特集 2015年10月1日

アルミホイルを丸めて固めるという最高の時間の過ごし方

アルミホイルを固めるとしぶく輝き出す
アルミホイルを固めるとしぶく輝き出す
小学生のころアルミホイルを丸めて固める遊びをしていた。

給食で魚のホイル焼きが出ると、午後はずっとそのアルミホイルを丸めることになるのだが、ていねいに丸めるといい感じの球になるのだ。

大人になった今あれをやってみたら、すごく固いアルミホイルの球を作ることができるかもしれない。

そしたらこれがまた秋の時間を無為に過ごすベストな方法だったのである。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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最高のシチュエーション

家の中でちまちまアルミホイルを丸めるのもいいかもしれないが、いい天気なので近所の河川敷にやってきた。

この企画をやるにあたって知人数人に「小学生のころアルミホイル丸めてたよね?」と聞いたら「知らん」と言われてショックを受けていたのだが、わりと復活である。

いまここに「アルミホイル固め」新しい趣味ジャンルを打ち立てたい。
薄曇りなのがちょうどいい
薄曇りなのがちょうどいい

無粋だから火は使わない

さてアルミホイルを固めると聞くと、熱して融かすことを考える人がいるかもしれない。アルミの融点は660度とそんなに高くないからである。

しかしそういうのは無粋ではないだろうか。小学生だったあの頃と同じ方法で、大人なりの優雅さでアルミホイルを固めたい。


はじめは手で丸める。折りたたんでしまうと途中で裂けてしまうので、できるだけ折り目が絡みあうようにグシャグシャにしたい。
これくらいちぎって。
これくらいちぎって。
にぎっていきます。これがはじまりの姿。
にぎっていきます。これがはじまりの姿。

序盤が肝心

はじめは手で丸める。できるだけ折り目が絡みあうようにグシャグシャにしたい。平らな面が内側にあると後々裂け目になってしまう(気がする)。

力をかけるのは徐々に、時間をかけるのがコツだ。

やり方としては指先で握ったり固い面に押し付けたりするのだが、時間をかけずに適当にやっているとこの先の工程でアルミホイルが分解してしまうのである。
これは序盤を適当にやったためにあとで力を入れたときに割れてしまったもの
これは序盤を適当にやったためにあとで力を入れたときに割れてしまったもの
なので焦らずじっくりと行きましょう
なので焦らずじっくりと行きましょう

アルミホイル固めは精神世界

序盤の工程が全体の仕上がりを決める。偉そうに言っているが、適当にやって2度ほど途中でダメにしてしまったからこそ得た知見である。

いい加減にやるとダメになってしまうのだが、どういう原理なのかは分からない。たぶんまごころとかそういう気持ち的なことが作用していると考えられる。アルミホイル固めは精神世界の遊びなのだ。
指先に神経を集中させることが大事である
指先に神経を集中させることが大事である
そういえばこうして秋空の下アルミホイルをこねこね押し固めていると、時空が広がっていくのを感じる。アルミホイルを固めることで宇宙へとつながっていくのだ。
いい感じになってきた
いい感じになってきた

足で踏んでみる

しばらくこねこねしていると指の力ではどうにも変形しなくなってくる。そこで今度は足で踏んでみたくなってくるのは自然の成り行きであろう。

体重をかけ過ぎると変に潰れてしまうので、つま先のほうでそっと押すように……やる。慎重な作業である。
慎重につま先に力を加える
慎重につま先に力を加える
くるくる回しながら、まんべんなく力を加える。ここで急ぎ過ぎるとやはり割れてしまうので、先ほど指でやったのと同じように少しずつ少しずつやるよう気をつける。

これも「たのしい~~」という感じではないのだが、やっているとつま先と指先に神経が集中し過ぎて妙なトリップ感が生まれてくる。

どんどん深いところまでやってきている気がする。いよいよ大人の遊びという感じだ。
かれこれ30分くらい、ただただアルミホイルを固めている
かれこれ30分くらい、ただただアルミホイルを固めている
だいぶぎゅっとしてきた
だいぶぎゅっとしてきた

金槌で叩く

最後に金槌で叩こう。叩くといっても刀鍛冶のようにカツーンカツーンと叩くのではない。これもそっとやるのだ。
小さめの金槌を使いました
小さめの金槌を使いました
これもくるくる回しながら、トントントン……と、まんべんなく力を加える。さっきからそれしか言ってない気がするが、そのとおりなのでしかたがない。
効き目があるのかはよくわからない
効き目があるのかはよくわからない
小学生のときは金槌ではなく、イスの脚で踏んづけていたような気がする。やりすぎると潰れて元に戻らなくなってしまうのだ。

というわけでアルミホイルをちぎってからおよそ1時間。球はこうなった。
若干ヒビがはいってしまった
若干ヒビがはいってしまった
すこしヒビが入ったものの、だいぶギュッとつまった感じになっている。

これが本当に硬いかどうかはわからない(!)が、「潰したくない」「大事にしたい」という気持ち込みで硬いとは言えるのではないだろうか。

ついでに磨く

金属なので仕上げに磨いてみたい。

ピカールという研磨の仕上げに使う液が家にあった。これを使って磨いてみたい。(やすりを持ってきたが、これだと膜が剥がれそうだったのでやめた。)
こういう一手間で仕上がりが変わってくるはずだ
こういう一手間で仕上がりが変わってくるはずだ
というか効果よりも作業を一行程でも増やしたいという思いがある。
というか効果よりも作業を一行程でも増やしたいという思いがある。
できた。もはやアルミホイルではなく時間の塊と言っていいかもしれない。
できた。もはやアルミホイルではなく時間の塊と言っていいかもしれない。
どうだろう。

一手間かけたわりに見た目に変化はなかったな、というのが正直な思いである。
ただ油っぽい匂いがついたので満足感は上がった気がする。

一生固めていたい

もうできることはないのでこれはこれで完成ということに。

時間があったので、もう一つ同じものを作った。
同じものをもう一個作った(左)
同じものをもう一個作った(左)
これも1時間かけた。しかしあっという間の1時間だ。やればやるほどぼんやりできる。なんなんだこのトリップ感は。

こんなに落ち着いた気持ちになれるなんて、もしかしたらアルミホイルを丸めて固めるヨガが既にあるのでは!?と思って検索してみたが、もちろんなかった。

改めて言おう。秋空の下、河川敷でアルミホイルを丸めて固める、これ以上の最高の時間の過ごし方はあるはずがないと。

アルミホイル固めセラピーはじめます

出来上がったアルミホイルの球は、適当に置いておいたら家族に捨てられてしまった。時間の塊…。

いや、モノ以上にこの時間の過ごし方自体がこそ尊いのではないか。そういうことにしたい。

アルミホイル固めセラピーの誕生だ。
指でまるめるだけでも良い線いっていた
指でまるめるだけでも良い線いっていた
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