いたけど、東京都内の降雨状況を素早く確認するには最適のサイトだ。
ちょうど小さな雨雲の下
ちょうど小さな雨雲の下
ちょうどまだらに雨が降っているエリアを走っているようだ。あの雲はこれからどんな動きをするのだろう。この列車は東に向けて走っているので、東に動かないといいのだけど。

そこで、風向きと風の強さを見るために、「東京風速」にアクセスした。

→東京風速のリンクはこちら

東京風速はその名の通り、毎時の東京の風速と風向きを、流れる線で表現した非常に美しいサイト。ここも台風のときなどに見ると驚愕する。
かなり南風が強い
かなり南風が強い
この日はかなり南からの風が強かった。多少降ったり止んだりするかも知れないけど、南に大きな雨雲はないから大丈夫だろう、と考えた(気象素人です)。

しばらく普通の速度で走っていたスカイライナーだけど、時間的に中間地点を過ぎたあたりから急に加速をはじめた。新幹線以外でこの速度はちょっと体験したことないぞ、と思って速度計で調べてみた。
それまでは「ちょっと速い」速度だったのが
それまでは「ちょっと速い」速度だったのが
新幹線以外では体験したことない速度域へ!
新幹線以外では体験したことない速度域へ!
さすがスカイライナー、超速い!と思ったら、最高速区間は一瞬であっという間に成田空港に着いてしまった。

ではさっそく展望デッキに行って離着陸を眺めよう。
成田の展望デッキもすごい人だった
成田の展望デッキもすごい人だった
何とかWi-Fiが入るベンチを確保
何とかWi-Fiが入るベンチを確保
このデルタ機は...
このデルタ機は...
ロスから!
ロスから!
エアタヒチヌイという航空会社は
エアタヒチヌイという航空会社は
この飛行機タヒチに行くのかー
この飛行機タヒチに行くのかー
本気で手を振っている人もいた
本気で手を振っている人もいた
でかいアイコンの飛行機が来た!と思ったら
でかいアイコンの飛行機が来た!と思ったら
でかい飛行機が着陸!
でかい飛行機が着陸!
史上最大の旅客機エアバスA380だ!
史上最大の旅客機エアバスA380だ!
とまあこんな感じで、すごく楽しかった。

でも雨と風が強くなってきたので、ここも1時間ほどで引き上げた。

帰りの電車から外を見ていたら、空に飛行機の姿が見えた。
あの飛行機はなんだろう
あの飛行機はなんだろう
さっそくフライトレーダーを確認すると、台北から飛んできて羽田に降りる便だった。

やっぱりフライトレーダー、楽しい。何がこんなに楽しいのか分からないけど。
成田かと思ったら羽田行きだった
成田かと思ったら羽田行きだった

あのころの未来を満喫

飛行機の離着陸を眺めるだけだったのが、ふと気がついたらデジタルデバイスを駆使していろいろな情報を見ている自分がいた。

何というか、子供のころから「こんなものがあったらいいな」と思っていたものが、いま続々と実用化されてしまっていて、楽しくてしょうがない時期なんだと思う。

時間が経てば飽きるかも知れない、とも思うけど、きっとその頃には新しいサービスができていて、嬉々として使っている気がする。

こういう楽しいサービスを開発している皆さんには心から感謝しています。
でもさすがにバッテリーが持たなかった
でもさすがにバッテリーが持たなかった
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