特集 2015年6月27日

もう電車に傘を忘れたくない

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傘ってどうしてあんなに無くなるのでしょうか?

「もうなくさない」そう決めても家に帰ってくる頃には100%手元にないのです。その度に「またやってしまった!」と自分を責め、どんより一日が終わってしまいます。

20数年繰り替えされてきたこの自信喪失を払拭すべく立ち上がりました。
1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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濡れない場所に出る→忘れる

まずは自分が傘を無くしている原因を探ってみます。個人的に無くしている場所ランキングNo1は確実に電車です。

電車で無くすシチュエーションを絵で整理してみましょう。
まず雨が降ります
まず雨が降ります
電車にのり、手すりに傘をかけました
電車にのり、手すりに傘をかけました
完全にここだ
完全にここだ
思い起こせば、上記のような具合でもう20本以上は葬っています。少し値段が張る傘もたくさん無くしました。電車の手すりに忘れられた傘も今まで何本見たかわかりません。

こうして整理してみてわかったことは

雨が降っている場所からどこか屋内に入る
出る時にすでに晴れ or 濡れない場所に出る(ホームなど)

という条件がそろった時に「ほぼ100%忘れている」ということがわかりました。

付加価値を付ければ忘れない

濡れない場所にでた瞬間、傘の存在を忘れてしまうということがよくわかったところで、ある一つの公式が導かれました。

「無くさない傘」=雨よけ以外の付加価値が付いた傘

ということです。なんだ、結構簡単な問題でした。
傘に雨よけ以外の別の価値をつけて、グレードアップしてしまえばよいのです。

傘を「ペット」にして愛着を増加

まずは「愛着」という付加価値を傘につけてみたいと思います。世の中の愛着 of the bestといえばそう、ペットです。
まず回転式のキャスターを結束バンドで止めます
まず回転式のキャスターを結束バンドで止めます
気合と精神力で傘の先にキャスターを取り付けます
気合と精神力で傘の先にキャスターを取り付けます
自立式の傘(移動可)ができました
自立式の傘(移動可)ができました
キャスターをつけただけで、少しなんだろう、こう、追いかけてきそうな愛くるしさが出たかと思います。

さらに、一緒に散歩をするためにリードをとりつけました。
どことなく動きだしそう感が倍増
どことなく動きだしそう感が倍増
ちょっと全員で共有できるかは不安ですが、私の目には今この傘がとても可愛くうつっています。

傘と散歩

公園にやってきました。傘の公園デビューです。
すこし不安げに動き出す傘
すこし不安げに動き出す傘
飼い主としては雨が降らなくてよかった
飼い主としては雨が降らなくてよかった
滑り台を見つけてはしゃぐ傘。無邪気
滑り台を見つけてはしゃぐ傘。無邪気
一緒に散歩を終えて、傘に対してこれまで持ったことがないほどとんでもない愛着がわきました。日用品にリードをつけただけでこんなにペット感がでるのか。傘は本当に飼えるかもしれない。

近くにいた子供が父親に「あのお姉ちゃん何してるの?」と4回質問していたのですが、特に答えは聞こえてきませんでした。

電車でもはしゃぐ傘

愛着が湧いたところで実際に電車に乗ってみましょう。
初の電車にはしゃぐ傘
初の電車にはしゃぐ傘
ちなみにさっき公園(砂地)に持ち出したせいか、キャスターは一切動かなくなってしまいました。
こらこら、落ち着いて
こらこら、落ち着いて
ちゃんといつものポジションにかけます
ちゃんといつものポジションにかけます
ここで通常だと、降りる瞬間にかけたまま忘れてしまいますが
傘「置いて行かないで~~」
傘「置いて行かないで~~」
なんとリードがひっかかります。
ごめんごめん!!
ごめんごめん!!
ご覧の通り効果はてきめんでした。日本に長年はびこってきた課題を解決した瞬間です。
「傘をペットにする」評価
メリット:リードがついているため忘れづらい、ただ高い傘を買うよりも愛着が湧く
デメリット:重たい、リードがかさばる、一気にダサくなる
忘れない度:★★★★☆(80点)

