特集 2015年6月3日

岩波文庫風ブックカバーで賢く見られたい

賢そうな『キン肉マン』
賢そうな『キン肉マン』
少々偏りすぎた本が並びまくっているウチの本棚。コレをもうちょっと知性漂う感じにするにはどうしたらいいのか……。

だったら賢そうなデザインに変えちゃえばいいんじゃ!? ……ということで、ザ・賢そう本である岩波文庫っぽいデザインのブックカバーを作ってみました。
1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。(動画インタビュー)

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インテリジェンスあふれる本棚にしたいのです

最近、本棚を買ったので、引っ越しでダンボールに詰め込んだ大量の本をシコシコと並べています。

しかし、なんというか……ウチにある本って、サブカル寄りすぎて、あんまりインテリジェンスを感じない本ばっかりなんですよね。
何で買ったのかよく分からない芸能人本
何で買ったのかよく分からない芸能人本
UFOモノを中心とするオカルト本
UFOモノを中心とするオカルト本
一番知性を感じるのが少年探偵団コーナーという……
一番知性を感じるのが少年探偵団コーナーという……
いや、誤解しないでもらいたいんですが、それぞれ面白くて好きな本なんですよ。引っ越し前に思い切って色んなものをボコボコ捨てたのに、そこをくぐり抜け生き残ってきた精鋭たちなんですから!

ただ、もうちょっと賢そうに見られたいというか……。この本棚じゃ、女子がウチに遊びに来たときに「ステキ、抱いてッ!」ってなことにはならないでしょ?

パッと見だけでも利口そうにすることはできないもんでしょうか?

利口といえば……そう、岩波文庫!?

それじゃあ、どんな本が並んでいたら賢そうな本棚なのか(コレを真剣に考えている時点で相当頭悪いですが)。

これまた独断と偏見ではありますが、利口そうな本といえばやっぱり岩波文庫! 日本初の文庫シリーズであり、古典的名著をたくさん取り扱っている岩波文庫は、文系利口さんの必須アイテムではないでしょうか?(理系利口さんはやっぱ学術書とか?)

ま、とりあえず電車などで岩波文庫を読んでいたら賢そうでしょ?

そんな岩波文庫の特徴といえばこのデザイン。
このそっけない統一デザインがまた賢そうじゃないですか?
このそっけない統一デザインがまた賢そうじゃないですか?
最近ではこの上にカバーがかけられていますが、古本屋では今でもこのむき出し状態(もしくはパラフィン紙に包まれてたり)の岩波文庫をよく見かけます。

やっぱり岩波文庫といえば、このデザインだなー。
裏にはナゾの岩波壺マーク
裏にはナゾの岩波壺マーク
逆にいえば、あまりインテリジェンスを感じられない本でも、このデザインにしちゃえば賢そうになるのでは……!? ということで、岩波文庫風のブックカバーを作ってみたいと思います。

岩波文庫を偽造しよう

今回の記事にかかった手間の90%はコレ
今回の記事にかかった手間の90%はコレ
まずは岩波文庫の特徴的なデザインである、周囲を取り囲んでいる模様を描き写していきます……というか、これがデザインの大部分ですけどね。
ほいできた。コレさえ描けちゃえば、あとはカンタンです
ほいできた。コレさえ描けちゃえば、あとはカンタンです
続いて、どんな本を岩波文庫風にしていこうか……ということですが。

まずは、気を遣う必要のないこちらの本からやってみましょうか。
『群馬のおきて グンマーを楽しむための52のおきて』(北村ヂン著)
『群馬のおきて グンマーを楽しむための52のおきて』(北村ヂン著)
まあ、いい本なんですけど(宣伝)、デザイン的には「軽い読み物」感があふれていて、あんま賢そうではないですよね。
コレを岩波文庫フォーマットしてみると……
コレを岩波文庫フォーマットしてみると……
おっ、ちょっと賢そうに
おっ、ちょっと賢そうに
文庫本じゃないんで、サイズが違うのが残念な感じですが
文庫本じゃないんで、サイズが違うのが残念な感じですが
要は飾り枠をつけてタイトル周りを入れ替えてるだけなんですが、印象的なデザインだけに、ちゃんと岩波文庫風に。

賢そうな本に見えるじゃないですか!
一応、裏にはナゾの北村壺が描かれています
一応、裏にはナゾの北村壺が描かれています
いったん広告です

色々な本を岩波文庫風に

引き続き、色んな本に岩波文庫風ブックカバーをかけて、賢そうにしていきたいと思います。
まずは『キン肉マン』
まずは『キン肉マン』
キン消しブームに子ども時代を過ごした人間は、やっぱり新刊出るたびに買っちゃいますよね。ただ、「いい歳こいてキン肉マンかよ」という、若干の恥ずかしさを感じなくもありません(今のキン肉マンは明らかに大人ターゲットなんだけどね)。

