特集 2016年1月9日

怪しさ100点満点、江の島ビュータワーへ行く

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「片瀬江ノ島駅近くの高い建物は何ですか?江の島に行く際に必ず通りますが「カラオケ」「ステージ」と書かれており怪しさがすごい。時代に取り残されたような感じがしてちょっと怖いので突撃してきて!」という投稿が、鬼ちゃんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

1974年に建てられた「江の島ビュータワー」は、おしゃれカフェからスピリチュアルなお店まで幅広いジャンルのお店がある。ということがわかった。

はまれぽ.com 山崎 島
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皆さんは「江の島ビュータワー」をご存じだろうか?
小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅から徒歩約2分
あまり語られない艶めかしい像「雲の形」の向こうにあるのが
あまり語られない艶めかしい像「雲の形」の向こうにあるのが
「江の島ビュータワー」
「江の島ビュータワー」
とにもかくにも目立つ建物である。にもかかわらず、外観からはどんなところなのか、何屋さんが入っているのかは分からない。「江の島ビュータワー? ああ、あそこね、ダイオウイカ吸盤研究室が入っているんだよ」って言われたら信じたくなる雰囲気がある。果たして、果たして……!!!

怪しさ100点満点

建物の正面玄関から中へ入ってみる
建物の正面玄関から中へ入ってみる
外の看板も分かるようで分からない感じが良い!!
外の看板も分かるようで分からない感じが良い!!
玄関を入るとすぐにエレベーターがあり、その右手には
玄関を入るとすぐにエレベーターがあり、その右手には
2度見したくなっちゃう「Trak&Glorify art」の入り口が
2度見したくなっちゃう「Trak&Glorify art」の入り口が
看板には「CAFE SPORT SOUND ART」と書かれているのだが、ライブハウス? アートスペース? カフェなの? 詳細は分からなかった。隙あらば入ってみようと様子を伺っていたのだが、この日はお休みだったようで、残念ながら取材できず。が、近いうちにきっと何屋さんか解明してみせますので、しばしお待ちを!

しょっぱなからガツンとやられた、恐るべし「江の島ビュータワー」。今回は初めての方でも入りやすい飲食店を中心に取材してみました。気を取り直して伺ったのは……
同じく1階のラーメン屋さん
同じく1階のラーメン屋さん
花みずき
花みずき
おじゃまします
おじゃまします
通り沿いの大きな窓からさんさんと日光が入る明るい店内には、カウンター席とゆったりと食事ができるテーブル席が並んでいる。
お店のあれやこれやを伺ったのは店長の浅井さん
お店のあれやこれやを伺ったのは店長の浅井さん
取材日はクリスマス間近だったこともあり、浅井さんはじめスタッフの方は赤い帽子をかぶっていらした。

同店がオープンしたのは1985(昭和60)年ごろ。お店のオーナーさんが、江の島ビュータワーのオーナーさんと知り合いだったため、この場所にお店を出されたのだとか。店名はオーナーさんの好きな花の名前。東京都町田市にも姉妹店が1店舗ある。
ふむふむ
ふむふむ
「お客さんは赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年齢の方がいらっしゃいます。初詣の時期になると、親子3代でご来店される方も。そのため、店内にはベビーカーを持ち込めるよう、席を配置したり、ラーメンもあっさりした鶏ガラのものからこってり豚骨まで作ったりしたりしています」とのこと。