傘の経済価値を80倍あげてみる

「傘にリードとかキャスターとか恥ずかしい」。そんな声も聞こえる気がするので、もう少し実用性を求めて別の価値をつけてみることにしました。

資本主義の原点に戻り、経済価値を単純にあげていきます。
ビニール傘(200円)の裏側にひたすら千円札を貼る作業
ビニール傘(200円)の裏側にひたすら千円札を貼る作業
「どうせやるなら全部一万円」と思ったのですが、一枚だけ試しに貼り付けたところ、妹に「無くなっても貸さないよ」と言われ正気に返りました。
1,000円を16枚=16,000円はりました
1,000円を16枚=16,000円はりました
既に「無くしてはならない」という強い意志が芽生えています。

高級傘を見せびらかしに

せっかく作った高級傘を見せびらかしに、再び街へでてみましょう。
あ! 雨が降ってきたな(イメージ)
あ! 雨が降ってきたな(イメージ)
ニッセンの商品紹介ページ風
ニッセンの商品紹介ページ風
はっきりと透け続ける日本銀行券(16,000円分)
はっきりと透け続ける日本銀行券(16,000円分)
少し街を歩いただけで、すれ違う人すれ違う人が各2回ずつ振り返っていました。これ、忘れなかったとしても盗難される確率がかなり上がっているかもしれません。

思わず傘を抱きしめる

肝を冷やしたところで、さっそく傘(feat.日本銀行券)と一緒に電車にります。
ひとまずひっかける。既に気が気ではない。
ひとまずひっかける。既に気が気ではない。
向かいに座る大学生カップルが「ねえ、アレ本当にお金かな・・・?」と相談しています。お金です。
思わずかけた傘を取り外して
思わずかけた傘を取り外して
すぐに胸に抱きました
すぐに胸に抱きました
自分の手元から透け続ける大金。もうどこから敵が狙ってくるかわからない不安で押しつぶされそうになっています。
怖くてすぐに電車を降りることに
怖くてすぐに電車を降りることに
ご覧の通り、この試みも効果てきめんとなりました。

これは忘れない。忘れるわけがない。
「傘の経済価値をあげる」評価
メリット:傘に対する注意力があがる、大事に扱うようになる
デメリット:リスクが高すぎる、盗難率が上がる、一気にダサくなる
忘れない度:★★★★★(100点)

「雨よけ」の概念を変えろ

作業途中でふと傘は「両手がふさがる」「重たい」「使った後ビシャビシャになる」など、この大テクノロジー時代に残された超伝統生活用具だと言うことに気がつきました。

これもう新しい傘作ったほうが早いんじゃないか。

最後は新しい雨よけ誕生を願った研究と、そのハイライトでお別れとさせていただきます。
(1)シャンパンタワー(風)でよけられないか
あら雨だわ!
あら雨だわ!
装着
装着
華やかかつエレガントに雨をよけるスタンバイ
華やかかつエレガントに雨をよけるスタンバイ
夏のCMのように撃沈(でも楽しい)
夏のCMのように撃沈(でも楽しい)
(2)いっそ貯水してみてはどうか
(2)いっそ貯水してみてはどうか
(2)いっそ貯水してみてはどうか
Let’s 防水! Let’s 貯水!
Let’s 防水! Let’s 貯水!
いまいち盛り上がりに欠ける
いまいち盛り上がりに欠ける

「傘を持たない」が現状のベスト

いろいろ試した結果、「傘を持たなければなくさない」ということに気がついたのが一番の発見でした。

これからなるべく小雨で髪がビシャビシャにならない程度なら少し濡れていく人生を送ろうと思います。

誰か新しい雨よけを発明してください! おねがいします!
ちなみに傘(feat.日本銀行券)を閉じるとこうなります
ちなみに傘(feat.日本銀行券)を閉じるとこうなります
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