特集 2015年10月31日

鉄道ファンじゃないけど京急電鉄の黄色い電車に乗りたい

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神奈川と東京を結び、羽田空港への乗り入れでも関東在住の人はお世話になる京急電鉄。
赤いボディカラーが印象的な、関東在住の人にはお馴染みの電車だ。くるりも京急電鉄の赤い電車について歌っている。

そんな京急電鉄だが、期間限定でレアな黄色い電車があるという。

以前たまたま電車を待っているときにホームの向こう側に発見し、しこたまテンションが上がった。鉄道ファンではない自分だが黄色い京急を見かけただけで物珍しさに興奮したので、それに乗ってみたらたいへん楽しいに違いない。

そんなわけで、レア京急を追いかける私の日々が始まった。
生まれも育ちも横浜。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

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レア電車、京急イエローハッピートレイン

京急電鉄公式サイトより「京急イエローハッピートレイン」
京急電鉄公式サイトより「京急イエローハッピートレイン」
前述のレア京急、「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN 京急イエローハッピートレイン」はどうやら2014年5月から3年間限定の予定で運行しているそう。それまで知らなかったし、全然見かけたことなかった……。
京急電鉄公式サイトより「京急ブルースカイトレイン」
京急電鉄公式サイトより「京急ブルースカイトレイン」
ちなみに黄色だけでなく、「羽田空港の空」と「三浦半島の海」をイメージした青い車両も2005年より運行している。レア度は黄色よりも低いがこれも是非乗ってみたいものだ。
電動貨車(Google検索結果より)
電動貨車(Google検索結果より)
もともとイエローハッピートレインの黄色い車両は、京急電鉄で所有する鉄道事業用(機器・機材の運搬用や救援車として使用)の黄色い電動貨車の人気にあやかって「京急イエローハッピートレイン」の運行に至ったという。黄色い電動貨車は絶対に乗車できないけど、パッケージ電車なら乗車する楽しみも生まれるというものだ。

そしてイエローハッピートレインは毎日ダイヤが変わるという性質上、偶然に見かけるのは困難かもしれないが……京急電鉄のサイト上で毎日ダイヤの公開をしている! こちらは前日14時以降にサイトが更新されるのを待つか、京急ご案内センター(03-5789-8686)に電話することでダイヤを確認することができる。つまり、狙って乗ることができるのだ! ひゃっほう!

「偶然見かけたらハッピー」なイエローハッピートレインを狙って乗りに行くのは、ちょっとズルしてるみたいな後ろめたさもあるが……。いや、ポジティブに考えよう。UFOキャッチャーで欲しい景品が埋もれている時、店員に頼んで取りやすい位置に置いてもらう。それと同じだと思えばいいのだ!
当日のダイヤ。下るぞー
当日のダイヤ。下るぞー
前日に調べて、電車に狙いを定める。横浜に11:25に到着する電車に乗って下ってみようと思う。ちなみにこれを逃せば下り方面は4時間待たなければならない。

京急横浜駅へ

京急横浜駅
京急横浜駅
そしてイエローハッピートレインに乗りに行く当日。どきどきしながら、自分と同じく特に鉄道ファンではない友人2人と横浜駅に11時で待ち合わせた。
にわか鉄道ファン体験してきます
にわか鉄道ファン体験してきます
「京急で、期間限定で毎日ダイヤが変わるレアな黄色い電車が走ってるそうだから乗りに行きたい」と正直に告げたら「めっちゃ楽しそ~(ハートマーク)行きたいー」と快諾してくれた友人たち。今日は私達全員「にわか鉄道ファン」だからね!!
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ダイヤを調べてきたのにもかかわらず不安になる。急な車両点検なんかでも別の車両が走ることもあるというし……。
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お?
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ノーマルの京急の赤い電車。こちらは京急2000形2058編成というタイプの車両。今調べたら1986年2月・3月に作られたものなので、人間だったらいまが働き盛りの年齢。電車的にはどうなんだろう。
これも違う……。時間的にはそろそろなんだけどなー。
これも違う……。時間的にはそろそろなんだけどなー。
こちらは京浜急行電鉄の創立100周年を記念し、21世紀をかけて「2100」の形式称号が与えられた京急2100形電車だ。今まで意識してなかったけど、同じ赤い電車でも車両のデザインが全然違うのね。
ちなみにこの車両には「けいきゅん」がついていた
ちなみにこの車両には「けいきゅん」がついていた
京急のキャラクター、「けいきゅん」。同行してくれた友人がたいそう気に入り、LINEのアイコンにしていた。