同店は午前0時まで(夏季は午前1時まで)営業している。浅井さんいわくこの建物の周辺には、夜遅くまで営業しているお店が少ないため「困ったときの花みずき」と地元の方には親しまれているのだそう。
店は海から上がってそのまま来店できる。1年中営業している海の家のよう
店は海から上がってそのまま来店できる。1年中営業している海の家のよう
ラーメン以外のメニューも充実している
ラーメン以外のメニューも充実している
地元の方はもちろん、ふらりとここら辺に遊びに来た方々も、気軽に立ち寄ることができる「江の島ラーメン 花みずき」。赤い帽子がかわいい浅井さんおすすめの一品をいただくことに。
同店の名物「江の島ラーメン メガ盛り(1026円)」。見た目から
同店の名物「江の島ラーメン メガ盛り(1026円)」。見た目から
攻め気です
攻め気です
江の島といえばしらす!! ということを、身をもって実感できるなんとも迫力のあるラーメン。しらすのほかにもアサリやサクラエビ、ワカメなどの海の仲間を、あっさり塩味で1つの丼にまとめ上げている。魚介のうまみを存分に味わえる上にボリュームも満点。
ありがとうございました。度肝を抜かれました
ありがとうございました。度肝を抜かれました
それから「江の島ビュータワー」の歴史について伺うと「私はちょっと分からないけど、常連さんに詳しい方がいるから聞いておいてあげる」と言ってくださり、後日電話でお話を伺うことになった。ありがとうございます!! よろしくお願い致します。ちなみにこの場所、以前はお蕎麦屋さんだったそう。
次は2階へ。エレベーターがある玄関とは反対側のらせん階段を上る
次は2階へ。エレベーターがある玄関とは反対側のらせん階段を上る
がらりと雰囲気が変わって
がらりと雰囲気が変わって
オシャレなカフェ
オシャレなカフェ
その名も「i-na caffe(イーナカフェ)」
その名も「i-na caffe(イーナカフェ)」
店内には自然光があふれ、思わずのんびりしたくなる居心地の良い空間だった。
店長の大森さんはスレンダーでおきれい。お顔出しはNG。超残念
店長の大森さんはスレンダーでおきれい。お顔出しはNG。超残念
「i-na caffe」は2005(平成17)年にオープン。もともと厚木市のオフィス街に1号店があり、「観光地でi-na caffeを発信していきたい」という社長の思いからこの場所を見つけた。店名は社長が「いいなあ、カフェ。いいないいなあ……よし、i-na caffeにしよう」と命名したそう。

「この建物ってちょっと特殊なんです。みなさん外観は目にしているのに、実際に中に入ったことが無い方が多い。建物の下がちょうど地下道になっていて、駅から歩いてくる人はみなさんそこを通って江の島に渡るから、あと一歩のところでここの前を通らないんでしょうね」
江の島へ渡る橋
江の島へ渡る橋
「そのためか比較的落ち着いた年齢層の常連さんが多く、お店の中で問題が起きたことはありません。夏の江の島って元気いっぱいな若い方とか、元気いっぱいな永遠の20代の方が多いイメージですがここはぜんぜん。夏の花火大会時は、ゆったりとお食事をしながら眺めを楽しんでいただけるんですよ」と大森さん
何気ない普通の日だってこんなに絶景
何気ない普通の日だってこんなに絶景
湘南の海を眺めながらのパーティープランもある
湘南の海を眺めながらのパーティープランもある
そんな同店おすすめのお料理は……
全部!!
全部!!
「鎌倉野菜をふんだんに使った、朝から晩まで楽しめるメニューを、リーズナブルに提供しています。中には12時間ぐらいのんびりされていかれる人もいるんですよ」と大森さん。
この日いただいたのは人気の鎌倉野菜のサラダランチ(1240円)
この日いただいたのは人気の鎌倉野菜のサラダランチ(1240円)
鮮やかな色どりのお野菜がもりもり
鮮やかな色どりのお野菜がもりもり
「これこそ体が欲していた食べ物だ!!」と思う一品だった。

シャキシャキの葉野菜と素揚げした根菜の食感が楽しく、さっぱりした自家製ドレッシングはお酒のおつまみとしてもいけるし、何よりも野菜だけで満足できるのがうれしい。セットのパンもふわふっわだし、コンソメスープに入った紫白菜も歯ごたえがあって絶品でした。
プチフール(一口サイズのケーキ)のユズシフォンケーキも自家製
プチフール(一口サイズのケーキ)のユズシフォンケーキも自家製
こだわりの素材を使ったお料理は間違いなく美味しいし、お店もいろいろな使い方をできるし、景色もいいし、少し足をのばしても通いたくなった。

ちなみに、こちらのお店は以前おでん屋さんだったそう。どうもありがとうございました。
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フロアによって別世界!

