特集 2015年8月13日

リアルタイム地球儀をつくる

部屋に地球が出現した
部屋に地球が出現した
ひまわり8号という新しい衛星が、リアルタイムに地球の画像を送ってくるようになった。

じゃあその画像を球体に投影すれば、リアルタイム地球儀になるんじゃないか?

ということで、やってみた。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:街で見かける形をストローでつくる

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

リアルタイムな地球儀をつくりたい

ひまわり8号は約10分ごとに地球の画像を送信してくる。

それをもとに、リアルタイムできれいな地球画像が見られる「ひまわり8号リアルタイムWeb」という素晴らしすぎるアプリケーションを、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)が公開した。
「ひまわり8号リアルタイムWeb」の画面はこんなふうです
「ひまわり8号リアルタイムWeb」の画面はこんなふうです
リアルタイムな地球儀を作りたいと思ったのは、これを見た知り合いがこういうことを言ったからだ。
地球儀ってふつう、固定された地図が書いてあるだけだ。

それと違い、つねに現時点の地球が映っているリアルタイム地球儀があったらどんなに素敵だろう。

これはぜひ作ってみたい。

そこで、まずは東急ハンズで半球形の白い発泡スチロールを買ってきた。
発泡スチロール
発泡スチロール
これを壁に貼り付ける。
ぺたっとな
ぺたっとな
そしてパソコンにつなげたプロジェクターで、地球の画像を投影すると…。
地球が浮かび上がった。(元となる画像はひまわり8号が最初に撮影した地球です)
地球が浮かび上がった。(元となる画像はひまわり8号が最初に撮影した地球です)
そこに浮かび上がったのは、予想以上に地球だった。部屋のなかが急に宇宙になった。

では、いよいよリアルタイムの地球を投影してみよう。
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リアルタイムの地球を投影してみよう

本当はひまわり8号の送信してくるリアルタイムの画像を直に利用したいんだけど、このデータはいまのところ申請した研究者にしか公開されていない。

なので「ひまわり8号リアルタイムWeb」の画面そのものを投影することにしよう。
この画面をプロジェクターで半球に投影する
この画面をプロジェクターで半球に投影する
とはいえ「ひまわり8号リアルタイムWeb」も実は商用利用は認められていない。なのでここで記事の素材として使うこともだめなのかな・・と思っていた。

でも寛大なNICTの担当の方から「一般啓蒙利用の範囲だと思います」といって頂き、使えることになったのです。ありがとうございます!
すこぶる原始的な投影のようす
すこぶる原始的な投影のようす
というわけでさっそく壁に貼り付けた半球に投影すると…、
ばばーん。リアルタイム地球儀!
ばばーん。リアルタイム地球儀!
おもしろい。地球のまわりの文字とかは後ろの壁に平面的に投影されているけど、地球だけは急に発泡スチロールで立体的になってる。

このままほっておけば、地球儀はつねに現在の地球の姿を映しつづけるのだ。素敵!
ちなみに、時間をスライドさせて過去を映すこともできる
ちなみに、時間をスライドさせて過去を映すこともできる
「つまみ」をいじって時間をずらすと、こんな感じに見える。
ある一日のゆっくりアニメーション
ある一日のゆっくりアニメーション
前出の知人(大貫さん)が言っていたのだが、半球に目盛りをふれば、昼と夜の境目を針にすることで時計になるのだそうだ。
こんなイメージ
こんなイメージ
つまり、地球自身がでかい日時計なのだ。宇宙で時間がわからなくなったときは地球を見ればいい。覚えておきたいライフハックである。

他にも方法はある

なお、同じような試みとして、先日ASCII.jpで公開された「ひまわり8号動画映像+球面ディスプレーでほぼリアルタイム地球儀つくってみた」という記事もある。学研から発売されている「ワールドアイ」というデジタル地球儀が必要なものの、それさえあれば気軽に試すことができる。

また、NICTの方に教えて頂いた「ダジック・アース」というプロジェクトもある。これは大きな半球スクリーンにプロジェクターで地球や惑星を投影するというもの。ぼくの適当なやり方と違い、洗練されている。発泡スチロールを使う場合はあらかじめ表面を削って滑らかにするといい、とか実践的なノウハウが書かれていて参考になります。
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他の星でもやってみよう

半球に投影すると、思いのほか漆黒の宇宙に浮かび上がる感じが出てよかった。

なので、リアルタイムというところはちょっと忘れて、他の星も投影してみよう。

まずは、近いところから。月を写してみよう。
月。元画像はNASAのこれ</a>。
月。元画像はNASAのこれ
お月様である。ずいぶん寝転がっているが、うさぎがもちをついてる様子も分かる。
太陽。元画像はNASAのこれ</a>。
太陽。元画像はNASAのこれ
太陽のまわりにフレアが平面的に投影されてるのが逆に面白い。それに比べて太陽の立体的なようすが写真からも伝わるでしょう。
火星。元画像はNASAのこれ</a>。
火星。元画像はNASAのこれ
ふつうに天体写真に見えるかもしれないけど、部屋で見るとほんとに火星が浮いてるように見える。 かつて流れていたという運河のあともなんとなく見える。
木星。元画像はNASAのこれ</a>。
木星。元画像はNASAのこれ
ガス惑星、ということをよく聞くので中身まで全部ふわふわしてるのかと思っていた。実はガスなのは表面の一部だけで、中身はほとんど液体だということを「夏休み子ども科学電話相談」で知った。
土星。元画像はNASAのこれ</a>。
土星。元画像はNASAのこれ
輪がいい。輪だけ急に平面なので、土星本体がやたら立体的に見える。
冥王星。元画像はNASAのこれ</a>。
冥王星。元画像はNASAのこれ
最近、NASAの探査機が再接近した冥王星だ。准教授が教授になることもあるように、冥王星も徳をつむとそのうち準惑星から惑星になれるかもしれない。ないと思うけど。

想像以上に宇宙です

白い半球とプロジェクターさえあれば簡単にできる、浮き上がるリアルタイム地球。みなさんもぜひ試して欲しい。ただ、普通の家にプロジェクターないよね、半球ないよね、というのがちょっとした難点ではある。

プロジェクターについては、お父さんに会社から借りてきてもらおう。そして、白い玉はとりあえずサッカーボールとかでもいいかもしれません。
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