そしてついにご対面

黄色い電車、ついに君に会えるのか
黄色い電車、ついに君に会えるのか
ホームに「快特 三崎口」のアナウンスが響き渡る。乗ろうとしていたイエローハッピートレイン(のはず)の電車だ! 緊張が走る。本当に黄色い電車が来るんだろうか……。来なかったら4時間待ちだから……といろいろなことを考えてしまうし何より同行してくれた友人たちに申し訳ないな……とかぐるぐる考える。
きた
きた
そんな不安をかき消すかのように鮮やかな黄色が駅ホームに流れ込む。ここだけ春がきたみたいだ。
京急の黄色い電車が目の前に!
京急の黄色い電車が目の前に!
本当に黄色い! 神々しい! つやつやした車体に公園の遊具のようなポップな黄色がワクワク感を盛り立ててくれる。
写真を撮る人たち
写真を撮る人たち
自分たちは知っていたけど、知らないで乗り合わせたであろう周りの人たちからも「おっ」とか「あっ」といった短い歓声をあがる。興奮しているのを抑えているような声だった。
ケータイで写真を撮りだす人もいて、ここに居合わせた知らない人たちとこっそりワクワクを共有している感覚が心地いい。ここにいる人たちも、家に帰って家族に写真を見せながら「ねぇねぇ見てよー今日京急で黄色い電車見ちゃったー」なんて話すのかもしれない。

こいつをはじめて見かけたときは、なんか視界がまぶしいと思ったらその神々しいボディがホームの反対側に鎮座しているのを目撃した。その時は乗ることは叶わなかったのだが今回は乗車するのが目的。夢にまで見たハッピートレインについに足を踏み入れる……!
黄色い電車に乗車する
黄色い電車に乗車する
当たり前だけど、乗ったら黄色感はあんまり感じられない。でも、ドアの縁が黄色いことで、「自分は今黄色い電車に乗っているんだ」という意識が蘇る。
快特はびゅんびゅん飛ばす。
快特はびゅんびゅん飛ばす。
走っている時はやはりあんまり黄色感感じないけれども……。
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停車時に折りたたまれたドアの目の覚めるような黄色を目にして、「あ、自分が乗ってる電車黄色いんだ」という意識を改めてする。
こういう子どもいるね
こういう子どもいるね
窓ガラスに貼りついて夢中になっていたところを客観的に見るとなかなか恥ずかしい。
黄色い電車と念願のツーショット。
黄色い電車と念願のツーショット。
基本的に興奮しながら写真撮っていたので写真がぶれていたりいろいろひどい。これなんかせっかくツーショットを撮ってもらったのに自分だけ謎の躍動感が出てしまっている。
去り際……黄色い電車と赤い電車のコラボレーション!!
去り際……黄色い電車と赤い電車のコラボレーション!!
物珍しさに、いちいち興奮してシャッターを切ってしまう。そんな自分たちに車掌さんが「撮れましたか?」と声をかけて下さった。なんてハッピー体験。

黄色い電車の感想

車内は普通だけど、カーブにさしかかる時、ビルに車両が映る時に黄色がちらっと見えるのがまたいい
車内は普通だけど、カーブにさしかかる時、ビルに車両が映る時に黄色がちらっと見えるのがまたいい
一緒に乗った友人たちにも感想を聞いてみた。