つれづれなるままに4階へ。
エレベーターホールまでワクワクがはみ出している「oppa-la(オッパーラ)」
エレベーターホールまでワクワクがはみ出している「oppa-la(オッパーラ)」
こちら店内
こちら店内
一角にはバンド演奏できるスペースがあり
一角にはバンド演奏できるスペースがあり
窓際にはボックス席も
窓際にはボックス席も
まるで日本じゃないような雰囲気の「oppa-la」、いったいどんなお店なのかというと……お話を伺ったのは店主の和田さん。

同店は2001(平成13)年にオープンした、さまざまなジャンルの音楽を楽しめるダイナー。「テクノハウスやパンク、ロックなど、いろんなジャンルの音楽を流したり、毎週国内外のアーティストのライブもありますし、音楽以外のイベントもやったり、なんでもやります」と和田さん。
同店でライブをやったアーティストの写真がずらり
同店でライブをやったアーティストの写真がずらり
おわー!
おわー!
元々アパレル関係のお仕事をされ、その後アジア各国を巡る旅に出かけた経験がある和田さん。このタワーにお店を構えたきっかけは「旅から帰ってきたあと、この場所を買った友人のお母さんからお店を出さないか、と誘われました」とのこと。

ちなみに店名は「旅の途中に出会ったイスラエル人が言っていた言葉で、いいね! とか楽しいね! という意味のようだけど、何語かは分からない」のだそう。

何とも不思議なご縁が重なって「oppa-la」が生まれたんですね。
雑貨や洋服も売っていてたのしい
雑貨や洋服も売っていてたのしい
そんな同店には、江の島の隠れ名物! と言っても過言ではない絶品メニューがある。
それがこちら「ベーコン・ルッコラ・マッシュポテトのパンケーキ(900円)」
それがこちら「ベーコン・ルッコラ・マッシュポテトのパンケーキ(900円)」
初体験のふんわり感
初体験のふんわり感
今までのパンケーキの常識をぶち壊してくれる、何とも、何とも素晴らしい一品。パンケーキの上に付け合わせを乗せて、ぱくっといただく。まるでメレンゲのように軽やかなパンケーキは、しょっぱいものとも、甘いシロップとも合う。江の島にこんなにおいしいパンケーキをいただけるお店があったとは!!

ほかにもカレーがおすすめとのことで、こちらもキニナります。プライベートで食しに来なくては!! お酒も充実していて、特にクラフトビールを多数取りそろえていらっしゃる。
飲み物もリーズナブルでうれしい
飲み物もリーズナブルでうれしい
そしてこの景色
そしてこの景色
「日の入りと日の出、富士山がとてもきれいに見られるのが見どころのひとつです。常連さんも初めての方も、楽しく過ごしてもらえればと思います」と和田さん。イベント情報もチェックしつつ、一度パンケーキをご賞味あれ。ありがとうございました。

圧倒的な存在感

お次は5階「おしゃれ工房 游(ゆう)」
お次は5階「おしゃれ工房 游(ゆう)」
はじめは店名からファッション関係のお店なのかなあ、と予想してお邪魔した。
店内は木がふんだんに使われた山小屋のような雰囲気
店内は木がふんだんに使われた山小屋のような雰囲気
いたるところに夢のお仲間がいる
いたるところに夢のお仲間がいる
ん?
ん?
ん?
ん?
なにこれー! お店の奥にクマが!! グランドピアノの前に座ってる!!
肉球もついてる!!
肉球もついてる!!
こちらの男性が
こちらの男性が
この穏やかな謎に満ちたお店のご店主であられる清水さん。清水さん、このシロクマは何なのですか!

こちらのシロクマはお店がオープンした2000(平成12)年に、サンリオのロボットを作った会社に特注で作ってもらったという、この世に1台しかないシロクマロボ。

「このお店は、今は亡き私の妻と始めた、家庭料理をお出しする食事処です。私は以前、車関係のサラリーマンだったのですが、自分のお店を出すという妻の長年の夢を実現するにあたり、脱サラしました」

「妻はここのほかにも東京にもお店をもっていました。このロボットはグランドピアノを弾く人が誰もいなかったため、作ってもらいました」とのこと。キニナルお値段は限定100台しか作られていないYAMAHA100周年記念のグランドピアノと同じぐらいですって。
ピアノの下にフロッピーディスクを入れると、シロクマが山口百恵の名曲を弾いてくれる
ピアノの下にフロッピーディスクを入れると、シロクマが山口百恵の名曲を弾いてくれる
この場所にお店を出したのは、はじめ奥様が湘南の山の方で物件を探していたそうだが、たまたまこのタワーを見つけたから。奥様は即行で決めてしまったそう。

