特集 2014年9月27日

カキは焼いてから冷やすとおいしい

牡蠣ではなく柿です。焼くとおいしいのです。
牡蠣ではなく柿です。焼くとおいしいのです。
江戸時代の料理本に「焼柿」なる料理が出て来るそうです。皮のついた柿を焼いただけの料理です。

ただそれだけの料理なのですが、生のままの柿とは違う食感や風味となりとてもおいしいらしい。

気になるのでやってみました。更に各種果物も焼いてみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

リンゴやバナナは焼くけれど

焼柿の存在を知ったのは、「大江戸料理帖」という料理本から。
こちらは2006年に増補改訂されたもの。元の本は1999年に出版。料理本というより読み物といった感じ。
こちらは2006年に増補改訂されたもの。元の本は1999年に出版。料理本というより読み物といった感じ。
江戸時代の料理本に出てくる各種料理を、著者のプロの料理人が再現、紹介している本です。
著者曰く、どの料理本に出ていたかは忘れてしまったが、焼くだけのシンプルさにビックリしたとのこと。確かに。
著者曰く、どの料理本に出ていたかは忘れてしまったが、焼くだけのシンプルさにビックリしたとのこと。確かに。
江戸時代の料理本は記載内容が簡単で、写真などもちろん無いので再現が非常に難しい。そこで、本では料理人としての各種考察を入れて料理が再現されています。現代風のアレンジもあり、読んでいて楽しい料理本です。

この中に秋の膳として紹介されているのが焼柿。皮付きの柿を炭火やガスコンロなどで焼き目がつくまで炙れば出来上がり。それでいいのかという簡単さです。
まだ少し青いところがある硬い柿を選びました。
まだ少し青いところがある硬い柿を選びました。
とにかく本の解説を元に一度作ってみます。まずは柿を用意します。切り分けてヘタの部分を切り落とします。
どのぐらいの火加減か分からないので、中火程度にしてみた。
どのぐらいの火加減か分からないので、中火程度にしてみた。
切った柿を網に乗せて焼いていきます。とりあえず皮側から焼いてみました。
本にはその場で熱々を食べるなら全体を焦がすぐらいまで。時間をおくなら、軽く焼き目がつくぐらいまで焼いてから冷水にとるといいそうです。
本にはその場で熱々を食べるなら全体を焦がすぐらいまで。時間をおくなら、軽く焼き目がつくぐらいまで焼いてから冷水にとるといいそうです。
皮に焦げ目がついたら返して実の部分も焼く。加熱と共に果汁が染み出し、焦げて甘い香りがしてきます。
長い間放置して乾いてしまった柿のようにみえなくもないが、味はどうなの?
長い間放置して乾いてしまった柿のようにみえなくもないが、味はどうなの?
水分が多いので焼くのに時間がかかりましたが、全体に焦げ目がつくように焼けました。

香りは栗やサツマイモを焼いたような甘く香ばしい香りがします。まずは熱々のところを食べてみます。
これ、皮ごと食べられてうまいな!生の柿とは違ううまさ!
これ、皮ごと食べられてうまいな!生の柿とは違ううまさ!
焼柿うまいです。生の柿とは違ううまさが有ります。表面はパリッと歯応えが有るが中はよく熟した様に柔らかい。渋みが弱まり甘味が増した感じです。

干し柿の甘味と、生の柿の水気のある甘味との間。食感も干し柿ほど硬くなく、干し柿の中の部分に生の柿のフレッシュ感を足したような感じです。
皮は手で簡単にむけるようになります。
皮は手で簡単にむけるようになります。
さらに、焼いた物の一つを冷水に入れて即座に冷やし、それを冷蔵庫で更に冷やした物を食べてみました。
今年は時間があるときは柿をこういう食べ方で食べよう。うまい。
今年は時間があるときは柿をこういう食べ方で食べよう。うまい。
干し柿のような甘さと、程良く熟して柔らかく弾力のある柿の実を同時に味わうような感じになりました。予想以上にうまいです。

手間はかかりますが、時間がある時はこういう食べ方をするのもアリです。

焼柿うまい!

他の果物だとどうなのだろう?