「赤とは違くて優しい印象」「なんだか特別な日になりそうな予感」「普段ならただ何も考えずに電車に乗ってるけど、わたし、黄色のレアな電車乗ってるんだからみたいな優越感」という、普段と違う電車で特別な時間を共有できた感覚。そして、「普通に時間とか確かめずに乗り合わせてみたい」という感想も。

そうだよねー。やっぱりトリックがわかっている推理小説みたいな、ネタバレを先に見ちゃった感は少しあるよねぇ……。今度は偶然乗り合わせてみたいものだ……。

西武鉄道の京急コラボ電車

西武鉄道 池袋駅
西武鉄道 池袋駅
さて、京急のイエローハッピートレインを満喫したところで、今度は西武鉄道でも「黄色い京急が西武鉄道に似ている」という理由から京急コラボ電車が走っているというのでそれも見に行った。

なんだそのエピソード、かわいいな。「わたしの友達に似ている子がいるんだよね~」とか言われることがたまにあるのだけど、その自分に似ているという友だちに実際に会ったみたいな話だ。このたとえ話、自分で言っておいてなんだが別にうまくないな。
ハッピートレインに似ている西武鉄道
ハッピートレインに似ている西武鉄道
そしてこちらがハッピートレインに似ているという、通常の西武鉄道の黄色い車体だ。
夢の黄色い電車コラボ
夢の黄色い電車コラボ
並べてみた。見た時はそっくりだと思ったが、並べてみると当たり前だがデザインが全然違う。西武鉄道の車両はポップな黄色をしていながら、武骨な男らしさを感じる。どうやらここ数日で電車を見わける目が少しだけ養われてきたかもしれない。
目の前に走りこむ電車。あれ……京急……?
目の前に走りこむ電車。あれ……京急……?
そして調べていた時間になり、まるで京急電鉄のような赤い電車が目の前に走りこんでくる。
すごい! 本当に京急みたいだ!
すごい! 本当に京急みたいだ!
予想以上に京急で興奮したが、ひとりで見に行ったので「イエローハッピートレイン」に偶然居合わせた人たちのように「うおっ」と短く歓声を上げるだけにとどめておいた。

人ごみの中でカメラを構えるのは迷惑だという判断をしてスマートフォンで写真を撮っていたが、電車に乗り込む人たちと自分の温度差に、「鉄道ファンの人たちは普段こんなにもいろいろなものと戦っているのか」と感じた。興奮してるのを悟られないようにシャッターを切る。
左が京急電鉄の車両、右が京急コラボ車両の「幸運の赤い電車」
左が京急電鉄の車両、右が京急コラボ車両の「幸運の赤い電車」
同じような色でも鉄道会社によってデザインが全然違うし、もっと言えば同じ鉄道会社でも製作された時期によって全然デザインが違うという鉄道の面白さに気が付いてしまった。

ちなみに「幸運の赤い電車」のダイヤは、西武鉄道お客様センター((04)2996-2888)か、駅に当日電話すると教えてくれるということなので、前日にネットで確認できる京急電鉄のイエローハッピートレインよりもレア度は高いのではないだろうか。予想以上に京急線みたいだったので、しばらくはこれらの写真を人に見せて「この電車はなんだクイズ」をふっかけるめんどくさい人のふりをして楽しもうと思う。

にわか鉄道ファン体験、楽しかった。

痛恨のミスで泣く泣く見送るブルースカイトレイン
痛恨のミスで泣く泣く見送るブルースカイトレイン
本物の鉄道ファンの方からしてみればミーハーな行為なのだろうが、それでもレア電車を追いかける日々はとても楽しいものだった。

青い電車についての記載がないが、それは、乗ろうと思ってた電車のホームを間違え、ホームの向こう側から見送ってしまったからだったのだった。がーん……。

この日はたいそう脱力して帰路についたのは言うまでもない。上りと下りはきちんと確認しよう。
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