特集 2015年3月14日

あのドレスはいつ白と金に見えるのか

あれがイギリスから来ました
あれがイギリスから来ました
もうみんな忘れかけていると思うが、数週間前にネットでドレスの写真が大ブームになった。

イギリスのサイトで注文したものが届いたのでどうやったら白と金に見えるかを確かめてみよう。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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話題のおさらい

元はタンブラーのこの投稿だった。
swikedさんのタンブラーから
swikedさんのタンブラーから
これが人によって白地に金のレースに見えたり、青地に黒のレースに見えるので話題になったのだ。僕は最初青黒に見えたのだが、日によって白金に見えることもあった。

たくさんのメディアで話題になり(ITmedia, ハフィントン・ポスト)、出所の分からない使命感にかられた僕はイギリスの通販サイトで注文した。

ドレスが50ポンド、ボレロみたいな上着が30ポンド、送料は割と安くて5.48ポンドだった。合計は日本円で16,482円。高いのか安いのかよくわからないが、自腹である。
ROMAN ORIGINALSというサイトで売っていた。
ROMAN ORIGINALSというサイトで売っていた。
THE DRESS(例のドレス)という名前でトップに堂々と出ていた。ショップにしてみればものすごい追い風が吹いたことだろう。

どう見ても青だ

そして約10日後、宅配ボックスに荷物を入れたという不在通知が入っていた。
「外国様から」
「外国様から」
不在通知は「外国様」とまるで黒船みたいな差出人の名前になっていた。
なんだいこりゃ?と思ったが
なんだいこりゃ?と思ったが
あのドレスであった。
あのドレスであった。
どこをどう見ても青地に黒レースである。これがどうやったら白く見えるというのか。いや、もしかしたら光の加減で見えるのかもしれない。試してみよう。

あたしにぴったりだわよ

14というサイズを買ったら僕にぴったりだった。170センチ、ウエスト85センチぐらいである。イギリス人女性は大きいのかもしれない。
どうですか、白く見えますか(この写真以降は色補正せずに縮小だけして載せます)
どうですか、白く見えますか(この写真以降は色補正せずに縮小だけして載せます)
撮影は編集部の安藤に頼んだ。クライアント向けの資料を作っていたが、まあいいからおれのドレス姿を撮れと言って連れてきた。
女装の上司を撮らせる新しいハラスメント
女装の上司を撮らせる新しいハラスメント
安藤に「どう?(白く見える?)」と聞いたところ、「似合います」という答えだった。そういうことを聞いているのではない。

ドレスが似合っていること以外には、露出補正で明るくして黄色っぽくなるようにホワイトバランスを調整する(日陰などの設定)といいのではないかと言っていた。
露出補正 +2.7 ホワイトバランスを手動で黄色みを強く
露出補正 +2.7 ホワイトバランスを手動で黄色みを強く
間違ったピチカートファイブのジャケットみたいになった。悪夢っぽさは増したがドレスはまだ青い。さらに明るくしてみよう。

ちなみに右手を頭に当てているのは「いっけねー!」ではなく、セクシーのつもりである。
露出補正 +3 ホワイトバランスを手動で黄色みを強く
露出補正 +3 ホワイトバランスを手動で黄色みを強く
例の写真に近い気がするがいちど青を見ているからなかなか白に見えない
そして昼食帰りの同僚に見つかる
そして昼食帰りの同僚に見つかる
こういうときは自分から声をかけるのが鉄則である。

怪しまれそうな状況では隠れずにこちらから声をかける、デイリーの取材で培ったノウハウだ。攻めの姿勢が大事である。
スキーでスピードを恐れて腰をひいてしまうとどんどんスピードが上がってしまい、むしろ前傾姿勢をとったほうがスピードをコントロールできるようにだ。

だけど室内に移動

会社に戻って設定を変えて撮ってみることにした。ニフティの受付横にあるサイネージが光源として使えそうなのだ。
わざと逆光で。露出補正 +1.3 ホワイトバランス 自動
わざと逆光で。露出補正 +1.3 ホワイトバランス 自動
露出補正 +2.3 ホワイトバランス 黄色より
露出補正 +2.3 ホワイトバランス 黄色より
サイネージにERIKAとあるのはたまたまこのサイネージでニフモ(ニフティのお得なスマホ)のCMに沢尻エリカさんが登場していることを伝えていたのだ。

僕がエリカという名みたいになってしまって恐縮である。ニフモをどうぞよろしくおねがいします。
露出補正 +2.0 フラッシュ強制発光
露出補正 +2.0 フラッシュ強制発光
フラッシュをたいたが白くはならずにスナック写真になった。
写ルンですの時代、こういう写真がよく撮れた。まだカラオケがレーザーディスクの時代である。

そして時は来た

窓際に移動して直射日光を利用して撮ってみることにした。
露出補正 +2.0 ホワイトバランス 黄色より・見事な目つぶり写真
露出補正 +2.0 ホワイトバランス 黄色より・見事な目つぶり写真
この位置で背中から撮ったのが次の写真である。順光のうえに露出補正でさらに明るくしている。
露出補正 +1.7 ホワイトバランス 黄色より
露出補正 +1.7 ホワイトバランス 黄色より
強い光があたっている背中部分を拡大する。
右側です
右側です
白と金に見える!
白と金に見える!
これだろうか。青いドレスが白く見える条件は、

強い光があたっている上に露出補正で明るくして、黄色っぽくなるようにホワイトバランスを変更する。

簡単に言うとお前のカメラおかしいぞ、という状態だが、この組み合わせで青いドレスが白くなった。
この写真でも日光があたっているところが白っぽく見える(左は撮影をお願いした弊社受付)
この写真でも日光があたっているところが白っぽく見える(左は撮影をお願いした弊社受付)
撮影しているようす。ドレスは青だ。
撮影しているようす。引いて見ればドレスは青。
尻の部分拡大
尻の部分拡大
暗い部分を見てから明るい部分を見ると青が飛んでるのだなと思うが、影の部分を手で隠して明るいところだけ見ると白く思えてくる。
……いや、少なくともレースは金に見える。

………書いてて青か白かよく分からなくなってくるのでもうやめたい。
どう見たって青ですよ
どう見たって青ですよ

インスタグラムかも

これだけ明るくして黄色っぽくするというのはインスタグラムなどのフィルターを使うアプリかもしれない。
そう思っていくつか試してみたが再現するには至らなかった。この点については引き続き試してゆきたい。
その際にはきちんとすね毛を剃って望む所存である。

また、今回の実験では金髪のかつらをかぶっていたが、カツラがないとコント感が出るのも発見だった。
コント・授業参観
コント・授業参観
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