そんな悩みも、岩波文庫風『キン肉マン』ならば解決です。
単にカバーをなくした文庫版『キン肉マン』という感じもしなくもないですが
単にカバーをなくした文庫版『キン肉マン』という感じもしなくもないですが
「勢いで買ったんだろうな」感全開のかーくんの本も
「勢いで買ったんだろうな」感全開のかーくんの本も
文学全集っぽく……はないかな
文学全集っぽく……はないかな
「光GENJI」を漢字表記にすると、より賢そうに。……別の物語になってきますが
「光GENJI」を漢字表記にすると、より賢そうに。……別の物語になってきますが
とっくに離婚してるし、国会議員になってるしで、色々とモヤモヤするこの本も
とっくに離婚してるし、国会議員になってるしで、色々とモヤモヤするこの本も
順愛小説風に!? 岩波文庫において「モデル」ってのが何なのかはよく分かりませんが
順愛小説風に!? 岩波文庫において「モデル」ってのが何なのかはよく分かりませんが
余談ですがこの本、胸焼けするようなふたりのラブラブ写真や「いるか?」というようなビミョーなクオリティの自筆イラストが多数掲載されていて、中身も色々とスゴいんです。
味があるといえば味がありますが……
味があるといえば味がありますが……
さて、気を取り直して続けていきましょう。
下着メーカーで働いているヤクザの漫画も
下着メーカーで働いているヤクザの漫画も
古典的ロシア文学っぽい雰囲気に……というか、ほぼそのまんまですな
古典的ロシア文学っぽい雰囲気に……というか、ほぼそのまんまですな
おしゃれカフェで宇宙人本を読んでいたらさすがにアヤシイですが……
おしゃれカフェで宇宙人本を読んでいたらさすがにアヤシイですが……
岩波文庫風ならば無問題!
岩波文庫風ならば無問題!
それにしてもスゴイ題名です
それにしてもスゴイ題名です
変な本じゃなくても、自分の読んでいる本を他人に知られるというのは、ちょっぴり恥ずかしい気がするもんです。

だからなのか、電車の中などでカバーを裏返して真っ白状態にして読んでいる人をたまに見かけますけど、アレはアレで必要以上に変な本を読んでいる感が出てしまいますよね。

そんな時に岩波文庫風ブックカバー、いかがでしょう!?
賢そうなラインナップになったでしょうか……?
賢そうなラインナップになったでしょうか……?
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名作文学をエロティックに

ここまで、色んな本を岩波文庫風デザインに変えて、賢そうな雰囲気をかもし出してきましたが、ここで逆パターンも試してみたいと思います。

本屋の片隅で、岩波文庫以上に印象的かつ高インパクトなデザインの文庫本シリーズを見かけたことはないでしょうか?

そう、フランス書院文庫!
非常にデイリーポータルZ向きではないタイトルが並んでいるので小さな画像でお送り致します
非常にデイリーポータルZ向きではないタイトルが並んでいるので小さな画像でお送り致します
いわゆる大人向けのエロスな小説シリーズなんですが、文庫本コーナーの隅っこあたりにいきなり大量に並べられていたりして、中高生の頃はドキーンとされられたものです。

この、黒地に黄色のタイトルという特徴的なデザインがまた、メチャクチャ目立つんですよね。
マイルドなタイトルを選んで買ってきました
マイルドなタイトルを選んで買ってきました
昔はもっとどぎついエロ絵が表紙になってた記憶がありますが、最近はソフトな方向性になっているんですかね?
昔はもっとどぎついエロ絵が表紙になってた記憶がありますが、最近はソフトな方向性になっているんですかね?
裏表紙には、やたらカラフルな文字であらすじが。よい子にはちょっと読ませられない内容だったので小さな画像で
裏表紙には、やたらカラフルな文字であらすじが。よい子にはちょっと読ませられない内容だったので小さな画像で
岩波文庫以上に特徴的なフォーマットで作られているフランス書院文庫。

このフォーマットに当てはめていけば、どんな本でもエロスのニオイが漂ってくるんじゃないでしょうか?
ターゲットはこちら、三島由紀夫『金閣寺』
ターゲットはこちら、三島由紀夫『金閣寺』
戦後日本文学の金字塔『金閣寺』!

まあ、ある意味エロスなニオイがもともと漂っている内容ではあるんですが、コレをさらにフランス書院流エロス漂う感じにしていきましょう。
背表紙だけでフランス書院だと分かるデザイン。似たようなフォントを必死で探しました
背表紙だけでフランス書院だと分かるデザイン。似たようなフォントを必死で探しました
裏表紙にはあらすじを。このカラーリングにするだけで、別の話に思えてきますね
裏表紙にはあらすじを。このカラーリングにするだけで、別の話に思えてきますね
で、タイトルもそれっぽいフォントで
で、タイトルもそれっぽいフォントで
表紙の画像はどうしようかなと思ったんですが、とりあえずフリー素材を使用して、金閣寺の写真を……。
あれ? 一気にフランス書院感が薄まっちゃった
あれ? 一気にフランス書院感が薄まっちゃった
エロ小説というより、ガイドブックっぽくなったような……? 金閣寺の観光地パワー、すごいな。

ということで、追加でフリー素材の女性を追加してみたところ。
ああーっ、それっぽい!
ああーっ、それっぽい!
フランス書院風『金閣寺』……「金閣寺」って言葉も何かの暗喩に思えてきます
フランス書院風『金閣寺』……「金閣寺」って言葉も何かの暗喩に思えてきます
思った以上にフランス書院文庫感が出て、思わずコーフンしてしまいました!
ちなみにフランス書院文庫を岩波文庫風にすると……うん、おしゃれカフェでも読める!
ちなみにフランス書院文庫を岩波文庫風にすると……うん、おしゃれカフェでも読める!

フランス書院文庫……やっぱいいな

どんなタイトルでも賢そうに見えてくる岩波文庫デザインもすごいですが、それ以上に思いつきでやったフランス書院風デザインに心奪われてしまいました。

コレは様々な古典文学をフランス書院文庫風にする企画もイケるんでは……!? 心配なのは、どの程度の人がフランス書院文庫を知っているのかということなんですが。

みなさんの反響次第では続編「古典文学をエロス小説風に」もやります!?
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