柿を焼いて食べるというのは意外でしたが、予想外のうまさに驚きました。ところで、柿以外の果物は焼いたらどうなのでしょう?幾つかやってみました。まずこちら。
梨。水気が多くて甘くておいしい。生がケーキに乗っていることはあるが、焼くのはどうだ?
梨。水気が多くて甘くておいしい。生がケーキに乗っていることはあるが、焼くのはどうだ?
秋の味覚、梨です。これを焼いてみましょう。
水気が多くてなかなか焼けない。
水気が多くてなかなか焼けない。
柿よりも時間がかかりましたが一応焦げ目がつく程度に焼けました。
食べるには不安の残る見た目。
食べるには不安の残る見た目。
まずは熱々のところを食べてみます。
まあ、食べられますが・・・なんとも違和感が・・・
まあ、食べられますが・・・なんとも違和感が・・・
焼梨は酸味をあまり感じず、甘さだけが残ります。実は柔らかく、まだ水分が多く残っています。そして温かい。温かくした薄い梨ジュースを飲んでいる感じで微妙です。

冷やして食べると、焦げの影響なのか梨に栗か何かを合わせたような味わいとなりました。冷えて熱々の時の違和感が無くなります。味はそれほど悪くはないのですが、見た目も含め、あえてやる必要はないでしょう。

次はこちら。
マンゴー。トロピカルな甘さがおいしい。焼くとどうなる?
マンゴー。トロピカルな甘さがおいしい。焼くとどうなる?
マンゴーです。切り分けて皮から焼きます。焼きあがったものがこちら。
焼き芋みたいな見た目だが香りはマンゴー。
焼き芋みたいな見た目だが香りはマンゴー。
焼マンゴーは焼いているときにかなり果汁が出て甘く香ばしい香りがたちこめます。実はかなり柔らかくトロトロになります。食べると酸味や甘味は生の時とそれほど大きく変わりませんでした。ただ、熱々のトロピカルな甘さに違和感が全開です。
食えるレベルだけどね。柔らかくなるだけであえてやらなくてもいい。
食えるレベルだけどね。柔らかくなるだけであえてやらなくてもいい。
冷やして改めて食べてみました。焦げた部分はキャラメルのような甘さと香ばしさがあり、まあまあイケます。冷えて甘さの違和感も無くなりました。

しかし、大きな飛躍もなく、あえてやることは無いでしょう。無理に加熱せず、常温か冷やして食べた方がいいです。

次はこれ。
ブドウ。そもそも焼けるのだろうか?
ブドウ。そもそも焼けるのだろうか?
ブドウです。粒に分けて焼いてみました。ところがです。
はじけるブドウ。
はじけるブドウ。
焼き始めてしばらくすると皮が次々に破けて実が出てきました。とても焼き目がつくまで焼けそうにないので、ある程度加熱したところで完成とします。
皮がむけただけで見た目に大きな変化無し。
皮がむけただけで見た目に大きな変化無し。
まずは熱々のところを食べてみました。
熱々のブドウか・・・
熱々のブドウか・・・
焼ブドウ。実がトロトロで酸味が減った気がしますが、味に大きな変化はないです。熱いブドウ。そのままでした。

冷やしてから食べてみましたが、柔らかいまま冷えただけで変化無し。ブドウはそのまま食べましょう。

なんでもやればいいってもんじゃない

各種の果物を焼くことに関してはライターの高瀬さんが以前やっています。この時もあまりいい結果は有りませんでした。そもそも果物は焼くのにはあまり向いてないのでしょう。

しかし、柿は違います。焼き立ての熱々のものでも、そのあと冷やしてもおいしくなります。好みもあるとは思いますが、一度やってみる価値はあります。

柿のあるこのシーズンに是非一度試してみてください。ちょっと変わったオヤツになります。
大江戸料理帖に精進アワビという料理が出てきます。松茸をアワビに見立てて作る精進料理。気になって作ってみたいのですが、坊主ではないのでどちらもそのまま食えばいいかとやれずにいます。
大江戸料理帖に精進アワビという料理が出てきます。松茸をアワビに見立てて作る精進料理。気になって作ってみたいのですが、坊主ではないのでどちらもそのまま食えばいいかとやれずにいます。
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