店名も奥様が考えたそうで「お店のテーブルや厨房など、ほとんど二人で作りましたから、工房、という印象があったのでしょうね。游というのは、書をやっていた妻の好きな一文字です」と清水さんはお話しくださった。現在は清水さんと息子さんご夫婦とお店を切り盛りされている。
山小屋風のお店に少しでも海っぽさをということで置いた船
山小屋風のお店に少しでも海っぽさをということで置いた船
メニューは定食からおつまみ、お酒もある
メニューは定食からおつまみ、お酒もある
こちらは同店イチオシの「游の定食(1600円)」
こちらは同店イチオシの「游の定食(1600円)」
できるだけ地元産の食材を使った、体に優しい理想的な家庭料理。清水さんご家族が毎日丁寧に仕込みをされている。一人暮らしだと煮物って作らないからなあ。
日頃どれだけ偏った食事をしているか、思い知らされた
日頃どれだけ偏った食事をしているか、思い知らされた
地元産の味の塩焼きは頭から食べられて充実した気分になれました。

同店ではこういった定食や晩酌を楽しめるだけではなく、忘・新年会などの宴会時もお料理から全てお任せすることができる。シロクマにも会えるし、きっと楽しいですよ。清水さんありがとうございました。

と、大分長い記事を書いてしまいましたが、もう85パーセントぐらいのところなので、あとちょっとだけ書かせてください。最後は飲食店ではないですが、入り口を少し見て興味をそそられたお店です。
8階の「ミュージックスタジオ&サロン ミント ハウス」
8階の「ミュージックスタジオ&サロン ミント ハウス」
これはキニナル。だって手前にはソフトクリーム、奥には岩肌が見えていますよ。テーマパークに来た時のような胸の高鳴り!!
店内には
店内には
ステージがあったり
ステージがあったり
ビリヤード台があったり
ビリヤード台があったり
夢から飛び出してきたよう
夢から飛び出してきたよう
お話を伺ったのは、こちらの色々を取り仕切っていらっしゃる小泉さん。残念ながらお写真はNGだったが、とてもユーモアのある素敵な方でした。

こちらはズバリどんな場所かというと、小泉さんたちのオフィス兼レンタルスペース。以前は薬を使わずアロマやレクリエーションなどを通じ、自己治癒力を高めて健康的な生活を送ることに関心がある方々が集まり、2009(平成21)年から勉強する場として使われるいことになったそう。

その方々が使用していない時に小泉さんがヨガやダンスのレッスン、会合などに格安で貸し出すようになったのだとか。
コンサート会場や
コンサート会場や
スピリチュアルなイベントの会場にもなる
スピリチュアルなイベントの会場にもなる
「気楽に集まれる場所として使ってもらえれば、と思っています。イベントがない時にも、近所の方がいらしてのんびりお茶をされていますよ」と小泉さん。
普段は良心的な値段でカラオケができる
普段は良心的な値段でカラオケができる
ソフトドリンクも飲み放題(アルコール類は別途料金)
ソフトドリンクも飲み放題(アルコール類は別途料金)
店名はアロマで使うハーブの「ミント」からつけた。小泉さんは元看護士さんで、体や病気についてとても詳しく、親身に話を聞いてくれそうだった。

一文では表しきれない、なんとも面白いところでした! 小泉さんありがとうございました!

歴史について

今回取材しただけでも濃ゆーいお店が勢ぞろいの1974(昭和49)年にできたという「江の島ビュータワー」。まだ何店舗かキニナルお店がありますので、もう一回出かけてくることになりそう。そんな同タワーの歴史について、後日「花みずき」の浅井さんに伺ったお話をご紹介させていただきます。江の島ビュータワーができる前、この場所には「いそみ亭」という食堂があったそうな。その食堂を取り壊し、土地を現在のビュータワーのオーナーさんが買い取った。
うんうん、超目立ちます
うんうん、超目立ちます
建物のデザイナーは不明だが、江の島を正面に臨む立地だったため、江の島のランドマークタワーになるような斬新なデザインにしたかった。カーブをつかい、灯台をイメージした円形にしたという。

できたばかりのころは「サマリアビル」という名前だったそう。

人目を惹くビルの、とても興味深い歴史をお聞きできました。浅井さん本当にありがとうございました!

こんなところが身近にあったのか!! 衝撃だった。皆さまのご近所にも「江の島ビュータワー」のようなキニナルビルがありましたら、まるっと取材しますので、投稿お願い致します。

それから、「おしゃれ工房 游」のシロクマは、元は黄色い熊だったけど、月日が流れるうちになぜか分からないけど白くなっちゃったそうです。
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